【蚊取り線香】和の香りと夏の入り口
季節の気配
近づきつつある蚊の季節。
我が家では、
今年も変わらず蚊取り線香が第一線で活躍している。
最新式の家電がいくら進化しても、
なぜか毎年これに手が伸びてしまう。
火をつけた瞬間にくるりと立ち上るあの煙。
どこか懐かしい和の香りが、
部屋の空気をゆっくりと満たしていく。
ただし情緒と引き換えに、
部屋は少し煙くなる。
少しでも効果を出したいからね。
趣を感じる時間ということにしておく。
家族のかたち
思い返すと、
家族でも家によって使うものがまったく違っていた。
おばあちゃんの家はプレートタイプ。
四角い薬剤プレートを差し込む、昔ながらの電気式。
じんわり温まる本体の横で
独特の香りと
プレートを触って熱い思いをした記憶。
実家は液体タイプのボトルをひねってセットする、
あの定番のやつ。
緑のライトは寝るときに
ちょっとした哀愁を漂わせていた。
今の家は蚊取り線香。
効果でいえばきっと前者の方が強い。
それでも、なぜか線香に火をつけたくなる。
煙とノスタルジー
たぶん、蚊取り線香は
効能より情緒を楽しんでいる。
煙のゆらぎ
どこかなつかしさを感じる香り
そういうものが、夏の始まりを教えてくれる。
蚊取り機器は様々ある。
液体タイプ、プレートタイプ、ファン式やUSB式、
スプレー・ワンプッシュタイプ。
時代の進歩が様々な蚊取りのかたちを作り出す。
どれも便利で現代的。
でも線香のゆるい時間は、
どの家電にも置き換えられない。
蚊取り線香に火をつけると、
夏が静かに始まったような気がする。
効率や性能だけでは測れない、
煙にゆっくり進む火、落ちる灰。
蚊を追い払うための道具なのに、
ずっと眺めていられる癒しもある。
今年もまた、
くるりと渦を巻く煙を眺めながら、
けむくなる部屋でちょっとせき込む。
・・・祖先は蚊だったかもしれない。
