「まだ、足りないの?」──エネルギーと欲望の200年を問い直す
ー地球と人類の未来を考える:エネルギー爆発とその影響ー
はじめに|それでも、わたしたちは「もっと」を求めつづけるのか?

産業革命から200年。
人類は、かつてない速度でエネルギーを使う生き物になりました。
電気があたりまえになり、クルマが走り、コンピュータが計算し、
世界は便利で、速くて、つながっていて──
それが「進歩」だと、信じてきました。
でも、気づけば地球は疲れはて、
空気はよごれ、海はあたたまり、
生きものたちの声が、ひとつ、またひとつと消えていきます。
そしてわたしたち自身も、
どこか満たされないまま、何かを追い続けています。
このまま「もっと」消費を続ければ、わたしたちは豊かになれるのでしょうか?
それとも、
「もう十分かもしれない」と立ち止まることに、ほんとうの豊かさがあるのでしょうか?
この記事では、
人類のエネルギー消費の歴史とその影響をたどりながら、
「成長」と「幸福」の関係を問い直し、
脱成長という選択肢がどんな未来を描けるのかを探っていきます。
1. 人類のエネルギー消費はなぜ指数関数的に増えたのか?

産業革命以降、人類のエネルギー使用量は桁違いの勢いで増加してきました。
1800年から現代までの世界の一次エネルギー消費(エネルギー源別)。化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の大量利用により、20世紀後半から消費量が急増し、2019年時点で年間約606エクサジュール(EJ)に達しているe-education.psu.eduen.wikipedia.org。
例えば、1800年頃の世界の年間エネルギー消費はわずか十数EJ程度でしたが、1900年には約30EJへと増加し、第二次大戦後の高度成長期を経て2000年頃には約450EJにまで跳ね上がりましたe-education.psu.edu。
その後も拡大は続き、2019年には世界全体で年間およそ606EJものエネルギーを消費するに至っていますen.wikipedia.org。
わずか100年前と比べて人類は 10倍以上のエネルギーを燃やしている 計算ですresilience.org。
この増加は人口増加と産業の発展による需要拡大に支えられたものですが、特に石炭・石油など化石燃料の大量利用がエネルギー消費カーブを一気に押し上げましたe-education.psu.edue-education.psu.edu。
産業革命前は薪や木炭などバイオマス燃料が主でしたが、19世紀後半から石炭、20世紀に入ると石油と天然ガスが台頭し、1960年代以降は原子力も加わっていますourworldindata.org。
人類社会は豊かさと引き換えに、過去に例のない速度でエネルギーを使い始めたのです。
2. エネルギー成長がもたらした環境インパクト – 気候から生態系まで

人類による爆発的なエネルギー消費は、地球環境に大きな爪痕を残しています。
最大の影響は気候変動です。石炭や石油など化石燃料の大量燃焼によって二酸化炭素(CO₂)が大気中に放出され、その濃度は産業革命前の約280ppmから現在は420ppmを超える史上例のない水準に達しましたearth.org。
これに伴い地球の平均気温はすでに+1.3℃上昇しておりourworldindata.org、異常気象の頻発や海面上昇など深刻な変化が現れています。
実際、人間活動による温室効果ガス排出の約4分の3はエネルギー生産・消費(主に化石燃料燃焼)に由来するとも指摘されますourworldindata.org。化石燃料への依存が続く限り、気候変動の進行は避けられません。
気候への影響だけではありません。果てしないエネルギー消費と資源採掘は生態系にも深刻な負荷をかけています。
森林伐採や油田・鉱山の開発によって自然の生息地が破壊され、生物多様性の危機が高まっています。ある分析によれば、素材や燃料など人間の資源採取・加工活動が 世界の生物多様性喪失の90%以上 の原因となっているとのことですunep.org。
実際、WWF(世界自然保護基金)の報告では1970年以降に野生動物の個体群が平均で約69%も減少したとされweforum.org、この50年で地球上の生き物の豊かさが大幅に失われました。
