チームに「対話と挑戦」の文化を作るOKRのエッセンスを探究する! 〜マネプロ#23
こんにちは! DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。
マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第23回目です。
このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。
さて、第18回より始まった戦術編。
経営視点と現場視点の戦術を書いたら完結です。

今回は、経営視点の戦術といえるOKRの話です。
ただし、OKRを使いましょう!
と推奨する記事ではありません。
流行りのOKRという戦術のエッセンスから、チームマネジメントに活かせるものを取り入れましょう、という趣旨で書いています。
私自身がDeNAに入社してからの3年間、OKRをやってきた中で感じたOKRの効果的な使い方や失敗談も触れながら具体的に書いています。
目次はこちら!
<OKRとは>
OKRとは「Objective and Key Results(目標と主要な結果)」の略称です。
目的 / 目標 (Objective)に向かって主要な成果(Key Results)を出せるようにコミュニケーションするマネジメント手法で、米・インテル社で誕生したのちGoogleやFacebookなどが取り入れたことで注目されています。
Oには数値で表せない理想を定性的に言語化。常に自分たちの行動がOにつながっているかを問いかけられるようにします。
KRではOに対して達成した状態を具体的に言語化。こちらでは期限や数値での成果を明確にして、客観的に進捗を見れるようにします。
これが端的なOKRの説明です。
私自身、OKRは志のあるゴール、アグレッシブな 質的/量的 な指標、毎週の実行と責任のリズムをチームで持つことで、素早く・素晴らしい成果をチームで出しやすくするマネジメント手法と捉えています。
次章では、OKRが話題になる前から日本で使われているMBO(Management By Objectives:目標管理制度)とOKRの違いを比較しつつ見てみましょう。
<MBOとOKRの4つの違い>
MBOからOKRにシフトすることで変化する特徴を以下4つに整理しました。

