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【金利は見るな】米国株の為替リスク(ドル円)の方向感は「構造的円安論」で読め


※ この記事は同タイトルのYouTube動画を文字起こし・編集したものです。
この記事の内容を動画でサクッと視聴したい方は、こちらからどうぞ!



こんにちは、こんばんは。『米国株アノマリートレード研究所』所長のかたつむりです。

今回は米国株アノマリートレード解説シリーズの第4回として、日本人が米国株を取引するうえで避けては通れない為替(ドル円)の考え方をお届けします。具体的には、エコノミストの唐鎌大輔氏が提唱する「構造的円安論」を軸に、当研究所がドル円の方向性をどのように判断しているかをまるごと解説します。

この動画でわかること

前回までの動画では、米国株の動きを予測する有効な手法としてアノマリーを紹介してきました。今回はその流れから少し視点を変えて、為替(ドル円)の考え方を取り上げます。

日本人が米国株を買う場合、まず円をドルに交換し、そのドルで株を買います。つまり米国株はドル資産として保有することになりますので、為替(ドル円)の動きは否応なく影響してきます。

この動画を見終わるころには、ドル円の大きな方向性を理解できるようになるでしょう。

ひとつ先にお断りしておきます。今回はファンダメンタルに言及するため、いつものチャートのみで完結するわかりやすい説明にはなっていません。理解にある程度の知識と思考力を要する内容です。難しいと感じた方は、最終的な結論である「2011年以降の平均チャート」の部分だけチェックしていただいても十分役に立つ内容になっています。

自己紹介・このNOTEのご紹介

自己紹介はいつもと同じですので簡単に。

私はサラリーマン投資家です。このNOTEは、私が実践している「米国株アノマリートレード」という手法の実践記と紹介を行っています。特に、NISAを満額使っていて余った資金を、本業に支障を出さずに賢くリスクを抑えながらリターンを上乗せしたい、という方に見ていただきたいと考えています。

※このNOTEには投資助言業の意図はまったくありません。

お品書き

今回の構成はこうなっています。

  • Section 1:為替に統計的アプローチは通用しない

  • Section 2:構造的円安論(提唱者・CF赤字・4本柱・平均チャート・金利)

難しいと感じた方はお品書きの「2011年以降の平均チャート」まで飛んでいただければ、それだけでも有用な内容です。


Section 1:為替に統計的アプローチは通用しない

数十年にわたって機能しているアノマリーは、為替には存在しない

このNOTEでは、これまで米国株のアノマリーを紹介してきました。1月指標や米国大統領選サイクルアノマリーなど、70年以上にわたって統計的な有意性が確認できるアノマリーです。

では、為替にも同じように「サイクル」や「季節的な傾向」があるのかと思って、過去調べたこともありますし、今回の動画制作にあたっても再度よく調べてみました。

残念ながら、ありませんでした。

よく「円安リスクオン(株高)・円高リスクオフ(株安)」がセットで起きると言われますが、データで分析すると、そのような相関関係は確認できませんでした。

為替の予測には、株とはまったく別のロジックが必要です。より具体的には、価格情報だけでなく、ファンダメンタルな分析まで手を広げる必要があると考えています。

ですのでこのNOTEでは為替に限っては、ファンダメンタルの話をします。

最初に結論を言います。当NOTEでは「構造的円安論」を根拠に、為替の大きな方向性は円安と判断します。

なお、今回の為替の話しは、株のアノマリーとは独立した話です。株の予測にはアノマリー、為替の予測には構造的円安論と、それぞれ別の手法を使います。株のアノマリーだけを参考にすることも、為替の構造的円安論だけを参考にすることも、どちらも有効な使い方です。


Section 2:構造的円安論

構造的円安論とは

ざっくり言うと、「日本円が売られて外貨が買われる流れの構造が出来上がっていて、今後も続きそう」ということです。

この構造的円安論を提唱したのは、エコノミストの唐鎌大輔氏です。テレビ東京の番組などでご覧になったことがある方もいると思います。詳しくは著書『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』に書かれていますので、ご興味のある方はそちらをご参照ください。

