松田式素読教室@池袋 に参加して
──声に出すことで開かれる、新しい学びの扉──
8月31日。久しぶりに東京・池袋へ足を運び、松田式国語教室の素読講座に参加しました。
コロナ禍以降はZoomを使ったオンライン講座が中心となっていましたが、今回は五年ぶりに池袋での「ライブ」での開催。私は普段は名古屋会場に通っていましたが、子ども向けのパートだけしか参加できませんでしたが、それでも十分に濃い学びを得られる時間となりました。
オンラインで世界中の仲間とつながれることも魅力ですが、やはり現地で同じ場を共有し、声を合わせる体験には格別の力があります。会場に入った瞬間、あの懐かしい緊張感と期待感がよみがえってきました。
9月の異名を素読する
授業の冒頭で取り上げられたのは「九月の別称」。学校では「長月」しか習わないのが一般的ですが、講座では十種類以上の異名が紹介されました。
たとえば「寝覚月」「晩秋」など、それぞれに生活や自然観が反映されています。参加者全員で声を合わせて素読すると、単なる知識がリズムとなって体に刻まれていく感覚がありました。
このように語彙を意味理解だけでなく「音」で身につける方法が、子どもたちにとって非常に有効なのではないかと感じました。
続いて扱われたのは、特攻隊員として出撃する直前に弟へ宛てられた藤井眞治さんのお手紙。声に出して読むことで、その一文一文が持つ重みが心に迫ります。この弟さんはこの時のお手紙を大切にされていたそうで、この弟さんとはのちに日本道路公団の総裁になった藤井治芳さんです。
文字を目で追うだけではなく、声を響かせることで初めて伝わるものがあります。教育現場で史料を読む際も、こうした「声の体験」を取り入れることで、生徒たちの歴史理解はより立体的になるのではないか。そう思わせてくれる時間でした。手垢のついた解説よりも文章をそのまま素読して感じる「何か」が大切だと思いました。
痛みを伝える言葉の力
次に学んだのは「痛みのオノマトペ」。
「ズキズキ」「ジンジン」「ピリピリ」……日本語に多い擬音語・擬態語は、医師が患者の状態を正しく把握するためにも重要だそうです。
一見すると子どもっぽい言葉遊びのように思えますが、実は命を守る知恵に直結するもの。言葉の持つ現実的な力を改めて認識させられました。国語教育は単に文学を学ぶだけでなく、生きるための表現力を育む営みでもあると実感します。
孔子の言葉に学ぶ人間理解
今回の講座では、論語の一節「人の己を知らざるを患へず、人を知らざるを患ふるなり」を素読しました。
声に出してみると、ただ文字で読むよりもずっと胸に響きます。人から理解されないことを嘆くよりも、自分こそ相手を理解できているかを考えよ──2500年前の孔子の言葉ですが、まったく古びていないことに驚きました。
「自分をわかってほしい」と思う気持ちは誰にでもあります。私自身もいろんな人とのやりとりの中で、つい「理解してもらえない」と感じてしまうことがあります。でもこの言葉は、矢印を自分の内に向け直すよう促してくれるのです。まずは相手を理解しようと努めること──その姿勢があれば、人間関係はぐっと変わるのだと思います。
どういう言い方をしたら相手が理解してくれるのだろうか?
孔子の言葉って古くて新しいなぁと感じました。
明治天皇の御製からの歴代天皇のお名前
明治天皇の御製は、西洋文明を取り入れながらも、日本人としての心を大切にするよう詠まれたものでした。
明治天皇の御製から発展させて、上の歌も勉強しました。ネットで引っ張ったら「オイラの靴は日本人」だそうです。松田先生の授業は歌の紹介もあります。これはヒンディー語なので歌えませんでしたが、普段は美しい日本語や面白い歌を受講生と一緒に歌います。Zoomではハウリング防止のためにミュートにしますが、他の人の歌声を聞きながらみんなで一緒に歌を歌うこともありましたね。懐かしい気持ちになります。
ここから歴代天皇のお名前を素読しました。
上の動画は素読用にはなっていませんが、これを何度も何度も素読して歴代天皇のお名前を全て暗記している人もいます。
日本史の大学受験生なら挑戦しても面白いかもしれないですね。
終えての思い
素読は一見すると単純で原始的な方法です。しかし、声に出して読むことによって、言葉は「知識」から「体験」へと変わります。
そしてその体験は、歴史や文学に込められた人々の思いを、よりリアルに感じさせてくれるのです。
オンラインでも多くの友達ができているので大変素晴らしいのですが、やはり同じ場で声を合わせることの力は格別です。
次は広島で令和7年(西暦2025年)11月2日開催予定とのこと。会場は「古事記」や「日本書紀」の中でのちの初代の神武天皇が滞在なさった場所であったとされ、現在は多家神社が鎮座している場所の神楽殿だそうです。
多くの人に、声を出して学ぶ体験の魅力を知ってほしいと心から思いました。