気候変動もまた将来的に生物多様性喪失の最大要因となり得ると警告されていますweforum.org。さらに化石燃料や一部バイオマス燃焼による大気汚染は、人間の健康にも影響を与え、毎年少なくとも約500万人がそうした大気汚染に起因する早死にをしているという推計もあります
ourworldindata.org。エネルギー成長の陰で、地球環境と人類の健康には大きなしわ寄せが及んでいるのです。
3. 経済成長は幸福をもたらすのか? – 成長の限界と格差の現実

経済は「成長すれば豊かになり幸せになる」と信じられてきました。それ自体は部分的に真実で、確かに所得が増え生活水準が向上すれば、極度の貧困や飢餓は緩和され人々の満足度も上がります。
しかし先進国のように物質的に充足した社会では、さらなる経済成長が必ずしも人々の幸福感を高めていない ことが種々の調査で示されていますes-inc.jp。
この現象は「イースターリンのパラドックス」として知られ、個人レベルでは裕福な人ほど幸福だが、国全体ではGDPが一定以上豊かになると平均幸福度が頭打ちになる と指摘されていますblogs.lse.ac.uk。
実際、米国やドイツ・日本などでは戦後長期にわたりGDPが大きく成長したにもかかわらず、主観的幸福度はそれほど上昇していないとの報告がありますblogs.lse.ac.uk。
最新の研究でも2009~2019年の分析で「高所得国では所得の伸びと幸福度の上昇に有意な相関が見られなかった」とされ、所得向上よりも健康や社会的つながりといった要因の方が幸福に寄与することが示唆されていますblogs.lse.ac.ukblogs.lse.ac.uk。
豊かな国では、もはや経済成長“だけ”を追求しても人々のウェルビーイング(幸福・生活の質)は改善しにくい局面に来ているのです。
また、経済成長の恩恵は社会に均等に行き渡っているでしょうか。現実にはその果実は偏って配分される傾向が強く、成長が続いたこの数十年で世界的な経済格差はむしろ拡大しています。
例えば世界の富のほぼ半分を上位1%の富裕層が独占し、下位50%の貧しい半分の人々の持ち分は全体のわずか0.75%に過ぎないとの報告がありますglobalcitizen.org。
近年では世界の億万長者たちがコロナ禍以降にさらに巨額の資産を築く一方で、貧困層はより困窮するという「富む者ますます富み、貧しい者ますます貧しく」という構図が鮮明ですglobalcitizen.org。
成長による富は一部に集中し、多くの人々には行き渡らないままでは社会全体の幸福向上にはつながりません。むしろ格差拡大は社会的緊張や不安を生み、人々の精神的な幸福感を損ねる要因にもなり得ます。
行き過ぎた競争社会や過度の長時間労働、将来不安――こうした現代のストレスフルな状況も、「成長最優先」の副作用と言えるかもしれません。
経済学者らも指摘するように、豊かな国においてはGDPより健康・教育・人間関係といった真の豊かさ指標に重点を移すべき段階に来ているのですblogs.lse.ac.uk。
なお1972年に発表された有名な報告書『成長の限界』では、地球という有限な環境の中で人口と経済の無限成長は行き詰まる可能性が高いと警鐘が鳴らされましたclubofrome.org。
実際には技術革新などで悲観的予測よりは延命しているものの、資源の枯渇や環境汚染という「成長の壁」は徐々に現実味を帯びています。「限界なき成長神話」は、幸福の観点からも地球環境の観点からも、今や見直しを迫られていると言えるでしょう。
4. 技術で解決できる?原子力・核融合の光と影

増え続けるエネルギー需要と気候変動に対処する切り札として、しばしば挙げられるのが原子力発電や将来の核融合エネルギーです。
これらは確かに化石燃料とは異なる魅力を持ちますが、果たして万能の解決策となり得るのでしょうか。その利点と限界を整理してみます。
原子力発電(核分裂):
現在実用化されている原子炉による発電です。最大の利点は発電時にCO₂をほとんど出さないこと。
ライフサイクル全体で見ても原子力の温室効果ガス排出強度は1kWh当たり約12g程度と試算されており、これは風力発電と同程度で太陽光の約3分の1という極めて低い水準ですworld-nuclear.orgworld-nuclear.org。
また一度に大量のエネルギーを安定供給できるため、基幹電源として経済成長を支えてきました。しかし欠点も無視できません。稀とはいえ重大事故のリスクが付きまとい、チェルノブイリ(1986年)や福島第一(2011年)の原発事故では広範囲に放射能汚染を引き起こし住民避難など甚大な被害をもたらしました。