この論が提唱されたのは2022年ごろで、当時は少数意見でした。しかし2026年現在、かなりの市民権を得ている考え方になっています。

なお、為替の解説では真っ先に「金利」が話題になりますが、私は金利が為替に与える影響は長期的にはプラスマイナスゼロだと考えています。その理由は最後にお話しします。

経常収支は黒字だがCFベースで見ると実は赤字

構造的円安論の一番のポイントです。

日本の経常収支は現在も「黒字」です。2022年当時も黒字でした。そのため「経常収支が黒字なんだから、いずれ円安は収まって円高に戻るはずだ」というのが当時の一般的な見方でした。しかし、円安は加速し続けました。

なぜか——経常収支の中身をよく見てみると、キャッシュフローベースでは実は赤字だということがわかります。

経常収支は黒字 → 一見、国内にお金が入ってくる流れに見える(錯覚)
黒字の主役は「第一次所得収支」 → 外国への投資の投資収益が黒字の大部分を占める
その投資収益は日本に戻らない → 投資先(外国)に再投資されるため、実際の円買いにつながらない

→ 結論:CFベースでは経常収支は「赤字」=円売り圧力が続く

皆さんもNISAで外国株を買っているとイメージしていただくとわかりやすいです。外国の資産に投資して、それが値上がりや配当を生んでも、その利益はまたその国に再投資しますよね。お金は日本に帰ってきません。これが今の日本全体の構造として起きています。

CF赤字の原因:4本柱

さらにまずいことに、円安を加速させる構造的要因がほかにも3つあります。合わせて「CF赤字を引き起こす4本柱」です。

① 第一次所得収支の拡大(影響度:最大・恒常)
稼ぎ方が貿易から投資収益へシフト。しかし収益は現地で再投資され、円買いにつながらない

② 貿易収支の赤字転落(影響度:大・やや循環的)
東日本大震災後のエネルギー輸入急増で「輸出で稼いで円を買う」構造が終焉。恒常的な円買いが消え、円売りに転落

③ 新NISAによる個人マネーの海外流出(影響度:中・超粘着)
新NISAで買われるのは主にS&P500やオルカン。家計の対外証券投資が構造的に拡大。積み立て続ける限りドル買いが継続

④ デジタル赤字(影響度:小・拡大中)
クラウド・ネット広告・サブスク(Netflix、ChatGPT等)の対外支払い。お金の行き先の多くは米ビッグテック

④のデジタル赤字について少し補足します。最近「デジタル地主と小作農」という言葉があります。ITの世界では、GAFAMなどの米ビッグテックがプラットフォームを独占していて、その上で私たちは仕事をしたり経済活動をしている状態です。たとえばスマホアプリを作っても、AppleやGoogleのプラットフォームを使わないと売れません。売上の一定割合が手数料としてプラットフォーム企業に取られます。これがまさにデジタル地主と小作農の関係で、お金が米国ビッグテックへ流れ続ける構造になっています。

構造転換はいつからか(ドル円チャートで確認)

では、この構造的円安はいつから始まったのかをドル円チャートで確認します。

チャートを見ると明快です。1971年に固定相場制(1ドル360円)が崩れて以降、ずっと「円高の時代」が続きました。そして2011年10月に史上最高値(75.74円)を付け、そこを境にV字回復——つまり円安トレンドが始まりました。

2011年という年は、東日本大震災でエネルギー輸入が急増し、貿易収支が赤字に転落したのとほぼ一致します。4本柱の「② 貿易収支の赤字転落」がまさにこの年に始まったことからも、2011年が構造転換の象徴的な年になっています。

構造転換はいつからか(4本柱の転換年タイムライン)

この円売り圧力は約20年かけて積み上がってきました。

  • 2005年:第一次所得収支が貿易収支を上回り始める

  • 2011年:貿易収支が赤字転落(ドル円の大底とも一致)

