税理士に聞く+員報酬の期中増額 ――繁盛しても税務の壁は越えられない!?
員報酬の期中増額 ――繁盛しても税務の壁は越えられない!?
登場人物:
社長:情熱的なベンチャー企業の社長。売上増にニヤけ顔。
税理士:堅実派のプロフェッショナル。笑顔の奥に冷静な分析。
社長:先生、うちの新商品、爆売れです!今年は前年比20%の増益!いやぁ、ついに我が社の時代が来ましたよ〜!
税理士:それは素晴らしいですね、おめでとうございます。まさに努力の賜物です。
社長:でしょう?それでですね、業績好調のご褒美として、役員報酬を期中に10%アップしようと思いまして。えへへ。
税理士:……その"えへへ"が、気になるところですね。
社長:ん?何か問題でも?会社が儲かってるんだし、ちょっとくらい自分に報いても…
税理士:社長、それ、税務上は"ちょっと"では済みませんよ。
1. 法人税法の基本ルール
平成18年度の改正で、役員給与の損金算入には以下の3パターンしか認められなくなりました。
定期同額給与(法人税法34条1項1号)
事前確定届出給与(同項2号)
利益連動給与(同項3号)
今回のような"業績好調だから増額"は、これらに該当するかが問題です。
2. 定期同額給与とは何か
法人税法施行令69条では、"定期同額給与"とは、
一定の時期に
同額を
継続して支給する
ことが要件とされており、事業年度の"開始から3カ月以内"に改定されたものでなければ損金算入が認められません。
社長:うわ、それじゃ、今期の中間決算後に増額するのは……アウト?
税理士:はい、残念ながらその増額分は定期同額給与とは認められず、損金不算入となります。
社長:えぇ〜!? 国税庁って、そんなに厳しいんですか!?
税理士:愛は厳しさの中にあると申します。
3. 臨時改定や業績悪化改定ならOK?
施行令69条では以下も認められるケースがあります:
臨時改定事由(たとえば、役員変更など)
業績悪化改定事由(業績悪化に伴う減額)
でも今回は"好調による増額"なので、どちらにも該当しません。
社長:……業績が悪けりゃ下げても損金OKで、良くて上げたらダメって……なんか理不尽!
税理士:そう思われがちですが、税法の目的は利益操作の抑制です。上げ下げ自由だと税金の繰り延べに使えてしまいますから。
4. じゃあどうすればよかったの?
税理士:実は、翌期に開始3カ月以内の通常改定として、増額するのがセオリーです。
社長:なるほど!じゃあ、今期はそのまま、来期に堂々と上げようってことですね。
税理士:その通りです。
社長:ちなみに、増額した分、全部ダメなんですか?
税理士:いえ、元々の金額分は損金算入されます。増額分だけがNGになります。
社長:よし、それなら経理に注意してもらおう。
5. まとめ:期中増額の注意点
役員報酬の期中増額は:
通常改定なら"事業年度開始から3カ月以内"に限る
好調による途中増額は原則、損金不算入
増額分のみが不算入、もともとの金額はOK
翌期での増額計画を
参考法令
法人税法34条
法人税法施行令69条
国税庁「役員給与に関するQ&A」(平成20年12月)Q3
アクティブリコール:7問チェック!
定期同額給与とはどのような要件があるか?
法人税法施行令69条では、通常改定はいつまでに行う必要があるか?
期中の役員報酬の増額が損金算入されない理由は?
業績悪化改定事由とはどのような場合か?
期中の増額で損金不算入になるのは役員報酬のどの部分か?
翌期に損金算入される役員報酬の増額の条件は?
損金不算入になった増額分はどのように処理する?
解答
一定の時期に、同額を継続して支給すること。
事業年度開始の日から3カ月以内。
利益操作を防ぐため、恣意的な増額が認められないため。
業績悪化により経営が困難となり、報酬を減額する必要がある場合。
増額部分のみが損金不算入となる。
通常改定として、事業年度開始から3カ月以内に行うこと。
増額分は法人税計算上、損金不算入とし別途処理する。
社長:やっぱり税金の世界は奥が深いなぁ。税理士先生がいてくれてよかった。
税理士:それは何よりです。ですが、次回からは早めにご相談くださいね?
社長:了解ですっ!(反省風)
