見出し画像

金家鐔① 漁舟図

重要美術品に認定されている金家鐔。東京国立博物館所蔵。

舟で網を引きながら漁をする人物と山が遠近法を用いて匠に表現されており、槌で鐔の表面を叩く事で水面と陸地の境を曖昧にし、まるで霧がかかったような効果を醸し出しているからか、絵に壮大さと奥深さが加わっているような気がしてならない。
言うなれば以下のような景色を鐔で感じる事が出来る。

画像出典:漁村夕照図(国宝 根津美術館蔵)


更に鉄の色に深みがあり艶がある。このような鉄味の鐔をいつか手にしたいと思わずにはいられない。
鐔の耳にも僅かに盛り上げるところとそうでない所を組み合わせる事で実に触り心地の良さそうな見た目をしており、捻り耳の鐔や桃山期の茶器などに共通するような詫びを感じる。


更に絵をよく見てみると山の後ろには塔の屋根が顔をのぞかせている。
これもまた金家鐔にはよく見られる構図だが、実に素晴らしい。
山も木らしきものを鏨で打ち込むなど意外に細かく作られている。

人物には金色絵が施されている。
帽子の素材は銀だろうか。着物や船まで実に細かく再現され、波についてもはっきりと彫られ舟が揺れ動いていそうな動きが感じられる。
もしかすると、人物など近くに見えるものは細部まで造り込み、山など遠くのものはそこまで作り込まない事で物理的な距離の差を表現しているのかもしれない。

金家は切羽台は薄く耳に厚みを持たせているが、切羽台は基本的に3mm以下の厚みであり薄い物は1~2mmであるが(上記は3mmほどだろうか)、その薄さの中で人物などを鋤き下げて彫り込んでいるわけではなく、別で作った人物のパーツをはめ込んで(という表現が正しいか分からないが)製作していると聞く。
それが金家が超絶技巧と言われる所以とも聞く。

因みに裏面は見えなかったが、重美全集を見ると以下の様に掲載されている。裏には水辺の干網に岩、山が描かれている様子。

重要美術品全集より

これと似た鐔でもう1点重美のものがある。
こちらも構図が非常に似ている。

「金家鐔 著:池田末松」より


今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はいいねを押して頂けると記事更新の励みになります。
それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

いいなと思ったら応援しよう!