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人生のフィルムに「幸せ」を焼き付ける方法。過去は変えられなくても、記憶は書き換えられる。

はじめに:再生し続ける「あの場面」

私たちの心の中には、一台の映写機があるようです。

そして、なぜだか私たちは、人生という長いフィルムの中から、決まって「あの場面」ばかりを選んで再生してしまう癖があります。

「あの時、あんなことを言わなければ」 「どうして、もっとうまくできなかったんだろう」 「あの経験さえなければ、私の人生は違ったはずなのに」

それは、後悔や、痛み、恥ずかしさといった感情を伴うシーンかもしれません。頭では「過去は変えられない」と分かっているのに、心は何度もそのフィルムを巻き戻し、再生ボタンを押してしまう。

そのたびに、私たちは「今」この瞬間にいるにもかかわらず、過去の痛みの中で立ちすくんでしまいます。

もし、あなたがそんな風に、変えられないはずの過去のフィルムに縛られ、今の幸せを見失いそうになっているのなら。

この記事は、そんなあなたへ送る、小さな希望の手紙です。 「過去」という事実は変えられなくても、そのフィルムに焼き付いた「記憶」や「意味」は、今のあなたの手で、新しく書き換えることができるのです。

1. 「過去の事実」と「現在の記憶」は別物です

私たちが「過去」と呼んでいるものは、実は二つの要素で出来ています。 一つは、変えることのできない「事実」。 もう一つは、変えることのできる「解釈」、つまり「記憶」です。

例えば、「テストで悪い点をとった」という「事実」があったとします。 この事実は、タイムマシンでもない限り変えることはできません。

しかし、その事実に紐づいている「記憶」は、人によって、そして時によって変わります。

ある時は、「私はダメな人間だという証拠だ」という「記憶」だったかもしれません。 けれど、大人になった今なら、「あの時の悔しさが、学ぶことの大切さを教えてくれた」という「記憶」に変わっているかもしれません。

同じフィルムのワンシーンでも、当てる光(解釈)によって、見える色合いはまったく変わってくるのです。

私たちが苦しんでいるのは、多くの場合、「過去の事実」そのものではなく、その事実に貼り付けてしまった「ネガティブな記憶」の方なのです。

2. 筆者の体験:「すべてがプラスになった」あの瞬間のこと

かつての私は、この「ネガティブな記憶」というフィルムを、それこそ擦り切れるほど再生し続けている一人でした。

自分の過去の経験や、特に複雑だった親との関係。それらが、今の私の「うまくいかなさ」をすべて証明しているように感じていました。まるで、過去が現在の足を引っ張っているかのように。

「あの経験がなければ」 「あの環境でなければ」

そうやって、変えられない過去を呪っては、今の自分を諦める理由にしていました。

その「フィルム」が、まったく違う意味を持っていたと気づいたのは、本当に、ふとした瞬間でした。

それは、電車で仕事先に移動中の、ふっと気をゆるめていた瞬間でした。

車窓を流れる景色をぼんやりと眺め、何も難しいことを考えていない、まさに「ゆるんでいた」その時。

何の脈絡もなく、ふと、一つの感覚が降ってきたのです。

「ああ、そうか。あの過去の経験が、今につながっているんだ」と。

それは、頭で考え出した「理屈」ではありませんでした。まるで、心の底から湧き上がってきたような、温かい「実感」でした。

親との関係や、自身のつらかった経験すべてが、無意味なものではなく、今の私を形作るために、今の私が誰かの心に寄り添うために、絶対に必要なピースだったのだと、ふと思えた瞬間がやってきたのです。

その瞬間、私の中で「カチリ」と音がしました。 映写機のフィルムが、まるで新しいものに入れ替わったかのように。

あれほど私を苦しめていた過去のすべてが、その一瞬で、私を支える「土台」へと変わりました。すべての過去の経験が、今の私を肯定するための「プラス」になったのです。

「事実」は何も変わっていません。 しかし、そのフィルムに焼き付いていた「記憶」の意味づけが、根底から書き換わった瞬間でした。

3. あなたのフィルムに「幸せ」を焼き付ける編集室

この体験から私が確信したのは、記憶の書き換えは、歯を食いしばって「頑張る」時ではなく、むしろ、ふっと「ゆるんだ」時に起こるということです。

あなたがもし、過去のフィルムを書き換えたいと願うなら、難しいテクニックは必要ありません。ただ、今のあなたが、あなたの「古いフィルム」の、優しい「編集長」になってあげるだけです。

編集作業1:フィルムを「観客」として眺める

まずは、あなたの心を苦しめる、あの「古いシーン」を思い出してみてください。 ただし、今回は「当事者」として感情移入するのではなく、映画館のシートに座る「観客」として、スクリーンに映し出されるのをただ眺めます。

「ああ、あの時の私は、こんなに傷ついていたんだな」 「こんなに、一人で頑張っていたんだな」

ただ、客観的に、その事実を眺めてあげます。

編集作業2:そのシーンが「今」にどう繋がっているか探す

次に、編集長であるあなたが、そのシーンに「新しい意味」を与えます。 「あのシーンがあったからこそ、今の私に繋がったことは何だろう?」と、自分に優しく問いかけてみてください。

・あの時の悔しさが、今の粘り強さに繋がっているかもしれない。 ・あの時の孤独が、人の痛みに寄り添える優しさに繋がっているかもしれない。 ・あの時の失敗が、今の慎重さや、深い洞察力に繋がっているかもしれない。

どんなに小さくても構いません。電車の中で「ゆるんで」いた私に気づきが訪れたように、あなたも力を抜いて、その繋がりを探してみてください。

編集作業3:「今の幸せ」で上書きする

そして、一番大切な作業がこれです。 あなたの「今」にある、小さな幸せ。その温かい光で、古いフィルムを「上書き」してしまいます。

「温かいコーヒーが美味しい」 「猫が隣で寝ている」 「空が綺麗だ」

その「今の幸せ」を感じながら、「あの過去があったからこそ、今のこの温かさが分かるんだ」と、過去と今を「幸せ」で繋ぎ直してあげるのです。

これを繰り返すうちに、あなたの古いフィルムは、過去の痛みを再生するものではなく、現在の幸せをより深く味わうための「前フリ」だったのだと、新しい「記憶」に書き換わっていきます。

おわりに:あなたは、あなたの人生の「編集長」

過去は変えられません。 しかし、その過去をどのような「記憶」として今の自分の中に持っておくかは、あなたが自由に選ぶことができます。

あなたの人生のフィルムは、誰のものでもありません。あなただけのものです。 そして、あなたはそのフィルムの、唯一無二の「編集長」です。

もう、痛みのシーンばかりを再生し続けるのは、終わりにしませんか。 過去のすべてが「今」のあなたのためにあったのだと気づいた時、あなたのフィルムは、眩しいほどの「幸せ」を、未来に向かって焼き付け始めるのですから。


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