温もり
家に帰ると「トン」と音がしました。
どうやら今日は、冷蔵庫の天板に上って待っていたらしい。玄関で私の顔をちらっと見て、リビングの定位置に向かいます。
「彼女」とは、以前住んでいた所で、偶然出会いました。毎日やってくるので、家族の一員として迎え入れることにしたのです。
ソファーに腰をおろすと、跳んでやってきて膝に乗ります。お腹がすくと、私に向かって催促します。
「待っていてくれて、ありがとう。」
温もりが恋しい季節になると、布団にもぐり込んできます。実に温かい。そんな暮らしを、7年ほど繰り返しています。
今日一日、どんなことがあったのかな。何か聞いてほしい、分かってほしい、気づいてほしいことがあるのかな。
それともただ、寄り添ってほしいだけなのでしょうか。そんなことを思ったりします。
「ところで、今日はどんな日だった?」
思い切って、彼女に聞いてみます。
「ニャア!」
いつもと同じ声色です。私に、嬉しいことがあった日も、考えごとをしている日も…。どんな日も同じ心もちで迎えてもらうことに安心し、温もりを感じています。
待っているのは、彼女ではなく、私なのかもしれませんね。
【2022年12月5日 初出】
