見出し画像

短歌でBLチャレンジ!【noteでBL第8弾】

わお!
もう第8弾ですって!

今回は特別企画で月さんの短歌からの想像を膨らませたBL小説を書きます。
素敵な企画✨

今回の企画詳細はこちらから🔽
なみさん、いつもありがとうございます!!

月さんの短歌はこちらから🔽
エモ短歌のご提供ありがとうございます!!

というわけで早速。
今回の必須お題は「ゴールデンウィーク」。
そして「元彼のラブレター」がお題のこちらの短歌からイメージして小説を書きました。

「字が好き」がとっとく理由になるってさインクの染みはあまりに碧い

月さんの詠んだ「元彼のラブレター」の短歌。美しい。

こんな切ない短歌から生まれたのは、まさかのアホコメディでした。
月さん、すみません……🙇‍♀️
でも月さん楽しみにしてるって言ってくれてたので、お言葉に甘えようと思います。

セーラー服の方は、ちゃんとシリアスな話で書いたので……!

いつもの信夫と久我先生のお話です!
文字数は4921文字! ギリギリ! 危なかったー!!

ではでは、早速どうぞ😊

~前回までのあらすじ~

春になった。
サ〇エさん方式の小説ではキャラクターは年を取らない。
信夫は大学2年生のままだった。
そして信夫の思い人である久我先生には本命がいるらしい。
マジかよ。

前回のnoteでBLのあらすじ

~登場人物紹介~

■市媛 信夫(いちひめ しのぶ)
大学生。
専門は民俗学。
背が高くて体格も良くて顔も悪くないけど年齢=恋人いない歴な男の子。
性格は真面目でお人好し。
夏休みに因習村的なところで久我とフィールドワークをすることになって、大変な目に遭った。
久我のことが好きらしい。

■久我(くが)
大学院に通う傍ら非常勤講師をしている。
遥夏や響の日本史を担当。
信夫の先輩。初心な信夫をからかって遊んでいる悪いお兄さん。
来るもの拒まず去る者追わずで貞操観念が緩い。
酒癖が非常に悪い。

■少年
本名は「音無 響(おとなし ひびき)」。
未だに自己紹介をちゃんとしていないので、信夫から「少年」と呼ばれている。
信夫の弟である遥夏のクラスメイト。
無邪気で心優しい性格をしているのだが、とにかく人の話を聞かない。
この子のお節介で状況が地獄になることが多々ある。

■ちーちゃん
英語教諭の千影先生。
少年と遥夏の担任で久我の同僚。
柔らかい雰囲気のイケメンだが、怒るとめちゃくちゃ怖い。
素手でクルミを割れるしリンゴも握りつぶせる。

あってもなくてもいいような人物紹介


================

「暇なら僕の家に遊びに来る?」

4月の中旬。
好きな人からそんなことを言われるとは思わなかった。

きっかけは駅前で出会った少年との会話だ。

「ひめちゃんのお兄さんはゴールデンウィークどこか行くの?」

「え? バイト」

連休の予定を聞かれたところで思いつくものはなかった。

俺のバイト先は居酒屋だ。
都内の居酒屋なんて、平日も休日も関係ない。

「バイト以外予定ないの?」

「そういえば何も決まってないな。俺以外の奴らが旅行とか帰省でいなくなるから、シフト多く入れてるんだよ」

「かわいそう……」

少年から憐れみの目で見られた。
そりゃそうだ。
これだけ休日が続くのに労働以外の予定がないのは寂しい人である。

でも、男友達とわざわざゴールデンウィークに遊ぶ理由がない。
普段から遊べるし。

少年はゴールデンウィークの予定が詰まっているらしく、指折り教えてくれた。

「ボクはねぇ、ちーちゃんとお買い物して、期間限定のパフェ食べに行くでしょ。あと、先輩と絵画の個展に行くの。それでね、ちーちゃんと動物園に行く約束もしてるし、ちーちゃんがね……」

