ゲームクリエイターの制作意図
1980年代半ばから1990年代にかけてヒットしたゲームで、その後シリーズ化し、今でも続編が発売されているタイトルは少なくない。
何タイトルも発売されるうちに開発スタッフは変わっていく。発売する会社も変わることがある。
発売時期によってゲーム内容は順当に進化したり、様々な事情で異なった進化をしたり、シリーズの過程で様々な発展を遂げる。
こうしたタイトルの最新版を公式サイトで見かけるとき、ときどき思うことがある。そもそもこのタイトルが生まれたとき、制作者はどんなゲームをめざしたのだろう。
先日昔作った自分の雑誌を読む機会があった。
その中に『牧場物語』のプロデューサー和田さんにインタビューした記事があった。
スーパーファミコンで『牧場物語』(パック・イン・ビデオ/1996年)が発売された翌年、渋谷にあった当時の会社での取材だったと思う。
もともと『人生牧場』というタイトルがついていまして(笑)。平凡な毎日、仕事に追われる毎日のなかで、動物が可愛いとか、子供が生まれるとか、恋愛が成就するとか、普通に何気なく起こっていることがうれしいんだということを表現しかたったんですよ。
僕自身、ゲームがかなり好きなんですね。だから、逆に好きな人が好きな人に向けて作るマニアックなゲームを作りたくない、という気持ちもあります。
この業界で8年ぐらいやっているんですが、その間に感じていることは、ゲームに愛のない人とそうでない人がいるということです。こう言っては何なんですけど、半分以上は愛のない人が作っていると思うんです。
半面、愛のある人は、どうしてもヘビーな方向に走る傾向がある。ゲーム好きはゲーム好きなりに、うわべだけではないライトユーザーに訴えるものを作っていくべきだと思うんです。
30年ぐらい前の記事だが、改めて読んでみると、制作者は『牧場物語』制作の意図を明確に語っていた。
ほかにも取材記事があった。
プレイステーションで発売された『アーマード・コア』(フロム・ソフトウェア/1997年)のプロデューサー唐澤さんのインタビュー記事だ。
僕が、一番長くプレイしていたゲームはPCゲームの『ウィザードリィ』です。あの世界観が3Dで、すべて見えたらどうなるんだろうと思って『キングスフィールド』(フロム・ソフトウェア/1994年)を作りました。
このゲームのキャラクターを使って、最初はプレイステーションの今まで使ったことのない部分をテストするつもりでプログラマーと実験していました。僕の趣味でキャラクターがロボットに変わってしまったんです。会社のみんなに見せてみたら、予想以上に評判が悪かったんです。それで意地になって作り続けました(笑)。
僕たちは最初からシューティングゲームやアクションゲームを作ろうと思っていたわけではなく、あくまでもロボットシュミレーターを作ろうとしていました。
この記事も制作の意図が伝わってくる。
その後取材させていただいた和田さんと唐澤さんは、退社されたようだ。
『牧場物語』も『アーマード・コア』も、前者は発売元が変わったものの、どちらも人気のシリーズタイトルになっている。
ゲームは創業者の手を離れ、後継者が何代かにわたって制作を続けている。シリーズタイトルすべてがそうだというわけではないが、何らかの事情で内容が変わるものもある。後継者であるクリエイターに敬意を払いつつも、極力創業者の思いは極力尊重してもらいたいと思う。
