#4美容師人生で一番理不尽だった“ヘアセット事件”
美容師といえども、すべての技術が完璧にできるわけではない。
誰にでも、得意と不得意がある。
美容室「S」 T店の
麻生さんは
美容歴20年、T店の売上トップの
スタイリストだが
アップスタイルが苦手だった。
ある日、麻生さんは自分の指名客のアップを
私にお願いしてきた。
指名のお客様を代わりに担当するのは
あまり気が進みません。
体調不良など、やむを得ない事情で代わるのなら仕方ありませんが
それ以外で担当するとなると
どうしても気を遣ってしまいます。
本来なら練習して
なんとかできるようにするものです。
しかし、断るわけにもいかずに
私が担当することになった。
麻生さんは、アップのご予約のお客様に
「私は、アップができないから別のスタッフが担当します。」
と伝え当日も普通に出勤し
他のお客様を担当していた。
まかされたヘアスタイルは「夜会巻き」
プレッシャーはあったけど
仕上がりは自分なりに納得のできだった。
「いかがですか?」
とお聞きすると
お客様はにっこりしてこう言った。
「大丈夫です。
では、全部外してください。」
……頭の中が真っ白になった。
すぐ麻生さんに報告すると驚きながらも
「私が変わる」と。
遠目に見ていると
せっかく作った夜会巻きをほどき
ストレートにブローして仕上げていた。
しかも楽しそうに会話して。
そのままお客様は帰って行かれた。
結局あれは何だったのか…
麻生さんから事情の説明はなかった。
もちろん、お詫びの言葉もない。
気づけば、謝っていたのは私のほうだった。
謝る必要なんか1ミリもなかったのに
なぜか口から出たのは
「ご迷惑おかけしました」だった。
あの瞬間の自分の悔しさまで
忘れられないでいる。
ただ、今になって思う。
あれは偶然ではなく
麻生さんなりの嫌がらせだったのかもしれない。
真実は分からない…
でも、そう考えると
あの日の出来事の辻褄が合う気がする。
なぜなら
数日後、麻生さんは何事もなかったようにアップのお客様を担当していた。
その姿を見た瞬間、私の中に小さな疑問が残った。
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2011年東日本大震災で美容室の壁にヒビが入り、応急処置で営業を続けてきましたが限界です。修繕費用が厳しいため、無理のない範囲でお気持ちだけでもご協力いただけると幸いです。よろしくお願いいたします🙇♀️