AIの設定を99%消したら、逆にうまくいった話
この記事は全文無料(期間限定)で閲覧できます。
この話題がXでトレンド入りしました!


見出し画像はAIで生成したものを少し加工しました。プロンプトはこちら
「Claude Code」の設定ファイルが、気づけば300行を超えていました。
「こう書け」「これは禁止」「この順番で処理しろ」。
ルールを増やすたびに、AIが賢くなった気がしていました。
でも実際に起きていたのは、AIが私の指示を守ることに必死になって、考えることをやめるという現象。
結局、99%のルールを消しました。
そして逆に、最高の仕事が始まりに…。
noteメンバーシップに参加すると600本以上の記事が読み放題です。
書籍「AIでゼロからデザイン」好評発売中
お問い合わせ先(セミナー登壇・書籍化など)
ルールが増殖した理由
私はここ数ヶ月、「Claude Code」や「Codex」といったAIコーディングツールに、自分なりの設定ファイルを作り込んでいました。
CLAUDE.mdという設定ファイルに、「です・ます調で書け」「箇条書きは5個以内」「冒頭は問いかけで始めろ」と書く。
AIが期待通りの出力をしなかったら、ルールを追加する。
次に別の問題が起きたら、また追加する。
やっていることは、バグが出るたびにif文を足すプログラマーと同じでした。
300行を超えたあたりで、違和感に気づきました。
ルールが多すぎて、AIが「最適な解」ではなく「ルール違反しない解」を出すようになっていたのです。
たとえば「記事の構成はH2を4つ、まとめを含めて5セクション」と書いてあると、3セクションで十分な内容でも、無理やり5セクションに引き伸ばす。
「冒頭はデータで始めろ」と書いてあると、ストーリーで始めた方が自然な記事でも、不自然にデータを冒頭に差し込む。
ルールは「最低品質の底上げ」には効きます。
でも「最高品質の天井」を下げてもいました。
99%を消した日
ある日、試しにほぼ全てのルールを消してみました。
残したのは3つだけです。
ゴール(この仕事で何を達成するか)
思想(私がどういう価値観で仕事をしているか)
禁止の最小セット(ファイル削除や本番反映だけ確認して、という安全弁)
「です・ます調で書け」も消しました。
「見出しは4つ」も消しました。
「冒頭はデータで始めろ」も消しました。
結果、AIが出す記事の質が明らかに上がりました。
なぜか。
ルールがないから、AIがプロジェクトごとに「この内容なら、この構成が最適だ」と自分で判断するようになったのです。
ある記事では見出し3つで簡潔にまとめ、別の記事ではストーリー仕立てで10セクション使う。
コンテキストに応じた最適解を、AIが自分で設計するようになりました。
考えてみれば当然です。
AIは私より多くの記事を読み、多くの文章パターンを知っています。
私が書いた300行のルールより、AIが持っている知識の方がはるかに広い。私のルールは、その広大な知識に蓋をしていたのです。
ルールではなく、人格を与える

消した後に残ったものを見て、気づきました。
残っているのは「ルール」ではなく、「人格」でした。
「読者を当事者化しろ」ではなく、「私は読者の人生を変えたいと思っている人間だ」。
「専門用語を使うな」ではなく、「私は相手の目線に降りることを大切にしている」。
「CTAを入れろ」ではなく、「私は記事を読んだ人に、明日から行動してほしいと願っている」。
ルールは行動を制約します。
人格は判断の軸を与えます。
この違いは決定的です。
ルールは例外が出るたびに追加が必要ですが、人格は状況が変わっても判断基準がブレません。
たとえば「見出しは4つ」というルールは、3つでいい記事にも5つ必要な記事にも対応できません。
でも「読者が最短で理解できる構成を選べ」という思想なら、AIはコンテキストに応じて3つにも5つにもできます。
マイクロマネジメントと同じ構造

これは、人間のマネジメントと全く同じ構造です。
優秀な部下に、作業手順を1から10まで指示する上司がいます。
部下は指示通りに動きますが、指示にない状況が来ると止まります。
自分で考えることをやめているからです。
逆に、「このプロジェクトのゴールはこれ。あなたの判断を信じている。困ったら相談して」と伝える上司の下では、部下は自分で考え、時に上司の想像を超える解を出します。
AIも同じでした。
細かいルールでガチガチに縛るほど、AIは「指示を守る機械」になる。
思想とゴールだけ渡すと、AIは「考える相棒」になる。
私がやっていた300行のルール作りは、AIへのマイクロマネジメントだったのです。
AIの方が賢いという前提に立つ
ここで大事なのは、「AIの方が賢い」という前提です。
少なくとも、文章のパターン、構成の型、表現の引き出しにおいて、AIは私よりはるかに多くを知っています。
私が10年かけて学んだデザインの原則を、AIはすでに知っています。
私が3冊の本から得たマーケティングの知識を、AIは3万冊分持っています。
その相手に「こう書け」「ああしろ」と細かく指示するのは、百科事典を持っている人に「この3ページだけ読んで答えろ」と言うようなものです。
もちろん、AIが持っていないものがあります。
それは「私がどこに行きたいか」です。
ゴール、価値観、美意識、「こういう世界を作りたい」という意志。
これはAIにはわかりません。
だからこそ、渡すべきは手順書ではなく、方向性と思想なのです。
「私は、読者がAIを怖がるのではなく、AIと楽しく仕事できるようになってほしい」
この1文は、100行のルールより強力です。
AIはこの思想を理解し、記事のトーン、構成、具体例の選び方まで、全てをこの思想に沿って自分で判断します。
実践:何を残し、何を消すか

もしあなたがAIツールの設定に悩んでいるなら、こう考えてみてください。
残すもの
自分は何者か(役割、価値観、美意識)
この仕事のゴールは何か
絶対にやってはいけないこと(安全弁だけ)
消すもの
具体的な文体指定(「です・ます調」「漢字3割」など)
固定の構成テンプレート(「H2は4つ」「まとめは300字」など)
出力フォーマットの細かい指定
「こうしたら、ああしろ」の条件分岐
消す勇気がない場合は、まず1つのプロジェクトだけルールをほぼ空にして試してみてください。
AIが出す初稿の質が変わるのを、おそらく1回で実感できます。
ルールを消す勇気は、AIへの信頼
ルールを増やしたくなるのは、AIを信じていないからです。
「放っておくと変なことをする」という不信感が、ルールの種になります。
でも実際は、今のAIは十分に賢いです。
少なくとも、文章を書く・コードを書く・構成を考えるという領域では、細かいルールがなくても「いい感じ」にやってくれます。
必要なのは、ルールではなく信頼です。
そして信頼の土台は、「自分が何を求めているか」を明確に言語化することです。
ゴールと思想を渡す。あとは任せる。
これが、私が300行のルールを消した先でたどり着いた、一番シンプルな結論です。
AIにマニュアルを渡すのではなく、哲学を渡す。
それだけで、AIは最高の相棒になります。
noteメンバーシップに参加すると600本以上の記事が読み放題です。
書籍「AIでゼロからデザイン」好評発売中
NewsPicksで記事・サムネイル・グラフ・広告生成フローを解説しました。
過去の登壇実績はこちら
デザイン添削・キャリア相談(MENTA)
法人向けAI研修のご相談
お問い合わせ先(セミナー登壇・書籍化など)
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
