うたのはなし ~入場券~
とある方がライヴを観に来てくださったときに飲みながら話していて「空席」と「ステイヤーズ」に続けてもう1曲、今年の出来事を受けての歌があったらいいんじゃないですかね?なんてことを言われました。確かに自分としてもおぼろげながらそんなことを思っていたので、頭の片隅にその話を置いていました。
時は流れて9月のある日。
ライヴの前にね、馬券を買いに行ったんです。WINSに。iPhoneで全然買えちゃうんですけれども、なんかふと「馬券」で買いたいなぁって思って。
そんで、その日の夜のライヴがまた、出演者もそう、お客さんもそう、久しぶりに会う人ばっかりで。「なんかいいよなぁ、こういうの」っていう、すごく懐かしい感覚にたくさん触れたんです。アコースティックのライヴはおかげさまでちらほらやれていますけど、「バンドの音」ってのも久しぶりに身体でしっかりと感じたなぁって。
すっかりオンラインに慣れてしまったし、あれはあれで便利なんだけれども、やっぱり「生」ってのは別物なんだなっていうのをあらためて感じたんです。良し悪しではなくて。どっちにも「良さ」がちゃんとあるってことを。
みなさんそうですけど、いろんなことを我慢して過ごしてきて、「もう大丈夫」とまではいかなくても、少しずつ、少しずつ、取り戻しつつあります。ライヴに来るかどうかってのもいろんな考えがあると思うのですが、思い立ってやってきて、久しぶりに受け取るチケットって、ずっしりくると思うんですよね。待っていた時間が長ければ長いほど。
「発券された馬券」と「ライヴハウスのチケット」が見事にリンクしてしまったら、あとはどんどん言葉があふれてきた次第です。多分ひと晩でおおよそ書きあがりました。どっちの視点で読んでも物語はおおむね成り立つんですが、さすがに「投票券」という曲名ではかみ合わないところもありますから、落としどころはこのあたりで…とね。そんな歌です。
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入場券
久しぶりだなって思ったんだ
紙切れ1枚のこの重みが
こんなにありがたいものなんだと
あらためて思ったんだ
久しぶりだなって思ったんだ
扉を開けて届く香りが
こんなに落ち着くものなんだと
あらためて思ったんだ
忘れたわけではないけれど
まっさらな気持ちで受け取れた
本当に欲しかったものは
よりいとおしく思えたんだ
久しぶりだなって思ったんだ
腹の底に響くこの音が
こんなに震えるものなんだと
あらためて思ったんだ
入れ物ばかりが輝いて
落ちたらきれいに砕け散る
本当に欲しかったものは
そうたやすくは壊れないんだ
久しぶりだなって思ったんだ
あなたと過ごすこの時間が
こんなに求めてたものなんだと
あらためて思ったんだ