ほぼちーちゃんじゃねーか。
俺と大差ねーぞ。

「仲良いね、君たち」

声のする方を向くと、仕事帰りなのか薄手のコートを羽織った先生がいた。

高校から1番近いこの駅は利用者も多く、よく知り合いに会う。
今日もこうして少年だけでなく久我先生に会った。

「ううん! それほど仲良くないけど、よく会うの!」

「おい」

少年は明るい笑顔と楽しそうな声で否定した。
少しくらい悩んでくれてもいいだろう。即答するな。

「そういうものなんだ」と、先生はあまり興味がない様子だ。
そこは慰めて欲しかった。

「ひめちゃんのお兄さん、可哀想なんだよ。ゴールデンウィーク、バイト以外予定ないんだって」

「ええ……就活もまだ先の大学生なのに……?」

「可哀想だよね……」

2人から寄せられる同情の眼差し。
演技じゃなくて本当に心の底から憐れんでいる目だ。先生の方は若干引いている。

「久我先生、ひめちゃんのお兄さんと遊んであげてよ」

「そうだね、可哀想だもんね……」

「えっ」

思いもよらない話の展開に俺の心が躍った。
好きな人からのお誘いを断る人間はいないだろう。
労働しか予定がなかった俺のゴールデンウィークに幸運イベント発生。

そんな流れで先生の家に遊びに行くことになったのだ。

少年、グッジョブだ。
偉い。
顔も可愛いし、天使か?
天使にしては発言は辛辣な時あるけどな。

そこからはあれよあれよという間に日程が決まり、ゴールデンウィーク初日。
ついに先生の家に来てしまった。

俺の住んでいる地域からは電車でそれほど離れていない住宅街。
先生の通う大学や職場である高校にも通いやすい。

居酒屋が並ぶ駅前は休日を満喫する人で賑わっていた。
そんな喧騒から少し離れたところにあるマンションが先生の住居だった。

どこに行っても混雑しているだろうということで、今日は宅飲みだ。
先生の家というだけでもドキドキするのに料理も作ってくれるらしい。

緊張し過ぎて食欲出なかったらどうしよう。
……というのは杞憂だった。

「美味しい?」

「めっちゃうまい」

生姜焼きにポテトサラダ、具沢山の味噌汁。
食べ盛りの息子の為に母が作ってくれるようなメニューだ。
俺の母親、料理しなかったけど。

明日から実家に帰るという先生は、二日酔いになったら困ると酒を飲んでいない。
頬杖をついて俺が食べるのを眺めている。

「良い食べっぷりだね」

先生は嬉しそうにほほ笑んだ。大きな猫目が細められる。
手料理をほおばる俺にそそがれる優しい眼差し。
たまにしか見せてくれないけど、一番好きな表情だ。

その目に見られていることに恥ずかしくなって、豪快に米を頬張る。

顔が良くて、話が面白くて、料理がうまくて。
そりゃあモテるに決まっている。

そんな人が、こうしてわざわざ料理作ってくれるのって、何だか脈アリなんじゃないかと錯覚を起こしてしまいそうだ。

でも、この人本命いるんだよなぁ!!!

俺の記憶が現実を突き付けてきたところで、先生のスマホが鳴った。

「ごめん、電話来た。ちょっとベランダ行くから、その辺のもの適当に見てて」

「見られて困るもんないの?」

「エロ本とか? ないよ。あ、元彼から送られてきた血まみれの手紙とか逆に見て欲しい」

「見たくねぇ!!」

その元彼、絶対先生に殴られただろう。
俺も酔った勢いで襲わないようにしよう。命は惜しい。

なんて冗談は置いといて、先生の部屋は整理整頓が行き届いていた。几帳面な性格ということが窺える。
あの人、だらしなさそうに見えて意外ときっちりしているんだよな。

本棚には難しそうな本が並んでいた。
勉強熱心な先生らしい。

アルバムの中には手紙が丁寧にファイリングされていた。
これは他人が見て良いものではないな……と思って戻そうとしたが、俺が渡したラブレターを見つけてしまった。
めっちゃ添削した跡がある。
黒歴史だが、俺が渡したものをこうして大切に保管してくれているのが嬉しい。

「先生、律儀というかマメというか……」

こういうのって性格が出ていて面白い。
そんな中、目についたのは碧のインクで宛先が書かれた手紙。

「……これ、」

差出人は市媛飛鳥いちひめ あすか

俺の兄貴の名前である。
珍しい名字だから、同姓同名の別人ではないだろう。

角ばった神経質そうな文字。
まごうことなき兄貴の筆跡だ。

手紙を持つ手が震えた。

そして、嫌な考えに思い当ってしまった。

今までの情報をまとめると、もしかして久我先生の本命って兄貴なのではないか。
手紙もこうして取ってあるし。

「本命とは付き合えない」という少年たちの証言とも一致する。
兄貴はもうすぐ結婚予定の婚約者がいるからだ。

知りたくなかった事実!!