  • 2019年ごろ:デジタル赤字が本格化

  • 2024年:新NISAスタートによる個人マネーの海外流出が加速

現在は、2011年時点ではまだなかったデジタル赤字や新NISAの影響が、後から追加されてさらに円安をドライブしている状況です。

また「円安がなぜ止まらないのか」ということに、みんなが気づいたは2022年ごろでした。

アノマリートレードで利用するのは2011年以降の平均チャート

ここが結論です。

これまでの議論から、2011年以前と以後では為替の世界がまったく違うことがわかります。円高の世界の情報は今の円安の世界に役立ちません。そこで当研究所では、2011年以降のドル円の動きだけを使って作った平均チャートを、ドル円の方向予測として活用しています。

チャートを見ると、基本はずっと円安です。大きな流れとして「円安」と思っていただいて構いません。

ただし、細かく見ると年に2回、円高注意ゾーンがあります。

  • 年初(1月12日〜1月30日ごろ):やや円高になりやすい傾向

  • 夏(7月22日〜8月22日ごろ):ぐっと円高になりやすい傾向

特に夏のゾーンは、2011年以前の円高時代のデータも確認したところ、やはり同じ時期に円高になりやすい傾向がありました。ですのでここはかなり信頼度が高いと見ています。

当研究所では、このチャートをドル円の予測線として使います。

金利をノイズとして無視する理由

最後に、「金利が為替に与える影響は長期的にはプラスマイナスゼロ」という主張の根拠をお話しします。

まず金利差で為替が動くこと自体は事実です。金利差が開くと、円を売って金利の高いドルを買う「キャリートレード」が強まり、円安が進みます。

しかし、高い金利には理由があります。多くの場合、高いインフレを伴っています。為替レートは長期では、インフレ格差を織り込んだ「購買力平価(PPP)」に収束していく原理があります。

簡単に言うと、物価が安い国に向かってお金が動きます。今のインバウンドで外国人が日本に押し寄せているのも、日本が相対的に物価が安いからですよね。

つまり「金利差で稼いだ分は、通貨の下落で相殺される」——長期ではプラスマイナスゼロになるということです。

わかりやすい極端な例がトルコリラです。年利40%もの高金利でも、ずっと持っていれば儲かるかというとそうではなく、リラ自体の価値がどんどん下がるので、結局は報われません。

よって当研究所では、金利はノイズとして扱い、方向性の予測には使いません。お金の流れ(構造的円安論)で大きな方向性を読む、これが当研究所のスタンスです。


まとめ

今回のまとめを3点にまとめます。

① 為替に統計的アプローチは通用しない
株のように数十年機能するアノマリーが為替には存在しないため、全く別のアプローチが必要です。

② 構造的円安論
円が売られて外貨が買われる構造(4本柱)により、今後しばらく円安基調が続くと予想されます。当研究所は2011年以降の平均チャートをドル円の予測線として活用します。

③ 毎年年末に定期診断
一度出来上がった構造はなかなか崩れにくいですが、永遠に続くわけではありません。「構造的円安が継続しているか」を毎年年末に定期確認するコンテンツを今後作っていこうと考えています。


次回予告

次回のテーマは「アノマリートレードで用いる平均チャートにおけるトレンドの捉え方」です。

今回の為替の話と合わせて、前回の次回予告では「為替の話とトレンドの話を両方やる」とお伝えしていましたが、為替の内容が想定より大きくなりましたので、今回と次回に分けることにしました。

平均チャートという予測線はできました。ただし、実際にトレードをする場合、チャートのどこを・どう捉えてエントリー・エグジットするかというのは、それ自体が一つの技術です。次回はその部分を詳しく解説していきます。

次の動画を見逃したくない方は、ぜひNOTEのフォローをしてお待ちいただければと思います。


⚠️ ご留意事項

当記事で発信している内容は、あくまで私個人の発案した米国株アノマリートレードの紹介、および個人の運用実践記・ポートフォリオ運用の公開スタイルです。投資勧誘や具体的な売買指示(助言)の意図はまったくありません。投資の最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願い申し上げます。


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