偉人と遊ぶ|「正直者ワシントン」 ~気をつけて︕ ほら、ジョージがやってくる︕
アメリカ合衆国初代⼤統領のジョージ・ワシントン。
政治で何をした⼈かはいまひとつ思い出せないけれど、「ワシントンの斧」という逸話だけは妙に覚えている。
皆さんも、なんとなく聞いたことあるでしょ?
ほら、「ワシントンの斧」ってのは、6歳の誕⽣⽇に⽗から斧をもらったワシントンが、⽗が⼤切にしている桜の⽊を切り倒してしまう話。
激怒した⽗が、「誰が切ったのか!」と問い詰めると、少年ワシントンは、「ボクは嘘をつくことはできません。ボクが切りました」と告⽩。
父は、息⼦の正直さを喜び、ワシントンを叱らなかった…っていう逸話です。
初めて、この話を聞いたときの衝撃は忘れられない。
だって、「だからなんなの︖ なんでこんな話が逸話なの︖」って思ったもの。
話の感動ポイントが、よくわからなかったね。
だいたいさ、「正直に⾔えば、いいんだろ」ってのが、イヤな感じだよ。
だって考えてみてくださいよ。
そもそも、犯⼈はバレバレなわけじゃん。
だってね、
「斧をもらった少年」,
「斧で切られた桜の⽊」,
「桜の⽊は⾃宅の庭」
状況証拠が揃い過ぎてる。…これだけ条件が揃ってれば、ワシントンより怪しいヤツいないじゃん!
これって、⼾棚の饅頭をこっそり⾷べたヤツが、⼝のまわりにアンコをつけてるようなもんだよね。あるいは、ウンコ漏らしたヤツが、スマした顔で強烈な臭気に包まれてるようなもの。
ワシントンもせめて「正直に⾔うと私はウソつきです。そして桜の⽊を切ったのは私です」ぐらいのことを⾔ってくれてれば、
後世の⼈間だって、「果たしてワシントンは本当に桜の⽊を切ったのでしょうか︖ それともウソだったのでしょうか︖」っていうウソつきミステリーを楽しめたのに。
確かに、「正直」は⼤切なことかもしれないけれど、⼦供に聞かせる話なら「良い正直」と「悪い正直」の組み合わせぐらいは教えた⽅がいいと思うね。
例えば、『正直ワシントンの⼀⽣』っていうこんな話にしてさ。
最初は、桜の⽊を切ったことを正直に告⽩して、許されたワシントンからはじまる。
そして…
彼⼥の⼿料理を「きわめてマズイです」と、正直に述べて、平⼿打ちされるワシントン、
隣家の⼦供に「きみは両親の本当の⼦供じゃないよ」と、正直に教えて家庭を壊すワシントン、
カウンセラーのバイトで患者に「君の頭は救いようがないほど壊れています」と、正直に⾔って殴られるワシントン、
体調が悪いという友達に「だってガンだし」と、正直に伝えるワシントン
…みたいな話をたくさん集めたら、すごく含蓄に富んだ物語になると思うね。
「気をつけろ︕ お前のところにジョージがやってくる︕」みたいなキャッチコピーをつけてさ。
でもね、実際のところ、ワシントンは正直者じゃないと思うよ。
だって、ホントに正直者だったら、⼤統領になれるわけないもの。
ところで、この桜の木の逸話って、伝記作家が「子供たちの教育のために」って創作した作り話なんだって。
つまり、
「正直」を語るヤツが、一番の「ウソつき」だったって話。
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