レヴリフレンズ『縁』24話|桜
アリはずっと考えていた
⸻
アリ
「…」
「…」
「…」
⸻
足音だけが
風に運ばれて
⸻
アリ
「…」
「…」
「ん?」
サル
「どしたよ?」
「難しい顔して」
パンダ
「この前のこと
考えてたの?」
アリ
「まぁ…」
サル
「気にすんなって」
「悪いことしたわけじゃ
ねぇんだからよ」
「もし,自分で
違うなって思ったら,
次から変えれば
いいだけのことよ」
パンダ
「まぁ,でも
考えちゃうよね」
アリ
「サルの言う通りや」
「分かっては
いるんやけどなぁ…」
⸻
クモ
「そういう時は,
空を見上げるといいらしい」
サル
「俺もよくやるぜ!」
ヘビ
「必要なさそうだがな」
サル
「うっせぇよ」
「サルにも,サルなりの
事情があんだよ」
⸻
アリ
「綺麗やな」
小鳥
「ほんと,
力がみなぎる感じ」
サル
「あん?」
「桜のことか?」
「まだ,蕾じゃねぇか」
パンダ
「うーん…」
サル
「桜は,
やっぱ満開が
一番だぜ!」
「お花さんも,
賑やかな方が
楽しいってもんよ」
小鳥
「そうね」
「たしかに,
満開の桜は
とっても美しいと思うわ」
「だけど,
何だかちょっぴり
切ない気持ちになるの」
サル
「えっ??
どうしてだよ?」
小鳥
「分からない」
「分からないけど,
そう感じるの」
⸻
クモ
「同じような意見を
聞いたことがある」
コウモリ
「散っていく…
からじゃないか?」
パンダ
「散っていく?」
⸻
コウモリ
「蕾の状態から始まって,
開花してから,
◯分咲きの状態を経て
満開になる」
「ここまでは,
ずっと上り調子と言えるが,
満開になってからは,
花が散って
やがて葉桜になっていく」
「もちろん,
葉桜が"下"とは思わないが,
桜の花びらの観点から言うと
"終わり"と言える」
「つまり,
満開の状態は,
終わりの始まり
でもあると言える」
クモ
「なるほど」
「そう言われると,
切なく思う気持ちも
筋が通っているな」
⸻
サル
「でもよぉ」
「やっぱ,俺は
満開派だぜ」
パンダ
「僕も,
満開が好きかな」
小鳥
「私は,
7分咲きくらいが
一番好きだわ」
カマキリ
「私は,蕾だ」
ヘビ
「虫は蕾が好きなのか!?」
アリ
「たまたまや思う」
⸻
パンダ
「どうして蕾?」
カマキリ
「さぁな」
小鳥
「蕾は,独り黙々と
頑張っているように見えるわ」
「外の世界も分からずに」
「でも,
決して弱音を吐かず」
「自分を,
未来を,
信じて」
「希望という殻に包まれながら
必死に生きている」
「カマキリさんには,
そんな風に見えているのかしら?」
カマキリ
「…」
⸻
サル
「ふんっ」
「そんなの
わかんねぇじゃねぇか」
「案外,蕾の中は
天国かもよ」
「ぬくぬくと
優しさに包まれて,
安全に包まれて」
「寝転びながら
飯を食ってるのかも
しんねぇぞ?」
「それが,
急に裸になったかと思いきや,
大勢にジロジロ見られて
気味悪がってるかもな」
⸻
蕾はただ,
時折り吹く
淡い風に
ゆらゆらと
⸻
クモ
「まぁ,俺たちは
蕾の気持ちなんて
知りようがないわけで」
「ただ,
一つ言えるのは,
たしかに,
蕾はエネルギーに
満ち溢れた状態
と言える」
「そこに
感銘を受ける気持ちは,
何も不思議ではない」
⸻
誰が言ったわけでもないが
なぜか,みな一斉に
空を見上げた
小鳥の句が
空へと旅立つ

