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パナソニックミュージアム ものづくりイズム館を見学して (前編➡

2025年12月26日をもって閉館するパナソニックミュージアムの「ものづくりイズム館」に駆け込みながら足を運んできた。もともとは「松下幸之助歴史館」であった建屋を期間限定で改装したものであり、2018年から約7年間に渡って開館してきた。ここでは見学の振り返りを兼ねて、特に印象に残ったポイントをいくつか抜粋して雑感を添えながら記載する。

 ~写真も多く引用しているので前編 / 後編で記載する🍎~


1.コンセプトシアター展示「技術者魂」より

松下幸之助氏とその右腕を務めた中尾哲二郎氏の「技術者」として言葉を綴ったシアター展示が入口から入ってすぐにあった。ここでは「技術者」に関連する10を超える言葉が紹介されていたが、自分も技術者として社会人を歩む立場である中で多くの言葉が刺さった。ここでは特に自分の心に刺さったものを3つ抜粋して紹介する。

その① 基本的に大切なのは何かを考える

ここで紹介される言葉の中で、「なお、それが安くなっていくように努力する」という一節が今の自分にとっては特に印象的であった。今は大きな流れとして "製品の高付加価値化" を目指そう目指そうとする中で、もしかすると「合理化する」「安くする」という観点が相対的に蔑ろになっているかもしれないと思わされた。

実際には "蔑ろ" という段にまでは達していなくとも、『高付加価値化』という大義名分がコストを絞り切ることに対する意識をどこか反らせてしまっているかもしれない。「自分は商売人としてどうあるべきか?」について今一度立ち戻ることが求められているのではないかと感じた。

私がやっていた電器屋であれば、ほんとうに人びとの役に立つようないいものを開発し、それをつくるに当たってはできるだけの合理化をはかって、適正な利益というものをとりつつもなお、それが安くなっていくように努力する。またそれを配給する過程においても、できるだけムダのないようにする。そういったことに誠心誠意つとめるところに、電器屋としての使命があり、それを全うしていくことが商道徳の根本だと思う。

大事なことは、今日においてどうあるべきかを考えるというよりも、商売人として基本的に大切なのは何かを考えるということである。そこにお互いの商道徳を見いだし、それに即して自分がそれを全うしているかを自問自答することである。

昭和49年3月 松下幸之助 著 「経済談義」

その② 絶えず現場で訓練する

経営を担う立場であっても、「絶えず現場に足を運ぶ」ということが大切であることを明言している点が印象的であった。自分もマネジメントを担う立場であるが、目先の仕事回しに意識を取られてしまい、油断すると現場から足が離れてしまいがちである。現場から引き剝がす様な、ある種の反力が働いている様にも思う。立場上、自分を注意できる人も少なくなっていることから、この点については本当に強い自制が求められると日々感じている。

だからこそ、幹部社員への講話の中で「絶えず現場に足を運ぶ」ということを明言されている点が今の自分に刺さるところであった。

社会の問題はやはり現場におって絶えず訓練することが大切だと思います。日々訓練をやる。まあ研究に没頭する。そうして、しかも研究にとらわれないようにやる研究しておって、かつ自分はその研究を高みからみているというような態度ですね。

もしそういう態度を忘れたならば、その研究にとらわれてしまうというようなことになって、ふっと気がついたときには、もう遅れてしまうというようなことになる。ですから、つかず離れず、しかも独り道場で訓練して体を鍛えていく。というような態度というものが必要です。

昭和45年3月16日 松下電器幹部社員への講話

その③ 経営理念に合格するような商品

経営理念とは自らの立ち振る舞いを顧みる際の指針として捉えていた。それに対して、ここでの「経営理念に合格する」という表現は自分にとって経営理念の捉え方を揺さぶるものであった。正直なところ、今の自分にはまだ『「経営理念に合格する」とはこういうことだ』というを自分の言葉で説明することはできないと思う。だからこそ、目を引かれた部分もあった。

マネジメントを担う立場として明確な答えのない問いと向き合う機会が増えているが、その中では「経営理念に合格する」というキーワードを頭の片隅におきたいと思う。この言葉を自分の言葉で説明できる様になった時が、一回り成長した時なのかもしれない。

新製品の開発、また決定の時に、本当に需要家に喜んでもらえる製品かどうかについて、真剣にメスを入れてみただろうか。そして十分に確信のある製品を送り出していくということをしない限り、今後の発達はおぼつかないというように思う。

技術を担当している皆さんが、本当に社会のためになる、松下幸之助相談役の言っておられるような経営理念に合格するような商品をつくっていくのだという信念をもって、商品開発を進めていくことが非常に大事なことではなかろうか。

昭和54年度 "能力開発研究大会" の特別講演より  

2.テクノロジー展示「モノづくり競技大会」より

本フロア展示の一角 "技能伝承のための人づくり" では、会社として「モノを作る前に人を作る」を体現する1つ仕組みとしての「モノづくり競技大会」の紹介がされていた。ここでは、モノづくり競技大会の背景や変遷、競技参加人口の推移などを含めた関連情報が紹介されていた。

"技術伝承のための人づくり" の動画展示の中における、以下の一節が自分ととしては最も印象に残ったところである。「商品はあくまでも "人にあわせて" 作っているもの」であることを文字と音声を交えて正面から受け取る中で、改めて強い刺激を受ける次第であった。

近年は、「人材」を「人財」と称したりもするが「人を財と捉える」とは正にこういうことなのかもしれないと思う中で、自らが所属する組織の在り方や部下に対する自らの向き合い方に対する内省を深めていきたいと感じた。

「松下電器は何をつくるところか」と尋ねられたならば、『松下電器は人をつくるところでございます。あわせて商品もつくっております。電器器具もつくっております』こういうことを申せ、ということを言うたことがございます。

その当時、私の心境は『事業は人にあり』。人がまず養成されなければ、人として成長しない人をもってして事業は成功するもんじゃない、という感じがいたしました。

動画展示「ものを作る前に人をつくる」より一部抜粋

3.全体を通じて (前編より)

経営者の立場であっても電機メーカーに勤める以上は心は「技術者」であり続けなければならないのでは?と感じる次第であった。ここでの「技術者」は一般的な "機械をいじって、、、回路をいじって、、、" というよりは、『商品の作り手』という意味での「技術者」かと自分は捉えている。

経営者 (やマネジャー) などの立場で現場から身体が離れた身であっても、心は現場に置き続けて「これから作り出す商品にどの様な影響を与えることができるか?」を絶えず考え続ける必要があるし、そこには明確な答えがないからこそ『経営理念の体現者』である必要があるのだと考えさせられた。

ものづくりイズム館で示されるものは、ものづくりを行う時のこだわりなどの表面的なものではなく、もっと深い "ものづくりを行う者が携えるべき心の有り様" なのだと受け取る次第であった。 (後編に続く)

( ものづくりイズム館、入ってすぐの収蔵庫の写真 )

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「知恵はかい出さんとあかん、井戸から水を汲み上げる様に」を大事にしながら、日々のマネジメントに対する振り返りをツイートしています👇



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