第135話|都市と人
都市は、人がいなければ成立しない。
道路も、ビルも、電車も、それだけではただの構造物だ。
そこを使い、働き、移動し、消費する人間がいることで、初めて都市は動き始める。
だから都市は、常に人を集めようとする。
仕事。
学校。
店。
娯楽。
情報。
都市はさまざまなものを用意し、人を引き寄せる。
だが都市は、人に何かを与えるだけではない。
同時に、奪う。
時間。
体力。
集中力。
睡眠。
感情。
満員電車。
騒音。
人混み。
比較。
情報量。
都市は便利だ。
だが便利さの裏で、人間を少しずつ消耗させてもいる。
一方で、都市は人を太らせもする。
食べ物は簡単に手に入る。
移動距離は減る。
座ったままの仕事も多い。
欲しいものはすぐ届く。
刺激も多い。
都市は、人間の本能を満たしやすい環境を作る。
だから都市は、人間を進化させるようでいて、別の方向へ変化もさせていく。
面白いのは、この影響が全員に同じではないことだ。
都市が合う人もいる。
刺激が多いほうが動ける人。
情報量が多いほうが安心する人。
人混みの中の匿名性が楽な人。
逆に、合わない人もいる。
雑多な音が多すぎる。
人の関係の複雑性。
あらゆる情報が多すぎる。
都市にいるだけで疲れてしまう人もいる。
だから都市は万能ではない。
大きな街が、すべての人間にとって最適なわけではない。
都市は、人を集める。
だが同時に、人を選んでもいる。
人が都市を選んでいるように見えて、実際には都市との相性も確実に存在している。
都市は巨大な装置だ。
その中で、人は便利さと疲労を交換しながら生きている