原子炉の安全対策は強化されていますが「絶対安全」とは言い切れず、社会の不安は根強いものがあります。
また使用済み核燃料など放射性廃棄物の処分も大きな課題です。数万年規模で管理が必要な高レベル廃棄物を未来世代に残すことへの倫理的問題も指摘されています。さらに原発は建設コストが巨額で立ち上げに長い年月を要し、新増設も進みにくい状況です。現在、原子力は世界の発電量の約9%を担うに過ぎずen.wikipedia.org、
急速に役割を拡大するのは簡単ではありません。低炭素だが安全性と費用の面で限界がある――これが現状の原子力の評価と言えるでしょう。核融合エネルギー:
「太陽の火」を地上で再現すると言われる未来エネルギーです。水素の同位体を超高温・高圧で融合させ莫大なエネルギーを取り出す核融合は、理論上はクリーンかつ燃料も海水由来の重水素など無尽蔵に近い夢の技術です。放射性廃棄物も核分裂ほどは発生せず、事故の際も反応が暴走しにくい安全性が期待できます。
しかし実用化へのハードルは極めて高く、1950年代から研究が続くものの「実用化はいつも数十年先」と揶揄される状態が長らく続いてきました。
近年になり、米国の国立研究所(NIF)が2022年12月に核融合実験で投入エネルギーを上回る出力を得る「点火」に世界で初めて成功したと報じられましたreuters.com。これは大きな科学的ブレイクスルーであり、核融合発電への道筋に希望を与えるものですreuters.com。
しかし専門家によれば商業炉の実現にはなお数十年規模の開発と投資が必要で、気候変動対策のタイムリミットには到底間に合わないとの指摘もありますreuters.com。
核融合が仮に実現すれば地球規模のエネルギー問題解決に寄与する可能性はありますが、それまでは現在の課題を現行技術で乗り切るしかありません。言い換えれば、「未来の夢の技術」に過度な期待を寄せて足元の対策を怠れば手遅れになるリスクがあるのです。
以上のように、原子力や核融合は重要な技術オプションではあるものの、それ単独で現在のエネルギー・環境問題を魔法のように解決することはできません。
技術には利点と同時に限界もあることを踏まえ、再生可能エネルギーの拡大や省エネと組み合わせた総合的アプローチが必要となるでしょう。
5. 「脱成長」とは何か? – 成長神話を超える新たなパラダイム

果たして私たちは永遠に成長し続ける必要があるのでしょうか。近年、経済成長至上主義から脱却し、持続可能で公正な社会を築こうとする「脱成長(デグロース)」という考え方が注目を集めていますideasforgood.jp。
脱成長は単に経済を縮小させるという意味ではなく、人間の幸福や生態系の健全さを犠牲にすることなく経済規模を見直そうという包括的ビジョンです。その定義は一つではありませんが、ある研究では次のようにまとめられています。
「脱成長とは、生産と消費の縮小によって人類のエコロジカル・フットプリント(環境負荷)を削減し、ウェルビーイングを確保しながら、それを公平かつ民主的に計画して進めることである」ideasforgood.jp。
要するに地球環境の許容量に見合うよう経済のスケールダウンを図りつつ、人々の幸福や社会の公正さを損なわないよう計画的に移行していくというアプローチです。ここには、「成長か停滞か」という二者択一ではなく、経済の質的転換によって豊かさの在り方そのものを再定義する狙いがあります。
この思想の背景には、前述の成長の限界に関する問題意識があります。
実は「脱成長(Décroissance)」という言葉自体、1972年にフランスの思想家アンドレ・ゴルツが使ったのが始まりとされますes-inc.jp(奇しくも同年は『成長の限界』が発表された年でもありました)。
その後、2000年代に入りフランスの経済学者セルジュ・ラトゥーシュらが「現在の経済成長モデルは持続不可能だ」と訴えて脱成長論を本格的に展開し、欧州を中心に社会運動へと発展しましたes-inc.jp。
2008年にはパリで第1回の国際脱成長会議が開かれ、以降も各国で議論が広がっていますes-inc.jp。現在では研究者・活動家による国際ネットワークも形成され、学術的にも「脱成長経済学」が発展しつつあります。
