信じて、今日を生きる ─ ひとりのようぼくの心の記録 第5回:小さなよろこびに気づく日 ― ひのきしんのなかで

教会での生活が少し落ち着いてきた頃、私はひのきしんに誘われました。
最初は「手伝い」としての感覚でした。 特にやりたいことがあったわけでもなく、断る理由も見つからなかったから、何となく参加した──というのが正直なところです。
ほうきを持って掃除をしたり、草を抜いたり、イスを並べたり。 誰かに命じられたわけでもないその行為が、なぜか終わったあとに心地よく感じられたのを覚えています。
「ありがとう」「ごくろうさま」 そう声をかけてもらえたとき、私ははっとしました。
こんなふうに誰かの役に立てたのは、久しぶりだったからです。 しかも、それは見返りを求めることもなく、ただ「やってみた」だけ。
そのなかに、静かなよろこびが確かにありました。
教会では、ひのきしんは「たすけの心を行いに表す」ことだと教わりました。 でも私はそのとき、「誰かを助けたい」というよりも、「ここにいていい」と思える実感を得られたことが、何より嬉しかったのです。
ひのきしんを通じて、自分の居場所を少しずつ感じられるようになりました。 働くこと、動くこと、人と関わることが、少しだけ怖くなくなったのです。
そして、「ありがとう」と言われるたびに、私は自分が“存在していい”と思えるようになっていきました。
ひのきしんは、誰かのためでありながら、自分の心をも整えてくれる営みでした。
(第6回へつづく)
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