破滅型の40代の父よ、ニコンFと丹沢へ行け
父は疲れ知らずの人でした。無謀でもあります。例えば、扁桃腺の摘出手術を誰にも相談せず即決し、お花畑を見たそうです。
父さん、それ臨死体験じゃないよね、息子は心配です。
30代前半の母が父の仕事量を案じて、休むように頼んでも「俺は大丈夫。兄貴と違う」と、統合失調症の10歳上の兄(伯父)のことを口にしたようです。いや、ストレス脆弱性をあなたも遺伝してると思われるから、大丈夫では無い。遺族としては「言ったでしょ」となります。
彼の猛烈な働き方は勤勉さや知的好奇心や野心だけではなく、バカ扱いされて家庭内で一段下と扱われ、唯一かばってくれた兄(伯父)が20歳頃に発症したから、勉強して試験や受験で結果を出せるようになる14,5歳までの4,5年、味方がどこにもいなかったはずです。
「俺は馬鹿ではない」と証明し続けないと、安心出来なかったのではないかと思うのです。理由は、僕も中学時代の担任に悪意を向けられた経験があり、進路を変更しており、精神科の診断書に書いてあるほど重い出来事で、世の中には「受けてはいけない傷」があると、僕は思うから。
「受けてはいけない傷」は、何かを生き延びることを無駄と言いたいのでは無いです。V.E.フランクルを始め、生き延びて還ってきてくれた方々は尊い。けれど拷問が駄目なように、「受けてはいけない傷」も残酷だと私は思います。
苦労を選べるなら、選べたら嬉しくないですか
障害にしろ療養にしろ、「健康でこれだけ努力するなら、ビル建てるわ」と思う方もおられるでしょう
心の傷も選べたらいいのに
生まれてくる環境も
遺伝的要因も
皮肉なことに、遺伝的要因の因果から少し自由になるはずのデザイナーベビー自身も、自分がデザイナーベビーであることを選んで生まれてこれない点は、我々と同じです。このように選べないことは多いから、起きたことの対処と再発防止の仕組み化が大事。社会が良くなることは、こうした積み重ねの結果です。
父は岩波書店が好きみたいで、彼の本棚に西洋美術の高校生向けくらいの新書サイズの本が一つありました。専門以外駄目なことを、自覚していたのかもしれません。父よ、その本はいい本です。けれど、鈴木大拙とか、知的生き方文庫の老荘思想の方が、あなたの痛みを和らげる気がします。選書が惜しい。大学図書館にいい本あるだろうに、良い環境にいても見えてませんね。
死後も遺族に心配と迷惑をかけることを想像出来ず、大丈夫と言い続ける父よ、息子は心配です。再発防止策なのだけど、あなたは難問が過積載なので、18歳の時に買った愛用のニコンFで、少しは丹沢で自然でも見て、言葉にならない重荷を降ろしてくるといい。
父さんは語彙少ないから、非言語コミュニケーションお勧め。
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