重要なのは、脱成長が「縮小そのもの」を目的にしていない点です。あくまで手段としての計画的な縮小であり、その先に目指すのは人と自然が調和し誰もが尊厳を持って暮らせる社会ですdegrowth.info。
しばしば誤解されますが、脱成長は景気後退や不況のような行き当たりばったりの経済縮小とは異なります。不況は予期せぬ需要減退で失業や格差が拡大し人々の生活が悪化しますが、脱成長はあらかじめ社会の優先順位を変えつつ公正に経済規模をスケールダウンさせる「意図的な旅路」ですes-inc.jp。
具体的には富裕層への偏った富の再分配や労働時間の短縮、必要以上の生産・消費の抑制などを通じて、地球への負荷を減らしつつ大多数の生活の質を向上させようとする試みですdegrowth.info。
脱成長論者たちは「地球の限界内で全人類にとっての良い暮らし (a good life for all within planetary boundaries) を実現しよう」というスローガンを掲げていますdegrowth.info。
代表的な提唱者としては先述のラトゥーシュの他、イギリスの経済学者ティム・ジャクソン(著書『繁栄の経済学(原題: Prosperity Without Growth)』)や、経済人類学者ジェイソン・ヒッケル(著書『少ないほど豊かになる(Less is More)』)、環境経済学者ジョルジュ・カリスなど国際的にも多彩な研究者が名を連ねます。
彼らはそれぞれの立場から、現代資本主義の下で蔓延する過剰消費や格差の問題を指摘し、物質的豊かさの追求から精神的・社会的豊かさの追求へとパラダイムシフトすべきだと訴えていますideasforgood.jpdegrowth.info。
例えばヒッケルは「貧困撲滅のためには富裕層の富を削り再分配する必要があり、富裕国は成長依存をやめて持続可能な範囲まで経済規模を縮小すべきだ」と主張しています。また日本でも近年、経済思想家の斎藤幸平氏が著書『人新世の「資本論」』で脱成長コミュニズムを提唱し話題となりました。
脱成長の議論は決して「成長停止=悪」という従来の常識にとらわれず、別の道を模索する大胆な問い掛けなのです。
もっとも、脱成長は一様に全ての国で当てはまる戦略ではありません。支持者たちも「豊かな国・階層が中心となって実践すべきで、未だ基本的ニーズが満たされていない貧しい国や人々まで成長を止めよと言うものではない」と強調しますdegrowth.info。
実際、グローバル北(先進国)の過剰な資源消費を削減する一方で、グローバル南(途上国)は自律的な発展の道を追求できる余地を認めることが脱成長の大事な視点ですdegrowth.infodegrowth.info。
要は、豊かな社会が率先して贅沢を控え、そのぶん地球環境と貧しい人々に「余地」を返していこうという連帯の思想なのです。脱成長はまだ議論の途中にありますが、気候危機や格差是正の文脈で、その理念は急速に存在感を増してきています。
6. 持続可能な社会への道 – 求められる転換と価値観の再構築

エネルギーの爆発的消費と環境・社会問題を見てきたように、私たち人類は今まさに岐路に立っています。持続可能な社会へ舵を切るためには、技術面のみならず私たちのライフスタイルや価値観そのものを見直す必要があります。
最後に、未来に向けて求められる主な転換と価値観の再構築の方向性をまとめます。
エネルギーの脱炭素化と転換:
化石燃料中心のエネルギー体制から再生可能エネルギー中心への大胆なシフトが不可欠です。
太陽光や風力、水力、地熱といったクリーンエネルギーへの切り替えと、省エネルギー技術の導入によって、気候変動の主因であるCO₂排出を段階的に削減していきます。
国際機関も「化石燃料から風力・太陽光など再生可能エネルギーへのほぼ全面的な転換」の必要性を強調しておりunep.org、今後数十年でエネルギー供給の構造そのものを転換することが求められます。
これは技術開発だけでなく、電力網や輸送システムのインフラ整備、エネルギー貯蔵技術の普及、そして何より政治的意思と国際協調が必要な大事業です。循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行:
資源を使い捨てにする直線型の経済から、廃棄物ゼロを目指す循環型経済へ転換します。
製品の長寿命化、リユース(再使用)やリサイクルの促進、生分解性素材の利用拡大などによって、資源採掘と廃棄による環境負荷を大幅に減らします。
