Photo by
igaki_toshie
なごり雪
3月31日でした。
息子が、東京へ出発する日です。
スーツケースを車に載せ、最寄りの駅に向かいました。10分ほどで着きます。見慣れた光景です。
道中、どんな会話をしたのかは、…覚えていません。
「身体に気をつけて」おそらく、そんな言葉をかけたのでしょう。
白い四輪駆動車は、とうとう駅に着いてしまいました。短い言葉を交わし、息子は車を降りました。ドアが、閉まった瞬間。
なぜでしょう。涙が込み上げてきました。自分でも、びっくりしました。
「寂しくなるな」漠然と、感じていました。このタイミングだったのです。ドアが、閉まった瞬間。
一緒にカブトムシを捕まえに行ったこと、スキーや釣りの思い出。
「あの風船が欲しい!」と言ったら聞かず、探し回ったこと。家に帰ると、玄関にトコトコやってきて、出迎えてくれる姿。いろんな風景がよみがえりました。
平静を装って、笑顔で送り出してやろう。強がりな姿を見せていたのかもしれません。
今だから言えます。
「私は、こんな父親です」
寒さがぶり返した、三月初旬。落ちてはとける雪を見つめながら、そんなことを思い出しました。
【2025年3月12日 初出(一部改)】
☆息子とキャッチボールをした思い出です。よろしければ、ご覧になってください。
