書店を歩く
オートバックスと併設されたTSUTAYAを歩いた。
膨大な数の漫画がひしめき合っていた。
文藝もひしめき合っていた。
多くの作者が書いて、編集されて、印刷されて、並べられて、宣伝されて、読まれる:
本への関わり方は一つじゃない。
各プロフェッショナルの仕事を想像して面食らった。
「世の中にある一流のもので、数百円で手に入るのは本だけだ。」という田中慎弥さんの言葉が思い返される。
全員が一流の仕事をして、読む人の手に届く。奇跡みたいに美化してその事実を受け止めようとする。
その1作は刷数を売り切るために5000部程度になるのも普通。
少ないようにうっすら思ってしまう数字感覚のなさ。「お菓子や食べ物を5000個売った」の感覚で考えてしまうから。1日で5000個売ろうと思うと、8時間労働と考えて1時間で625個、1分で10個売る必要がある。1個あたり100円の利益が乗れば50万円の利益。自営業なら1ヶ月で達成できれば御の字か。166個/日、8個/時間、無休だけどね。
売り切って、話題になって重版されて、また売れる。その繰り返しを幾通りも行うことがプロフェッショナルの仕事。
本が人生を変える素敵な役割に目が奪われるけれど、地道な作業の積み重ね。
しかも斜陽産業と言われ、ピークの70%まで市場は落ち込んでいる。斜陽といっても本の魅力がなくなった訳ではない。本以外の選択肢が増えて、安くアクセスできるようになったのだ。本の魅力が消えたわけじゃなく、むしろその価値が見直される今だからこそ本の業界を支える人がいて書く人がいる。そのおかげで僕たちは本を読める。
この選択肢の多さを豊かさと呼ばずなんと呼ぼうか。
