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創造性とケア――こころに触れる思考 第4回:沈黙と創造性――語れないことにとどまる力


「言葉にならない」という感覚、きっと誰もが一度は経験していると思います。胸がいっぱいで、何かを伝えたいのに、どこからどう言えばいいか分からない。ただ沈黙の中にいるしかない。そんなとき、私たちは「何か言わなきゃ」と焦ってしまいがちです。でも、実はその沈黙にも、ちゃんと意味があるのかもしれません。

今回は、「沈黙」と「創造性」の関係について考えてみたいと思います。

沈黙って、つい「空っぽ」だとか「何も起きていない」ように見えますよね。でも、本当はその中に、言葉にならなかった感情や思考がじっと息づいているんです。もしかしたら、創造の源って、そんな「語れなさ」の中にこそあるのかもしれません。

たとえば詩や音楽、絵画など、ことばじゃない表現が私たちの心を動かすのは、「沈黙の余白」がそこにあるからなのではないでしょうか。すべてを説明しきらずに、「感じること」に委ねる。だからこそ、受け取る側の想像力が刺激されて、深い共鳴が生まれるんだと思います。

心理療法の世界でも、沈黙は大切な時間とされています。話すことよりも、ただ一緒に黙っている。その中で、ぽつりと浮かび上がってくる言葉や感覚。語ることよりも、「まだ語れないこと」と共にいる。その時間こそが、回復のプロセスを支えているのかもしれません(※1)。

創造とは、「言えること」をたくさん並べることではありません。「まだ言えないこと」「まだわからないこと」に、そっととどまりながら、少しずつかたちや響きを与えていく。それは時間のかかる営みであり、不確かさを抱える力でもあります。

沈黙を否定せず、そのまま大切にする。そこにこそ、創造性が芽吹く、静かな土壌があるのだと思います。

次回は、「創造するということ――私たちはなぜ表現するのか」をテーマに、シリーズのまとめとして、創造性の根源的な意味を見つめていきます。


※1: Orange, D. M. (2010). Thinking for Clinicians: Philosophical Resources for Contemporary Psychoanalysis and the Humanistic Psychotherapies. Routledge.

参考文献

  • Orange, D. M. (2010). Thinking for Clinicians: Philosophical Resources for Contemporary Psychoanalysis and the Humanistic Psychotherapies. Routledge.

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