美沙。おごせに行く「一鞠-hiMari-物語」第5話時間の森に包まれて
第二章(続き4):時間の森に包まれて
(場面:越生駅・待合室)

(ベンチに腰かけた美沙。ふと、天井を見上げる)

(地の文)
ふと目線を上げると、そこには素敵な木材の天井が広がっていた。

温もりを感じる色合い。どこか、山小屋のような安心感。
美沙(心の声)
「……この天井、すごく好きかも」
美沙
「やさしいなあ。こういう木の空間って」
(空間全体に、やさしい静けさが満ちている)
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(スマホをいじっていて、ふと発見)

美沙
「……ん? YouTube……?」

(地の文)
越生駅の紹介動画がいくつも並んでいる。
駅の成り立ち、四季折々の風景、地元の人のインタビュー。
美沙(心の声)
「こういうの、駅ごとにあるわけじゃないよね。すごいな」
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(さらに駅の案内パンフを見つける)

美沙
「レンタサイクル……!」

(外の自転車レーンの風景が頭に浮かぶ)
美沙(心の声)
「さっきのサイクリングロード……そうか、自転車がなくても回れるんだ」
美沙
「これは今度、時間がある時にまた来て……絶対乗りたいな」
(地の文)
旅先での移動手段があるって、ただ便利なだけじゃない。
「この町を自由に動いていいよ」って、背中を押してくれるようなやさしさ。
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(美沙、ふと壁際に視線をやる)
美沙
「……あれ? 写真……?」
(地の文)
待合室の一角に、小さな写真展。

四季の風景、梅の花、山の稜線。日常の中の、静かな輝き。
美沙(心の声)
「……なんか、いいな。時間が止まってるみたい」
(写真に見入る)
美沙(つぶやくように)
「こんな“時間の感覚”、初めてかも……」
(地の文)
何もしていないのに、心が満たされていく。
それは、せわしない日常では味わえない、ゆっくりとした呼吸のリズム。
この待合室には、時間の森みたいな静けさが広がっていた。
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(時計の針が少しだけ進む)
(ナレーション)
バスの出発まで、あと少し。
でもその「少し」が、こんなにも豊かだなんて。
越生という町が、そっと教えてくれている。