それぞれ1つずつ見ていきます。太字がOKRのエッセンス/効果の部分。今のマネジメントに必要なことかを振り返りながら読んでみてください。
網羅性 → 重要性
コミットする目的を選択する
OKRでOを決める時には、まず解決すべき価値あるイシューを全員で洗い出します。それぞれに見える経営視点の課題感は異なり、これらを共有することで複眼的に共通認識が持てます。ここから、チームで重要度や優先度についても議論を重ねます。
課題のない組織はないので沢山の課題が見えてきます。ですが、これらをぜんぶ網羅的に目標へ落とし込むことはしません。全てをやろうとせず、経営にとって重要なOに絞り込むプロセスが大切です。
Oを決めるプロセスでチームはゴールへの意識を統一することができます。それぞれがチームで目指すことにピントを合わせて、 Oneチームになって取り組めるOを決めていくことが理想です。
持続的 → 飛躍的
挑戦目標を設定する
OKRではなんとか頑張って70%達成ができるような挑戦目標(背伸びした目標というよりもジャンプしないと届かない目標)を設定します。目標設定時の自信度でいえば、達成できるか半々くらいの感覚。
ですので、達成率が70%で成功、100%なら大成功と考えます。野心的に掲げた目標を達成し飛躍的な成長をできた状態!と言いきれるのが100%の大成功でしょう。OKRでは大成功を目指すことを「ムーンショット」と一言で表現します。OKRの内容を全文話さずとも会話の中で使える合言葉にできるので便利ですね。
考え方として注意が必要なのは評価の方法です。
MBOは評価や報酬と直接関係するため、目標に対して100%以上の達成率を目指すことが求められてしまいます。そのため、OKRは評価と連動させず成功したら加点評価する、くらいの緩やかな連動に留めて挑戦を促します。
チームのOを掲げてメンバーの
挑戦を歓迎する文化がつくれる。
それがOKRの良さの1つです。
クローズド → オープン
目標や方向性をチームで対話する
KRの目標が決まり、それぞれの項目を誰がオーナーになって進めるかも決まったら、チーム内での連携が始まります。MBOのように個人で目標を立ててクローズドに進めるのではなく、チームで目標達成を目指してオープンに話し合いながら進めます。
計画を実行に移すと、状況や進捗の変化によって何かしらズレへの軌道修正が求められます。そんな時こそ意見を出し合いながら、どのようにチームで判断・対処するかが大切になります。
対話によってお互いの考えや感じていることを伝え合い、前に進むことができれば、方針からブレずに実践にまで至るアラインされたチームになっていきます。
それぞれの意図が連鎖して行動の連鎖が起こり、最後には価値の連鎖が生まれる。チームが一枚岩になると心強いものです。
デッドライン → タイムライン
進捗や近況を常に共有する
評価のデッドラインに合わせて個人で目標を追いかけるのがMBOのやり方ですが、常に目標を隣において様子を見ながらチームで追いかけるのがOKRです。
また、成果に向けてのKRの管理や評価は上司ではなくチームで行います。チーム内での共有によってゴールへの意識を常に保ち、ゴールに集中できるチームをつくります。
SNSのタイムラインのように時間と共に変わりゆく近況に合わせて、チームでいかに成果を追求していくかが重要です。そのため、情報共有がなければ対話に発展せず、チームで共通認識を持って成果を追求することができません。対話には情報共有が必要不可欠と言えます。
このようなプロセスを経て、
チームでの対話を歓迎する文化がつくれる。
これがOKRのもう一つの良い所だと思います。
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4つの違いを見てきましたが、「対話と挑戦の文化」を生み出すOKRのエッセンスが掴めたでしょうか?
MBOは「個人のパフォーマンスを高めるための評価をする仕組み」でしたが、OKRによって「チームのパフォーマンスを高めるための対話と挑戦を促す仕組み」へ関心が変わったのだと思います。
さて、続いては実際にOKRを運用していた中でつまづき易いと感じたことを失敗談も交えてお伝えできればと思います。
<OKRが失敗する3つの罠>
①Oを欲張り過ぎる
Oはシンプルに絞り込めた方が目的にフォーカスできます。
ですが、これが難しい。。
昔、チームメンバー6人で解決すべき価値あるイシューを全員で洗い出したら60個の課題があがりました(重複していたものを除けば30個くらい)。
課題の粒度や範囲は異なるのでなかなか1つのOに絞り込むのは難しく、複数のOを設定して取り組んでいました。
1つのOにKRを3つ設定していたため、そうなるとKRの数が増えて動きがより再分化されてしまい、KRオーナー個人に活動が委ねられてました。
個々人のオーナーシップやパフォーマンスは発揮しやすかったものの、OKRの良さであるチーム力の掛け算は発揮されにくかったように思います。
②KRがtodoリストになる
KRの3つが時系列で並ぶことがよくありました。AをしたらBへ、BをしたらCへ、というものです。これではKey Resultsが示す指標ではなく、やる事を書いたtodoリストになってしまいます。
また、KRを安易に定量化しようとするのも気をつけましょう。定量化するために無理矢理行動が増えてしまっては本末転倒です。手段の目的化が生まれないよう注意が必要です。
行動面で言えば、KRに対して独立して同時並行で実行できるアクションをつくり、チームメンバーで分担して担当できると理想的です。
「重要だけれども緊急ではないもの」が含まれているのも新たな活動に挑戦しやすくなるのでオススメですね。
③OKR運用の仕組みがない
OKRをやったことがない場合、どう仕組み化するかイメージがつきにくいものだと思います。
①②は目標設計のタイミングで意識すれば修正可能ですが、③は日々のコミュニケーション設計ができていないと上手くいかないから難しいもの。
チームのコミュニケーションをオープンかつタイムラインで流れるような感覚で上手くOKRを運用するためにはどんな仕組みが必要になるのか。
次の章では運用の秘訣に迫ります。
<OKRを成功させる3つの秘訣>
OKRにとって大事な概念であるCFR。
ご存知でしょうか?
CFR とは以下の頭文字をとって表したものです。
・Conversation :対話
・Feedback :指摘
・Recognition :承認
これはグーグルにOKR を導入したとも言われている John Doerr が書いた『Measure What Matters』にある概念です。
OKRの運用を成功させる3つの秘訣を自チームで実践した事例と共にお伝えしたいと思います。
< 対話 >
ここでも出ました「対話」!
OKRの期間中は定期的に対話の場をチームでつくります。
対話の切り口は様々です。例えば、それぞれの体験をFDLの視点から書き出して全員で対話したことがあります。
F:Fun=楽しかったこと
D:Delivery=価値を提供したこと
L:Learn=学んだこと
対話による効果は、仲間の感じ方や考え方に触れることでチーム内のコミュニケーションが活性化することです。
< 指摘 >
「指摘」はチームの活動に対して直接変化を与えるのに必要なアクションです。例えば、KPTという視点でチーム活動を振り返って改善していく会議をします。
K:Keep=続けたいこと、良かったこと
P:Problem=問題なこと、悪かったこと
T:Try=次にやりたいこと、変えたいこと
指摘による効果は、チームの活動を見直す選択肢を持つことでOKRの軌道修正ができることです。
< 承認 >
OKRでは「Winセッション」という機会をつくり、それぞれがやったことを記載しあって、お互いを労い、全員で称賛し合うMTGを行います。
承認による効果は、チーム内の仲間への感謝や貢献を全体で分かち合うことができることです。

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継続的にチームがパフォーマンスを高めるためにCFRを上手く取り入れて、OKRの仕組みに魂を込めた運用をしていくことが大事になります。
究極、OKRという戦術を丸々やらなくても、今まで書いたような効果が得られる仕掛けができればよいとわけです。どうやったらOKRのエッセンスをチームのマネジメントに反映できるのか、検討してみてはいかがでしょうか?
<今回のQuestions>
以上が23回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?
ということでマネプロ恒例、最後の問いです。
今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!

※「自分はこう考える」「自分ならこれを問いかける」という考えはぜひTwitterにて「#マネプロ」を付けてつぶやいていただけたら嬉しいです!
<次回にむけて>
今回は、OKRとMBOを比較することでOKRのエッセンスを抽出し、チームに取り入れられる視点がないかを事例と共に探究する話でした。
次回取り扱うテーマは「OODA」。
今回のOKRが経営視点の戦術なら、OODAは現場視点の戦術です。
次回は2週間後の水曜日。
良かったらぜひnoteのスキやフォローをお願いします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
読者のみなさんと共にマネジメントの進化を探求できれば何よりです。Twitterのフォロリツ大歓迎です!DMでの感想も是非!(@tsubot0905)
noteで取り上げた内容について、みなさんの持論や新たな問いかけの視点をもらうことでマネジメントの探求がもっと楽しくなるはず。ですので、みなさんからのリアクションを心待ちにしております。よろしくお願いします!
