【Kindle出版】第3話 「自分らしく生きられた」では刺さらない——Afterは"目に見える変化"で書く
前回までで、企画と読者が決まりました。 ここからは、いよいよ中身。どんな順番で並べたら、一冊の"物語"になるのか、という話です。
構成でいちばん悩むのは、「どう書けば、読者の心に届くのか」。 僕は最初、ここで一度、大きく外しました。きれいにまとめたつもりのAfterが、あとで読み返すと、どの本にも書いてある言葉だったんです。
第3話は、その失敗も含めて、Before/Afterの組み立て方を書きます。
ハウツーで固めない。人生の物語として並べる
最初に決めたのは、本全体の骨組みでした。 やり方をただ並べる技術書にすると、すでにある良書と正面からぶつかります。知識量では、専門家に勝てません。
そこで選んだのは、ノウハウを教える本ではなく、一人の人生が変わっていく物語として並べることです。
章立ては、こんな順番にしました。
崩壊 → 防衛 → 頭の整理 → 再構築 → 人生が好転する。
外側で起きた出来事から入って、だんだん内面へ潜っていく。 この並びには、理由があります。最初に「崩れていた頃の場面」を置くと、読者が自分と重ねて、物語に入りやすいからです。そこから一緒に、少しずつ内側へ降りていける。いきなり内面の話から始めるより、ずっと置いていかれずに読めるはずです。
実際、最初の「崩壊」の章は、ただ苦しかったと書くのではなく、"なぜ強制終了みたいに動けなくなったのか"。その因果が目次から見えるようにしました。
Afterをきれいな言葉で書かない。目に見える変化で書く
いちばんやり直したのは、After——「読み終えた人が、どうなれるのか」の部分です。
最初に書いたのは、「自分らしく生きられるようになった」「納得して選べるようになった」。 自分では、いい言葉を選んだつもりでした。でも読み返すと、これはどの自己啓発書にも載っている。誰の変化なのかが、まるで伝わらない。
そこで、抽象的な"いい言葉"を全部消して、目に見える変化だけで書き直しました。
たとえば――
・顔面神経麻痺で強制終了するまで、無理を止められなかったのが、いまは疲れきる前に自分で距離を取れるようになった
・ストレスで脂っこい外食に逃げていたのが、日々の小さな喜びに気づけるようになった
・出世や人脈という"世間の正解"を追って消耗していたのが、その競争から降りて、自分のペースで働けるようになった
ここで何より気をつけたのは、話を大きく盛らないことでした。 劇的なBefore/Afterに仕立てると、かえって「できすぎでは?」と、そっと本を閉じられてしまう気がしたんです。だから、誇張も作り話もなし。実際に起きた等身大の変化だけを、そのまま並べました。
きれいごとより、盛らない具体のほうが、ずっと強い。 読んだ人が「この人みたいに、私も変われるかも」と、自分のこととして思い描けるのは、そっちなんだと思います。
Beforeを飛ばさない。いちばん読まれるのは"どん底"の記録
意外だったのは、読者がいちばん知りたいのは、立ち直った後の話ではなかったことです。
自分では地味だと思っていた、崩れていた頃の普段の記録。 そこが、いちばん読まれる部分でした。同じ場所にいる人ほど、「分かってくれる人がいた」と感じるのは、Beforeのほうなんですよね。
だから僕は、Beforeを削らずに、むしろ丁寧に残しました。
そしてもうひとつ。本のいちばん最初に、このBeforeとAfterを置きました。 Kindleは「はじめに」を無料サンプルとして誰でも読めます。つまり冒頭こそ、"この本を読んだら、こうなれる"を見せる場所なんです。
ここで気をつけたのは、「著者が優秀すぎて、自分には無理」と思わせないこと。 すごい人の成功談ではなく、崩れていた人が半歩ずつ動いた記録。そう読めるように、言葉を選んでいきました。
第3話のポイントをまとめます。
・技術書にせず、崩壊→再構築→好転の"物語"として章を並べる
・Afterは「自分らしく」ではなく、目に見える変化(疲れきる前に距離を取れる等)で書く
・Beforeを削らず、本の冒頭(無料サンプル)にBefore/Afterを置く
第4話は、いよいよ執筆。AIで原稿の土台を作りながら、実際の作業は「足す」より「削ぎ落とす」だった、という話です。
あなたのこの一年で、ほんの少しでも"前より変わった"と思えることはありますか。 小さなことで大丈夫です。それが、あなたのBefore/Afterの最初の一行になります。
ちなみに、こうして組み立てた物語が、こちらの本です。
『「もう期待に応えない」と決めたら、息がしやすくなった』。 Kindle Unlimitedなら0円で読めます。冒頭の「はじめに」だけでも、Before/Afterがどう置かれているか、確かめてもらえたら嬉しいです。
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