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レヴリフレンズ『星見山』110話|量子的物語①|認識の不安定さ

クモ
「量子的物語についてだが」

「どうにも納得いかなくて…」

ハクウン
「素直な感想だと思いますよ」

クモ
「フィクションでもあり
ノンフィクションでもある,
というのが理解できないんだ」

ハクウン
「それについては,やはり
誤解を与えてしまったようで
申し訳ない」

クモ
「違うのか?」

アリ
「でも,
ハクウンはそう言ってなかったか?」

ハクウン
「はい」

「たしかに,
そう言いましたね」

サル
「嘘なのかよ?」

ハクウン
「いいえ,嘘ではありません」

サル
「どっちなんだよ」

パンダ
「何か,もう頭が
こんがらがってきたよ」

ハクウン
「きちんと説明しますね」

「フィクションか
ノンフィクションかどうかは,
どちらか一方に決まります」

サル
「話が違うんじゃねぇか?」

ハクウン
「ただし,それが決まるのは
物語に触れた後です」

サル
「どういうことだよ?」

クモ
「なるほど,
物語に触れた段階では
どちらか一方に決まるが,
それまではどちらでもない,
と言いたいのか」

ハクウン
「そういうことですね」

クモ
「だから,"量子的"なのか」

アリ
「それなら,分からんでもないな」

サル
「俺は,まだ分かんねぇよ」

パンダ
「僕も,追いつけてないよ…」

ハクウン
「物語が読まれる前は
フィクションとノンフィクションが
重なり合ってる状態なんです」

「読むという観測によって,
その観測者の中で
どちらかに"決まる"
ということですね」

サル
「じゃあ,どっちが正しいんだよ?」

ハクウン
「どっちも正しいと思います」

サル
「んなわけねぇだろ?」

「正解は一つだろ?」

ハクウン
「その疑問はよく分かりますが」

「少し難しい問いですね」

「ただ,
"正解は一つとは限らない"
ということなら,
いくつかの見方から
確かめることはできます」

クモ
「ぜひお願いしたい」

ハクウン
「世界による認識の違いについて
体験してみましょう」

「では…」

「この形は,何でしょうか?」

アリ
「長方形やな」

サル
「は?」

「どう見ても丸だろ?」

クモ
「いや,長円形…
オーバルのようにも見えるな」

小鳥
「円柱じゃないかしら?」

サル
「どれが正しいんだよ?」

ハクウン
「全部"正しい"と言えますね」

サル
「そんなのおかしいぜ」

「丸以外有り得ねぇよ」

パンダ
「同じ物を見ているのに,
何でこんなにも答えが違うの?」

ハクウン
「サルさん,
少し寝そべってくれますか?」

サル
「何だよ,急に」

「これでいいのか?」

ハクウン
「その体勢のまま
もう一度これを見てください」

「どんな形をしていますか?」

サル
「んなの丸に…」

「!?」

「あれっ?」

「長方形じゃねぇか!?」

「さては,ズルしたな!」

クモ
「いや,
トリックなんて
ないと思うぞ」

アリ
「誰も何もしてへんからな」

小鳥
「もう一度,立って見てみたら?」

サル
「上からか?」

「あれっ?」

「また,丸になったじゃねぇか」

「どうなってんだ?」

クモ
「同じ物でも,
視点によって見え方が変わる
ということか」

ハクウン
「そういうことですね」

アリ
「せやから,
空飛べる小鳥には
立体的に見えてた
っちゅうことか」

サル
「てことは,
小鳥が正解じゃねぇか」

ハクウン
「それは"正しさ"の扱い方によって
変わってくると思います」

「その話は,後にするとして…」

「ここで,
一つ分かってもらえたことは
同じ情報に触れても
認識は一つとは限らない,
ということですね」

「認識というものは
思っている以上に
不安定なものなのです」

フクロウ
「一つの情報が生み出す認識は」

「"世界"というフィルターを通すことで」

「見え方が異なり」

「一意に決まるとは限らない」

「どれが正解なのかのう?」

レヴリフレンズ|認識の不安定さ

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