私にとっての"予防歯科"


お盆で実家に帰省したとき、本棚に懐かしい本を見つけました。
『100円のコーラを1000円で売る方法』
7〜8年前、教員だった頃に読んだ本です。当時はマーケティングなんて全く分かりませんでしたが、ストーリー形式で面白く読めた記憶があります。
今回読み返してみると、不思議なくらい感じ方が変わっていました。
個人開発を始め、自分でサービスを作るようになった今だからこそ、特に刺さった話がありました。
それが、
「私にとっての予防歯科は何なのか」
という問いです。



鉄道会社は「鉄道事業」をやっていた

本の中で印象的だったエピソードの一つが、アメリカの鉄道会社の話です。
鉄道会社は、自分たちの事業を「鉄道事業」だと考えていました。
だから、人々が車や飛行機を使うようになっても、
「うちは鉄道会社だから関係ない」
という発想になってしまったそうです。
でも、本当は違います。
彼らがやっていたのは、「人や物を運ぶ輸送事業」です。
もし最初からそう考えていたなら、

  • 車は競合なのか

  • 飛行機にはどう対抗するのか

  • もっと別の輸送手段はないのか

そんな発想になれたかもしれません。
「何を作っているか」ではなく、
「どんな価値を提供しているのか」
その視点の違いが、大きな差になるという話でした。


キシリトールガムは「予防歯科」を売った

もう一つ印象に残ったのが、キシリトールガムの話です。
当時のガム市場は、味や口臭対策などで競争が激しいレッドオーシャンでした。
そんな中、キシリトールガムは全く違う市場を作ろうとしました。
それが、
「予防歯科」という考え方です。
虫歯になってから治療するのではなく、虫歯にならないように予防する。
その価値観を世の中へ広めようとしたそうです。
しかし、最初は歯医者さんから反対もあったそうです。
「虫歯を予防したら患者さんが減ってしまう」
そう考えられていたからです。
そこでさらに一歩進み、歯医者さんの役割そのものを変えていきました。
歯医者は
「虫歯を治す場所」
ではなく、
「健康な歯を維持する場所」
だと。
この考え方が広まると、歯医者さんにとってのお客さんは、虫歯の人だけではなく、健康な歯を維持したいすべての人になりました。
価値の捉え方を変えるだけで、市場そのものが変わる。
とても面白い話でした。


製品思考と市場思考

本の中では、

  • 製品思考(プロダクトアウト)

  • 市場思考(マーケットイン)

という言葉も出てきます。
製品思考は、
「良いものを作れば売れる」
という考え方。
一方、市場思考は、
「市場や顧客が本当に求めている価値は何か」
という視点です。
どちらが正しいという話ではありません。
ただ、市場思考の方が、一段高い視点から物事を見ているように感じました。


私にとっての「予防歯科」は何なのか

私は現在、エンジニアとして働いています。
会社では複数のサービスに携わっていますし、個人開発も続けています。
アプリ一つひとつについて、

  • 『ずきずき予報』は低気圧で困る人を助けたい

  • 『Mediple』は瞑想を習慣化したい人を助けたい

  • 『Thinkple』はメモを書く習慣を助けたい

というように、それぞれの価値は説明できます。
でも、
「前田という人間は、世の中にどんな価値を提供したいのか」
と聞かれると、まだ答え切れません。
個々のアプリの機能は説明できても、それらを一つ上の視点でまとめる言葉がまだ見つかっていないんです。
今ぼんやり思っているのは、
「人がより良い方向へ進むための習慣づくりを支援したい」
ということ。
まだ言語化しきれてはいませんが、私が作るアプリには少しずつ共通点がある気がしています。


「私にとっての予防歯科」を探したい

今回この本を読み返して、一番考えさせられたのは、
「自分にとっての予防歯科は何なのか」
という問いでした。
鉄道会社の「輸送事業」。
歯医者さんの「健康な歯を維持すること」。
こうした一段高い視点から自分を見ると、今までとは違う景色が見えてくるのかもしれません。
まだ答えは出ていません。
でも、この問いを持ち続けることで、自分が作るサービスも、自分自身の方向性も、少しずつ見えてくるような気がしています。

最後に

このブログは、

Spotify / Voicy で配信している音声エピソードを元に作成しています。

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