アルバムを手にしたまま固まっていると、電話を終えたらしい先生が背後から俺の手元を覗いた。

そして、中から手紙を抜き取る。

「ああ、飛鳥の手紙か。懐かしいなぁ。飛鳥の字、好きなんだよね。神経質っぽいところが僕の父さんの字に似ててさ」

うっとりした表情で話す久我先生。
これはもう、確定ではないか。

手紙の内容うんぬんではなく、字が好きってさ。
相当惚れてるじゃん。

「ほ、本命いる相手にあれこれできるかーーー!!!」

殴られるから襲わないようにしようとか考えてたけど、もしかしたらワンチャンあるかもとか思ってた自分が恥ずかしい!

「はぁ? どうしたの、突然」

先生は怪訝な目でこちらを見ている。
俺も自分が何を叫んでいるのかよくわからない。とにかく思いついたものを口に出しているだけだ。

「し、しかも先生の本命兄貴だろ! 俺は兄貴の代わりなのか!? そういや身長も同じくらいだし、顔も兄弟だから一応似て……」

と、そこまで言ったところで殴られた。
めちゃくちゃ痛い。

「酔ってる? 何言ってるのかわからない」

「酔ってません」

まだ酒飲んでません。
酔ってたとしても、痛みで酔いは醒めたと思うし。
先生の「お前ちょっと黙ってそこ座れよ」オーラに圧倒され、俺は正座をした。

仁王立ちの先生の圧が怖い。

「で? 飛鳥が何だって?」

「先生の本命……」

「それは過去の話でしょ。あんな失礼な男、本命でも何でもないから。今度そんな馬鹿げたこと言ったら殴るよ」

「もう殴られた……」

頬が痛い。
襲ってないのに殴られた。ひどい。

「はぁ、手紙持ってたから勘違いしたのかもしれないけど。飛鳥がどれだけ堅物でつまらない上に失礼な男だったか、話してあげるよ」

「え、いらな……」

断ろうとする俺の意見は無視され、兄貴の悪口をみっちり3時間聞かされた。正座していた足はしびれた。

「わかった? っていうか本命って何。僕は特定のお付き合いしてる人いないから。いたら君のこと家に呼ばないよ」

「はい、変なこと言ってすみませんでした……」

久我先生の兄貴に対する文句を3時間聞いた俺の結論。

どっちも悪くない。
ただ相性が悪かっただけだ。

堅物真面目人間な上に冗談が通じない兄貴と貞操観念ゆるゆるでコミュ強の久我先生は付き合っちゃいけない2人だった。
そういうことにしておこう。

兄貴、先生、お疲れ様。

兄貴の悪口で3時間潰れたおかげで、時間は終電間近になっていた。
泊っても良いと言われたのだが、非常に疲れたし翌日は昼からバイトだったので帰ることにした。

翌日。
疲れが残る心と体を引きずってバイトに行く俺。
居酒屋だが昼はランチの営業もやってるのだ。真昼間にシフトを入れたことを後悔した。

「ひめちゃんのお兄さんだー!」

「こんにちは」

「……コンニチハ」

少年と弟の担任。
普段はそうでもないが、疲れている今はあまり会いたくない人間たちに遭遇してしまった。

「何か顔色悪いよ?」

「いや、先生の本命の話で大変なことになってさ……」

そこで俺も「そんなことないよ! 元気だよ! じゃあな!」と言えばいいものを、バイトの時間まで余裕があったせいか、つい話を続けてしまった。

「「本命?」」

2人が同時に首をかしげた。
ところどころ動きが似てるんだよな、この2人。

「先生の本命、あんまり気にしなくていいと思う」

「本人自覚してないので、聞いても無駄ですよ」

「えぇ……でも、2人はわかってるんですよね」

慰めてくれているのか、しきりに「本命は気にするな」という2人。
でも気になるんだよぉ!!!

「見ればわかりますから」

誰が本命なのか教えてくれる気はないらしい。

傍から見てもわかるって、本命に対しての溢れ出る感情を抑えきれてないってことじゃん!
脈無しも良いところじゃないか!

