レヴリフレンズ『星見山』101話|星見山
フクロウ
「ここが,星見山じゃ」
サル
「えっ?」
「ここが星見山か?」
アリ
「霧でよく見えんけど,
山なんて
どこにもないやんけ…」
クモ
「遠くからは,
たしかに山が
見えていたのに…」
パンダ
「山が消えた!?」
小鳥
「そんなこと,
あり得るのかしら?」
⸻
猫
「どうしたの?」
「不思議そうな顔して」
クモ
「ここは,星見山か?」
猫
「そうだけど?」
「あら?」
「それは…」
「魂石ね!」
アリ
「賢者にプレゼントしよ思てな」
⸻
猫
「量子的物語ね」
「面白そうじゃん」
「"賢者"なら
喜んでくれると思うよ」
クモ
「読めるのか!?」
猫
「うん…?」
「そんなことより,
賢者に会いに来たんでしょ?」
「案内してあげる」
サル
「ありがとよ!」
⸻
アリ
「山なんてないのに,
何で"星見山"って
言われてるんや?」
猫
「ふーん」
「山って何?」
サル
「山は山だろ?」
クモ
「まぁ,実際
色々な意味があって,
抽象的な表現のようにも
使われたりもするしな」
パンダ
「たとえば?」
クモ
「物語の重要な部分を山と言ったり,
仕事の山を越えた,と
表現したりもする」
⸻
猫
「それに,
見えないから"ない"って
決めつけるのも
どうかと思うよ」
サル
「見えないものはねぇだろ?」
猫
「見えるって何?」
「空気は見える?」
「透明な水やガラスだって
"定義"によっては
見えているとは言えないけど,
いずれも物質として
存在してるよ」
⸻
パンダ
「たしかに」
「見えるって…」
「存在って何だろう?」
猫
「目に見えない風の存在を
疑うことなく受け入れてる時点で,
見えるかどうかは
存在の保証には
ならないと言えるし」
「ダブルスタンダード
になってるよね」
クモ
「理屈では,そうなるか…」
⸻
猫
「それでも,まだ
あなたの後ろで声がしても,
"見えないから誰もいない"
と言い張れる?」
クモ
「それは,
やや極論のような気が…」
猫
「そうね,
極論と言えるね」
「けど,極論は
一般論を突き詰めたものなんだ」
「そこに明確な境界が
引けないことも多く,
無意味なものではないよ」
小鳥
「サルさんの気持ちも
もちろん分かるけど,
"見えないからない"
というのは,
他の感覚を否定することにも
なりかねないわね」
サル
「別に,
そんなつもりは
ねぇけどよ」
⸻
猫
「とにかく,ここでは
その素朴実在論的な考え方は
よした方が賢明かもよ」
サル
「何だよそれ?」
「祖母…?九時…?辛い…?」
クモ
「素朴実在論」
「早い話,
見たものしか信じない
という考え方だ」
サル
「何でだよ?」
「それでいいじゃねぇか?」
⸻
猫
「普段は,もちろん
それでもいいよ」
「けど,ここでは
迷子になってしまうんだ」
パンダ
「迷子…?」
猫
「迷子と言っても,
別の世界に移るだけだけど」
「"あなたの真実"が
過ごしている世界に」
「常識という名の,
凍りついた真実が
支配する世界にね」
クモ
「どういうことか分かるか?」
アリ
「さぁな」
⸻
フクロウ
「常識は」
「真実から"生"を奪い」
「一面だけを映し出す」
「便利な反面」
「縛られぬようにせねばのう」

