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文フリ京都に向けて その3

もともと、俳句、短歌よりも500文字小説(超短編)を書く方が主流だったのが、縁があって短詩形に傾いた約十年だった。そして、400字から1200字の掌編の作品を書く機会が、これも奇縁により多くなり、その集大成的なシリーズ掌編が今回発刊する『川村洞のうろんな企み』である。これは一遍一遍、独立した話なのだが、丸山健二の『千日の瑠璃』みたいに数珠つなぎになってる一連のストーリーで、こういう大仰な言い方をしないのなら、『サザエさん』みたいな、一話完結の本である。

小説を書く他の方がどんな書き方をしているかは、実際のところは知らないのだが(その手のハウツー本は読んだものの)…自分は半眼で、半ば遊眠してるような脳の状態を保つことで勝手に脳内で生成されるモノをぼぼぼぼと紙に書く、という感じで書いてる。ストーリーになってるのは、その遊眠と逆の方の覚醒した理性が割り込んできてそうしてるだけで、実際はとろろ昆布というかおぼろ昆布みたいなものが本体だ。だから、主人公の高校生、川村洞(うろ)がどんな顔をしているかは、書き終わってもよくわからないままだった。顔の描写も、とくにない。比喩としてすら、最後まで出てこない。自分が知らないことは書けない。ワザとこうするか、と狙うことはできるが、本質的には、ホンマにそれっていう確信がない限り不誠実ちゃうか?という、変な真面目さが自分にはあるのだった。

文フリ大阪で、お世話になったワークショップ主催のひとりである仲内ひよりさんに、ひよりさんの相棒のイラストレーターさん、魚須えり個さんを紹介してもらって、表紙と挿絵イラストを描いてもらうことにした。魚須さんは漫画も描いておられて、そのショートコミックは学園漫画の要素とSFの要素と詩の骨があって、魚須さんの絵は、自分の書いたこの掌編小説と合うのではないか?と考えたのだ。これは、勘だったが、描いてもらった絵を見て、川村洞はこんな顔だったのか!と驚いた。ほかの登場人物も、こんな顔してたのかと驚いた。

魚須さんの作画によってシナプスがつながって、この物語はさらなる潜在可能性というか、ポテンシャルがあることが確信できた。魚須さんにイラスト制作依頼のため読んでもらった初期原稿と、新しく生まれたエピソードを加えて、なんども取捨選択して、改稿を繰り返した末、34ページの27編の最良最高のストーリー集が出来た。一冊だけ試しに印刷屋さんで刷ってもらい、もっと読みやすいレイアウトに直す。直す際は、魚須さんの掲載順についての御意見を参考に、そして犬と街灯の店主であり、作家であり、本作りのプロでもある谷脇クリタさんに相談し、実践的なアドバイスをいただき、素人じみた「組み」問題が是正された。

13日に、改稿した分の冊子が納品される予定で、自分も完成品を見るのを楽しみにしている。文フリ京都での販売ブースは三階のえ-04で、500円で販売予定です。

また、俳句友達の有瀬こうこさんと相田えぬさんのご厚意で、俳句コーナーの「えぬとこうこ」のブース・J-41、42にも、置いていただけることになりました。短歌コーナーも近いと思うので、句集・歌集への関心で来られた方も、気が向いたら立ち寄っていただければ幸いです。

斯様なゆきさつを3回に渡って書いたのは、決して一人で作ったのではないという自戒をしときたかったからかもしれない。いろんな方のお世話になり、良いZINEが生まれようとしてるということを書き残したかった。ほんまに良いんかどうか気になる方もいると思う。その目で、確かめにいらしてほしい…もしよかったら、1月18日日曜日、みやこめっせに是非お越しください。
                        (このシリーズ、おしまい)

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