レヴリフレンズ『縁』1話|レヴリと記憶
揺らぐ風
『縁』に流れ着いた
レヴリたちが姿を現し
言葉が呼吸をし始める
⸻
サル
「ふと,疑問に思ったんだが」
「俺たちレヴリは,
ユニヴェールの人間の思考が
具現化したものだろ」
「それで,
この姿は仮の姿なわけなんだが,
どうしてその姿の記憶があるんだ?」
「俺は木の実の味を知ってるし,
小鳥さんは,
空を飛んでた記憶があるんだろ?」
「それに,カマキリやクモは,
触角で情報を察知できるみてぇだしよぉ」
「ちょっと不思議な気がしねぇか?」
パンダ
「言われてみれば,
記憶が混在していて
不思議な感じがするね」
カマキリ
「記憶…か」
サル
「あん?」
カマキリ
「いや,何でもない」
⸻
フクロウ
「因果が逆じゃよ」
サル
「どういうこったい?」
フクロウ
「サルだから木の実の味を知っている
のではなく,
木の実の味を知っているからサル
なんじゃよ」
サル
「いや,
ますます意味わかんねぇよ」
⸻
フクロウ
「ユニヴェールの思考が
ここ『レヴリ』で具現化する際に,
思考に応じた姿で
具現化されるんじゃよ」
「パンダのような思考はパンダとして,
サルのような思考はサルとして
具現化されるというわけじゃ」
サル
「何か」
「ディスってねぇか?」
⸻
クモ
「ちょっと待て」
「レヴリは俺たちのことだろ?」
「ここは『縁』と呼ばれているぜ」
フクロウ
「どちらも正しい」
サル
「どういうこったい?」
フクロウ
「お主らレヴリは,
ユニヴェールの空想じゃろ?」
「この世界もまた然りじゃ」
「つまり,
ここにあるもの全て,
この世界自体も
レヴリなんじゃよ」
「『縁』とは,
この場所のことを
指しておるんじゃ」
サル
「ちょっとややこしなぁ」
⸻
フクロウ
「話を元に戻すとじゃな」
「ユニヴェールの思考が
レヴリで具現化する際に,
人間の思考だけの情報だと
バグが生じるんじゃ」
「具現化された姿に,
本来あるべきはずの記憶がないと
違和感を覚えるじゃろ?」
「すると,
この思考のプログラムが
うまく動作せんのじゃ」
「だから,
姿に応じた"記憶"を
レヴリで付加しているのじゃよ」
パンダ
「この記憶はニセモノってこと!?」
カマキリ
「ニセモノとは?」
パンダ
「うーん…」
⸻
フクロウ
「そうじゃな」
「ホンモノとニセモノを区別するのは,
思っているよりも難しい」
小鳥
「何だかショックだわ」
サル
「俺の記憶は嘘っぱちかよ」
フクロウ
「そう思ってしまう気持ちは分かる」
「だが,よく考えるんじゃ」
「記憶がホンモノかニセモノかどうかよりも
もっと大切なことがあるんじゃないのかい?」
パンダ
「大切な…こと」
フクロウ
「そうじゃ」
「記憶がホンモノかニセモノか,
これは考えても答えは出せない」
「それよりも,
もっと手前にキラキラ光る
宝物が転がっとるじゃろう?」
サル
「たからもの?」
「何だよそれ?」
フクロウ
「それは,ワシには見えん」
バッタ
(フクロウだけに ´|` )
フクロウ
「見えるのは,自分のみじゃ」
「自分で見て,
自分で考えて,
自分で理解する」
「それしかないんじゃよ」
サル
「よくわかんねぇぜ」
⸻
サル
「そもそもよぉ,
何でこんなややこしいシステムなんだ?」
「ユニヴェールの人間の思考なんだから,
あっちで何とかできねぇのかよ」
フクロウ
「おや,
知りたいのか?」
サル
「知りたいぜ!」
クモ
「興味深いな」
フクロウ
「この話は長くなるから,
またの機会にな」
サル
「ちぇっ」
クモ
「約束だぞ」
⸻
大木
「ホンモノとニセモノの絶対的な区別」
「難しいのぅ」
「それを逆手に取れば,
何を信じるかによって
世界は変わる,変えられる,
ということなのかのぅ」
⸻
風の微笑み
向かうのは先か後か
その答えもまた
流れゆく風の如し

