私が彼を殺した 東野圭吾 ネタバレなし
東野圭吾による加賀恭一郎シリーズ第5作『私が彼を殺した』は、前作『どちらかが彼女を殺した』において描かれた「犯人を明示せずに物語を完結させる」という挑戦的な形式をさらに複雑に進化させた作品です。
この作品も読み終えたあと、解説や考察を見るのが楽しい作品です。
かなり面白かった作品で、お気に入りです。
あらすじ
脚本家で、「穂高企画」のオーナーである穂高誠と有名女流詩人の神林美和子は結婚式を迎えようとしていた。しかし、その結婚式当日、穂高誠が毒殺されてしまう。その前日に浪岡準子という女性が自宅で服毒自殺を遂げており、同じ毒であったことから、彼女が仕掛けた無理心中だと考えられた。なぜなら彼女は、毒殺された穂高誠の交際相手だったからである。つまり、自分を捨てて他の女性と結婚しようとした穂高に復讐したと考えられたのだ。
しかしその後、浪岡準子が穂高誠に毒を飲ませることが不可能であることが判明した。毒を飲ませることができた容疑者は3名。一人目は、穂高誠の結婚相・神林美和子の兄・貴弘。彼と妹は禁断の関係にあり、妹が他の男性の手に渡ることを不満に思っていた。二人目は、穂高誠の共同経営者・駿河直之。彼は、穂高誠に裏切られ服毒自殺した女性に好意を抱いていた。三人目は、神林美和子の担当編集者・雪笹香織。彼女は、穂高誠と以前交際しており、彼女が神林美和子に穂高誠を紹介したことから、彼女から神林美和子に乗り換えるという裏切りを受けた過去を持っていた。
事件の鍵を握るのは、服毒自殺した女性が残した毒入りカプセルの数とその行方。加賀刑事が探りあてた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。
殺意の正当化
本作はパズルとしての犯人当てに留まらず、三者三様の「殺意の正当化」を描いた心理小説としての側面を持っていることが特徴です。
容疑者たちは皆、自らが手を下したと確信しながら物語を終えますが、その確信の背景には、被害者である穂高誠という人物が周囲に振りまいた傲慢さと、それに対する憎悪の蓄積が存在しています。
この「殺意の共有」という奇妙な状況が、論理的なパズルをより複雑にし、読者を翻弄する最大の仕掛けとして機能していると思います。
容疑者三名の心理的葛藤
本作の叙述における最大の特徴は、神林貴弘、駿河直之、雪笹香織の三名がそれぞれ一人称視点で自らの心情と行動を語る点にあり、都合の悪い行動や心理が意図的に省略されているのではないかと疑いながら読めて面白かったです。
容疑者全員が殺意を持っているので、みんな怪しく見えて、逆に難しかったです。
終わりに
本作の謎解きにおいて毒入りカプセルの数量管理は、犯人を特定するための不可欠なプロセスです。
誰がいつ、どこから毒を入手し、何個使用したかを整理することで犯人に迫れます。
もっとも、自分はネットで言われてる犯人にはたどり着けませんでしたが💦
『どちらかが彼女を殺した』を楽しめた方はぜひ読んでみてください!
今回もありがとうございました。
