【注意喚起】そのバッテリー、本当に大丈夫?――夏に気をつけたいリチウムイオン電池

スマートフォン、モバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホン、携帯扇風機、ノートパソコン。

そして電動アシスト自転車やポータブル電源。

気がつけば、私たちの身の回りはバッテリーを搭載した製品だらけになりました。

特に広く使われているのが「リチウムイオン電池」です。

小さくて軽い。それなのに大量のエネルギーを蓄えられる。

非常に便利な技術なのですが、だからこそ扱い方を間違えると危険なものでもあります。

そして、特に注意したいのが暑くなる夏です。


電池の中に「電気」が入っているわけではない

そもそも、バッテリーの中には電気そのものが詰め込まれているわけではありません。

大ざっぱに言えば、バッテリーは「化学エネルギーを蓄えておき、必要なときに電気エネルギーとして取り出す装置」です。

通常であれば、この反応は制御されています。

ところが、強い衝撃や高温、内部短絡、過充電、劣化などによって異常が起きると話が変わります。

化学反応によって熱が発生する。

温度が上がる。

温度が上がったことで、さらに反応が進む。

そして、また熱が発生する。

この連鎖が止まらなくなるのが「熱暴走」です。

つまり、

「電池の中に熱が貯まっていて、それが突然出てくる」

というより、

「蓄えられていたエネルギーが、異常によって急激に熱へ変わってしまう」

と考えたほうが分かりやすいでしょう。


夏の車内に置きっぱなし、やっていませんか?

夏場に特に注意したいのが高温です。

たとえば、

「モバイルバッテリーを車内に置いたままにする」

「スマートフォンを直射日光の当たる場所に放置する」

「充電しながら布団やクッションの上で使う」

といった行為。

どれも珍しいことではありません。

しかし、バッテリーにとって高温は好ましい環境ではありません。

特に真夏の閉め切った車内は非常に高温になります。

車から降りるとき、財布やスマートフォンは持っていく。

でも、予備のモバイルバッテリーはカバンの中。

携帯扇風機は車の中。

こういうことは普通にありそうです。

「火を使っているわけじゃないから大丈夫」

ではありません。


落としたバッテリーも少し気にしてほしい

もう一つ注意したいのが衝撃です。

スマートフォンを落とした。

モバイルバッテリーを落とした。

携帯扇風機を落とした。

でも普通に動いている。

だったら大丈夫。

……とは限りません。

外側に大きな傷がなくても、内部にダメージが入っている可能性があります。

一度落としただけで必ず危険になるわけではありませんが、その後に、

「以前より異常に熱くなる」

「充電がおかしい」

「本体が膨らんできた」

「変な臭いがする」

などの異常が出てきた場合には、使用を続けないほうがいいでしょう。

特に「膨らんでいるけど、まだ使えるから使う」はやめましょう。

使えることと、安全であることは別です。


安すぎる製品にも注意

ネット通販では、非常に安いモバイルバッテリーや充電機器も販売されています。

もちろん、安いから危険、高いから安全と単純に決めつけることはできません。

ただ、価格だけで選ばないことは大切です。

日本国内でモバイルバッテリーなどを購入する場合には、PSEマークの確認も一つの基本になります。

メーカーや販売元がよく分からない。

表示が不自然。

異常に安い。

そうした製品については、少し慎重になったほうがいいでしょう。

数千円を節約するために、火災のリスクまで抱える必要はありません。


捨てるときまでバッテリーはバッテリー

そして意外と忘れられるのが、廃棄するときです。

「もう使わないからゴミ」

になった瞬間に、バッテリーの中からエネルギーが消えるわけではありません。

リチウムイオン電池を不適切にゴミへ混ぜると、収集や処理の途中で圧力が加わり、発火する可能性があります。

家庭から離れたあとに、ゴミ収集車や処理施設で火災につながることもあります。

捨て方は自治体や製品によって異なるため、住んでいる地域のルールを確認してください。

「燃えないゴミっぽいから、これでいいだろう」

で捨てないことです。


全固体電池になれば安全なのか?

今後、普及が期待されているのが「全固体電池」です。

従来のリチウムイオン電池で使われる液体の電解質を固体にすることで、安全性を高められる可能性があります。

可燃性の液体電解質に由来するリスクを減らせるため、現在の電池より安全性を高められると期待されています。

ただし、

「全固体電池=絶対に燃えない」

と考えるのは早いでしょう。

そもそも電池とは、エネルギーを蓄える装置です。

大量のエネルギーを小さな場所へ蓄える以上、そのエネルギーを安全に管理する必要があること自体は変わりません。

技術が進歩すれば事故は減らせるでしょう。

しかし、

「新しい技術だから雑に扱っても大丈夫」

にはならないのです。


バッテリーは便利だからこそ、少しだけ気にしておこう

リチウムイオン電池は危険だから使わないほうがいい。

そんな話ではありません。

むしろ、これほど便利なものを使わない生活は、今ではかなり難しいでしょう。

だからこそ大切なのは、

高温になる場所へ放置しない。

強い衝撃を与えない。

異常に熱くなったら使うのをやめる。

膨張や異臭などの異常を無視しない。

信頼できる製品を選ぶ。

そして、捨てるときは自治体などのルールを確認する。

ほんの少し意識するだけでいいのです。

私たちは毎日、ポケットやカバンの中にかなりのエネルギーを持ち歩いています。

普段は安全に制御されているから、それを意識することはほとんどありません。

でも、便利なものほど「いつも大丈夫だったから大丈夫」と思ってしまいます。

夏は特にバッテリーにとって厳しい季節です。

スマートフォン。

モバイルバッテリー。

携帯扇風機。

イヤホン。

ノートパソコン。

電動アシスト自転車。

家の中やカバンの中を一度見渡してみてください。

「これ、ちょっと熱くなってないか?」

「膨らんでないか?」

「車に置きっぱなしにしてないか?」

その程度の確認で十分です。

便利なものは、正しく使ってこそ便利です。

この夏、一度だけでもバッテリーの状態を確認してみましょう。

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