第124話|都市のはじまり
都市の始まりは、人が集まったことではない。
生き延びるための条件が、一箇所に集まったことだ。
最初に生まれたのは、市場だった。
余ったものを持ち寄り、足りないものと交換する。食料や道具は、生きるために必要だった。
人は同時に、祈る場所にも集まった。
不作や病、死への不安に対して、何かを差し出し、見えない力にすがった。
そしてもう一つ、欠かせないものがあった。
防衛だ。外敵や略奪から身を守るため、人は壁を築き、権力を集中させた。
市場、祈り、そして防衛。
この三つが揃ったとき、人はその場所に留まる理由を持った。
都市は欲望のために生まれたのではない。
生存確率を上げるために作られた。
だが人が集まることで、欲望は増幅される。
都市はやがて、生きるための場所から、満たすための場所へと変わっていく。
