#7 美容師人生で一番ゾッとした出来事
美容師という仕事は
水商売的な側面が少しあります。
キャバ嬢やホストのように
「人気=指名」が売上に直結するのです。
私にも男性の指名が少しずつ増え
その中に
多分この方は、私のことが好きなんだろうな
とわかる方がいました。
そのお客様は週に一度カットで来店
いくらなんでも頻度が高すぎます!
施術時間を長くしたいのか
やがてカラーやパーマも追加して
さらにトリートメントもするようになり
いつしかスタッフ全員が認める
“私推し”のお客様になっていた。
そんなある日
そのお客様が
「旅行のお土産を買ってきたんだけど、車に置いてきちゃったんだ。一緒に取りに来てよ」
そう言われました。
その場の空気で
“行きます”と言いかけたけれど
心のどこかで
『これはまずいのでは?』
とブレーキがかかった。
「すみません、仕事中なので外には出られないんです。」
と断った。
すると、お客様はこう続けました。
「大きな物だから、車の前で渡したいんだ。」
私は一瞬、違和感を覚えました。
大きな物なら、ここまで持ってきてくれた方が早いのでは……?
そんな考えが頭をよぎったのです。
車は近くの場所に
停めてあるらしいが再び断った。
そのやりとりが何度か続いて
「残念だな。素敵な物なのに」
そう言って帰っていったお客様は
その日以来、来店はなくなった。
その出来事からしばらく経ったある日
警察官が美容室を訪ねてきました。
一枚の写真を見せられ
「この女性をご存じありませんか?」
と尋ねられました。
写真に写っていたのは、20代の女性でした。
警察の方は静かに続けました。
「この近くで亡くなられた方です。」
私は言葉を失いました。
後からニュースで知りましたが
その女性はストーカー被害を
何度も警察に相談していた方だったのです。
その瞬間、
あの日のお客様の顔や言葉が頭をよぎり
背筋が冷たくなりました。
もしあの時
車までついて行っていたら?
もしかして無理やり車に乗せられ
事件になっていたかもしれない。
ストーカー被害にまで
発展していたとは思いません。
それでも、あの時きっぱり断る勇気が、
自分を守ってくれたのかもしれません。
『たかがお土産』に見えるその誘いだって
一歩間違えれば
この文章は今
ここに存在していなかったかもしれない。
「自分は大丈夫」と思わないでほしい。
ストーカー被害は今でもどこかで起きてます。
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2011年東日本大震災で美容室の壁にヒビが入り、応急処置で営業を続けてきましたが限界です。修繕費用が厳しいため、無理のない範囲でお気持ちだけでもご協力いただけると幸いです。よろしくお願いいたします🙇♀️