区役所がかわいい
「区役所」と「かわいい」
この二つの言葉と、その言葉のイメージは一見全くの無関係に思える。
「区役所」といえば、市が設置し運営する行政機関。
その地域に暮らす人々が生活をするうえで、たまに何かの必要に応じて各種申請や手続きのために訪れる、いわば「お堅い」施設といったイメージが強い。
そんな、世のまじめが具現化されたような無機的な施設と「かわいい」という情緒的な概念とは到底結びつきそうにない。
しかしなぜか、私が暮らす町の区役所はかわいい。
北海道札幌市の中心部。
夏はYOSAKOIソーラン祭りやビアガーデン、冬にはさっぽろ雪まつりなど様々なイベントで盛り上がる「札幌大通公園」のほど近くに「札幌市中央区役所」はある。
実はこの区役所、2025年2月25日から新庁舎となった。
旧施設老朽化のため、2023年初頭より建て替え工事が行われ、工事完了後の2025年、中央保健センターや中央区民センターと共に、中央区複合庁舎としてオープンした。
外から見ると、以前のものより全体的に窓が多く、開放的なつくりとなっているように感じられる。
ある日、私はとある申請手続きのため、この中央区役所を訪れた。
役所というものはいつも混んでいる。
以前、駐車場に車を停めるだけで数十分も待たされた経験があるため、午前中早めの時間に訪問。
駐車場は建物内地下にある。
台数はそれなりに停められる設計だが、駐車スペースの車間は少し狭めだ。
余談だが、私の母が昨年この駐車場を利用する際、隣に停まる見知らぬ方の高級車を削った。
そんな事件があったため、私はこの駐車場を利用する際には特に注意深く行動する。
地下駐車場に車を停め、区役所内へ。

駐車場から施設内に向かう道は、灰色のコンクリートに囲まれていた。
モダン、と言えば聞こえはいいが、無機質な冷たい印象。
役所なんてそんな場所だと思っている。
特に驚きも落胆もない。
そして、扉を開く。

階段に何やら足跡が。
人間でないことは明らかだ。
これは一体……
一歩、また一歩、その足跡を気にしながら階段を昇る。
そうすると目の前に、

たぬきがいた。
こちらをじっと見ている。
思わずこちらもじっと見る。
君の足跡だったのね。
見つめ合いながら先へと進む。

ここにも。

こんなところにも。

木の陰からも。
たぬきだらけだ。
突然の野生動物との出会いに驚きつつ、上へ、上へ。

フロアの終わりには「おすまし狸」
ここへたどり着いた者が、はたして今自分はどこにいるのか。
それを伝えるという大事な使命を持った、そんな狸の顔だ。
君はどこを見ている。
さらに、けもの道を進む。
ふと足元を見てみると、

何やら見慣れぬ足跡が。

足跡の主を探しながら、ふと見上げると

うさぎがいた。
まさか横を並んで歩いていたとは。

りすもいた。
小さなりすを、やさしく見守るうさぎが愛おしい。
さらに進む。

目的地の1階で、うさぎとりすがお出迎え。
都会の真ん中での予期せぬ出会いに心がなごむ。
扉を開けて、区役所の中に入る。

白と木のやさしい茶色が、気持ちを落ち着かせる。
高い天井と大きな窓の、開放的な雰囲気もなかなかだ。
これならどこかにかわいい動物が潜んでいても不思議はない。
「区役所」と「かわいい」は正反対のものだと思っていた。
だが、私が暮らす町の区役所はかわいかった。
札幌市中央区役所は地下2階の駐車場から地上は6階まで。
あのけもの道をもっと先に進めば、さらに「かわいい」出会いがあったのだろうか。
あなたももし区役所へお立ち寄りの際には「かわいい探し」をしてみるのもいいかもしれない。
KAWAI
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