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幼い私に伝えたい「信じられないだろうけど、どら焼き好きになるからね!」

 食についてもっとたくさん書きたいのに、他のことも書きたくてつい後回しになってしまう。日常過ぎるからかな。いつでも書けると思っちゃうのかな。

 今回は、好きでたまらない私のおやつ。
 上の写真とタイトルでバレているけど、どら焼き。

 どら焼きが好きだなあと思いながら食べる時、いつもいつも「好きじゃなかったのになあ」も思う。
 それはもうおじいちゃんやおばあちゃんが繰り返し同じ話を話すように、そのストーリーが出てくる。脳内でしつこいので、表に出してしまいたい。


 幼少期の私は、好き嫌いが激しかった。野菜の繊維が苦手で、気持ちよく嚙み切れない触感とかその時に耳に響く感じ、その繊維からくる野菜のにおいが苦手だった。
 だから一般的に、子供が苦手とされるピーマン、にんじんの類は好きだった。噛み切れるから。
 ほうれん草が好きだったのは、ポパイに憧れていたから。憧れていたというのは、ポパイに好意を寄せるというより、ポパイのようになりたいという意味で憧れていた。
 この辺のエピソードは何度か書いてきた。あの力こぶがほしくて、特にトレーニングもしないけど、鏡の前で何度もポーズをとっては、なけなしの力こぶを母に見せに行っていた。


 味覚の偏りは、お菓子に対しても同じ。
 甘い物だとレーズンも好きだったけど、クッキーはオレオだけ。クラッカーのような少ししょっぱいくらいの方が好きだった。
 甘いだけの物についてはすごく限定されていて。甘い飲み物やアイス、ゼリーの類。冷たかったから好きだったのかも。チョコは熱烈に好きだった時期は何年かあったのに苦手になり、ケーキといえば圧倒的にチーズケーキが好きだった。特にひんやりしたのが。

 生クリームがすごく苦手だったのだ。
 ぬるいから。
 そして脂を感じていたのだろうと今なら思う。

 物心ついた頃、私はニュージャージーで暮らしていて、でもそれは50年ほど前の話。
 母の両親が時々荷物を送ってくれていた。
 どのくらいの大きさだったのだろう。その頃の私にとっては私がすっぽり入りそうなほどの段ボール箱に、日本の物をたくさん入れてくれていた。

 それは箱を家族皆でのぞきこんで、ワクワクする時間。普段見ないような物がたくさん入っていてエキゾチックな空気感が満載だったのだ。
 一度こけしが入っていて「アラ。これかせみに良いじゃない」と渡された時には「……。ええと。これはナンデスカ……」となってしまったけど。小さい子にとっては姿も顔もちょっと怖いよね。

 何よりの楽しみは、カステラだった。
 カステラはぬるくても、ふわふわ体が浮かびそうなほど香りが良い。特に茶色の香ばしい部分がたまらなく好きで、こそげて食べるとか行儀の悪いことをしていた。

 それがある日。
 短い丸太みたいなケーキが入っているではないか。

 なにこれ。いつものとちがうんだ。

 初めて食べた時。のどがつまりそうになり、息苦しくなったと同時に、もわあ~んと独特の香りと、のどを通る時に痛いとさえ感じるような甘さ。

 いやだこれ。もういらない。

 と言ったのは、一六タルトだった。

 この体験を境に長い間あんこが苦手だった。


 ここで一息。

 今の私は、繊維の野菜も、あんこも、大好きだと書いておく。何かを境に劇的に変化したわけではない。徐々に好きになっていった。

 生クリームも徐々に。でも今もカスタードクリームと並べられたら圧倒的にカスタードクリームが好き。
 ただそれは、生クリームの好きな気持ちが少ないからではなくて、カスタードクリームが好き過ぎるというだけ。
 シュークリームとかクリームパンとか、カスタードクリームがたっぷり入っていると、とにかく満足だ。もうこの年齢になると、しょっちゅう食べるなんてことは胃が受け付けてくれないのだけどね。

 私が20歳前後、シュークリームに、カスタードクリームと生クリームの両方が入っているのが流行りはじめ、だんだんと一般的になっていった。
 当時はまだ生クリームが「食べれる」くらいだったので「なんでそんな余計なことをするのだ」と思っていたけど、だんだん両方入っているものの方が好きになっていった。

 そういえば子供のころは屋台でたい焼きを買ったら、あんこが入っているのがイヤで、カスタードクリームが入っているのがあればそれを選んでいた。
 それほどバリエーションもなかった時代なので、あんこが入っているものしかなかった時もある。そんな時は与えられると仕方なく食べるので、側である生地が、たくさんあればあるほど好きだった。
 しっぽまであんこ、なんて論外だと思っていた。

 ……逆よねぇ。

 でも当時はそう思っていたのだ。

 そのくらいあんこは苦手だったし、生地の香ばしさは好きだった。

 徐々に好きになって、あんこが本格的に好きになったのは、ここ5年くらいじゃなかろうか。
 やっと小豆の風味を楽しめるようになったのだと思う。あとあんこの甘さをとうとうおいしいなあとしみじみ思えるようになってきた。

 なので。

 どら焼きがたまらないのだ。

 これまでの話を総合するとおわかりだろうか。
 生地はふっくらでしっとりが良い。香ばしさは必要だ。必ず。要。だ。
 それからあんこもたっぷり。
 生クリームもバランスよくふわっとね。

 そんなわけで、さきほど載せたこのどら焼きが大好きなのだ。

 専門店のももちろん好き。

 栗とか入ってたらもう体が揺れるおいしさ。

 でもとりあえずコンビニのどら焼きもレベルが高い。生クリームとあんこ。おいしいなー。

 幼い私が50年後こんな風になっていると知ったらびっくりするだろう。

 今の私は、見かけたら毎回買ってしまわないよう、食べ過ぎないよう我慢するほどだよ。



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かわせみ かせみ 読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。

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