「ほら、これあげるからデートに誘ったら?」

内心涙目の俺に、少年が紙切れをくれた。
手渡されたのは映画のチケットだった。

「この映画面白そうだねーって話しててね。ボクとちーちゃん、それぞれ買っちゃったの。お兄さんに余った分あげる」

「学校で久我先生もその映画の話をしてましたから、興味はあると思いますよ」

それはありがたい。
この映画はCMがグロイことで話題のスプラッタホラーなのだが、そこは気にしないことにした。
興味のある映画なら、よほどのことがない限り断られないだろう。

さっきまでの落ち込みは消え、俺の心は晴れやかになってきた。
5月晴れってやつだな。

お礼を言って2人と別れようとしたところ、少年が突拍子もないことを言い出した。通常運転だな。

「じゃあ、早速デートに誘っちゃおう!」

「え? 今?」

俺、今からバイトなんですけど。

「善は急げだよ!」

弟の担任の目も「さっさとしろ」と語っていた。
この人、顔の造りも表情も柔らかいんだけど、何か圧があるんだよなぁ。

人の話を聞かない少年と謎の圧をかけてくるイケメンに逆らえるわけがなく、俺はおとなしく先生に電話をかけた。

近くにあったベンチに座り、コール音を鳴らすこと数回。
なかなか出ないなぁと思った矢先に、いつもの声が聞こえて……

『なに?』

……ん?

待て待て待て。
電話の向こうの先生やけに不機嫌そうだぞ。

これデートに誘っていいやつかな!?
いや、たまたまだ。平常心平常心。

「あのさ、映画のチケットもらって。先生の好きそうなやつだから来週の日曜とかどうかなーと思ってさ」

ゴールデンウィーク明けなら先生も実家から戻ってるはずだ。

『来週? 父さんとでかけるから無理。また今度誘って。じゃあね』

ガチャ切りされた。

えっ……!?

出会って以来、一番冷たい対応だったんですけど!

映画のチケットを渡されてから数分しか経っていない。
俺の情緒が乱高下している。
デイトレーダーがモニターから目が離せなくなるやつ。
最近、アメリカ国債とかドル円とか大変なことになってるもんな。
俺の心も同じだよ。

そんな落ち込む俺の肩を少年が叩いた。

「大丈夫。この小説サ〇エさん方式だから、時間はたっぷりあるよ。良かったね」

「怖いんだよ、その慰め方!!!」

今日も都会に俺のツッコミが響く。
俺はこのやり取りをあと何回繰り返せばいいのだろう。

「市媛くんのお兄さん、久我先生のどこが好きなんですか?」

呆れたようなイケメンの声が聞こえてきたが、咄嗟に答えられなかった。

俺の心は今ナイーブなことになっている。
色で言えば、青とか緑とかの濃くて暗めな色だ。
頭の中で兄貴の書いたラブレターに滲んだ染みの碧色が浮かんで消えた。

《了》

ここからあとがき!!

久我先生の実家、別に遠くない。
電車で30分以内。

久我先生は一人っ子で家族大好きなので、料理はお母さんのお手伝いで覚えました。

信夫のところは三人兄弟で、遥夏だけ母親が違う設定です。

以上、あんまり本文と関係ない設定でした😊
登場人物の家族構成はつい考えちゃいます。そのキャラの人格形成において重要だと思うので。

でもシリアスな設定を入れても小説はアホっぽくなっちゃうんですよね。
何でかなぁ。

月さんの短歌から漂っていた色気的なものをこう、小説でも表現できたら良かったのですが、情緒は消え去りました。
どうしてこうなるのでしょうか?

精進します!

本文で書かれているアメリカ国債うんぬんは、ちょうど書いてる時に「農林中金がアメリカ国債投げ売りした!?」みたいな情報でネットがざわついていたからです。
あの情報聞いて、ふふってなりました。

今回も素敵な企画をありがとうございました🥰
皆さんの作品を楽しみにしています!

そして次回の企画も楽しみにしております✨
(フライングかし子2025)

今回はもう1作書きました!!
短歌が2首あるのでね、せっかくなので😆
お昼くらいに投稿します!
お時間ある方はそっちも読んでやってください!!

それでは、また!

#noteでBL
#短歌でBL

いいなと思ったら応援しよう!

かし子 サポートして頂けると嬉しいです。 いただいたサポートは、執筆活動に使わせて頂きます!