使い捨てプラスチックや大量廃棄される食品などの問題に対しては、企業の責任ある生産と消費者の賢い選択を促す仕組み作りが有効でしょう。
資源効率を高め「廃棄物=資源」とみなす発想への転換は、経済と環境の両立に直結します。新しい豊かさの指標:
社会の目標設定をGDP成長率一本槍から、多面的な幸福指標へと切り替えることが重要です。既に世界では、物質的豊かさだけでなく人々の幸福や健康、生態系の健全性を測る指標づくりが始まっています。
例えばニュージーランド政府は2019年に世界初の「ウェルビーイング(幸福)予算」を発表し、政府支出を経済成長ではなく国民の幸福目標(メンタルヘルスや子どもの貧困削減など)に結び付けましたes-inc.jp。
またスコットランドやアイスランドなどは「ウェルビーイング経済政府連合(WEGo)」を結成し、経済政策の評価基準に幸福度や公正さを組み込む試みを行っていますes-inc.jp。
ブータンのGNH(国民総幸福量)や国連の世界幸福度報告など、GDP以外の物差しに注目が集まるのは、「何のための成長か」を問い直す動きと言えます。今後は企業活動においても単なる利益率ではなく、環境・社会への貢献度合い(ESG指標など)で評価する価値観が主流になっていくでしょう。働き方・暮らし方の再設計:
持続可能な社会では、人々の暮らし方そのものも変わる必要があります。一つは労働観の転換です。高度成長期のような長時間労働や過剰な競争よりも、ワークライフバランスや健康、人間らしい暮らしを重視する方向へシフトします。
週休3日制やベーシックインカムの議論も含め、「生きるために働く」から「幸福に生きるために必要なだけ働く」への意識改革が求められます。また都市と地方の関係見直しや地域コミュニティの再生も重要です。地産地消や地域通貨、シェアリングエコノミー(物やサービスの共有)といった取り組みは、人と人とのつながりを強め資源の有効活用にもつながります。
テクノロジーの活用で遠隔勤務や分散型社会が可能になった今、地方移住や脱都会的なライフスタイルを選ぶ人も増えています。これはエネルギー消費の分散や地域活性化にも寄与する流れです。要は、一人ひとりが「本当の豊かさとは何か」を見つめ直し、時間や心のゆとり、家族・友人との絆、創造性の発揮といった定性的な豊かさを大事にする暮らし方へと舵を切ることが大切です。価値観の再構築と教育:
持続可能な未来には、新しい価値観・倫理観の共有が不可欠です。そのキーワードは「ケアと連帯、そして足るを知ること」でしょうideasforgood.jpdegrowth.info。
経済至上主義ではなく、人と人、人と自然がお互いを思いやり支え合う価値観ですdegrowth.info。例えば高齢者や弱者を支えるケア労働を社会が重視し評価すること、コミュニティで子育てや介護を助け合うこと、利益より命や人権を優先すること等です。
また「足るを知る」とは必要以上の消費を求めない倫理観であり、仏教の言葉でいう少欲知足**の精神にも通じます。
これまで先進国が主導してきた大量生産・大量消費のライフスタイルを見直し、よりシンプルで環境負荷の小さい生活を良しとする文化を醸成していく必要があります。こうした価値観の転換は一朝一夕にはいかないため、次世代への教育がカギになります。
学校教育で環境リテラシーやSDGs(持続可能な開発目標)の理念を教え、子どもたちに持続可能性や多様性の尊重、グローバルな連帯意識を身につけてもらうことが重要です。
企業のリーダーシップ研修でもサステナビリティや倫理観を重視する動きが出てきています。メディアやコミュニティでの啓発も含め、社会全体で「未来志向の価値観」へのシフトを図ることが求められます。
以上のような転換を進めていけば、将来的には経済は地球と調和し、人々は今より少ないエネルギー消費でも豊かさや幸福を感じられる社会が実現するでしょう。
それは一種の「成熟した社会」と言えるかもしれません。成長率や物質量ではなく、人々のウェルビーイングと地球環境の健全さが両立することこそが、本当の意味で豊かな社会の姿ではないでしょうかdegrowth.info。
私たち一人ひとりがこの価値観を共有し、小さな行動から変革を起こしていくことで、持続可能な未来への道筋が開けていくのです。
参考文献・情報源:
https://ourworldindata.org/energy
→ 人類のエネルギー使用の歴史や地域別の消費傾向を、豊富なグラフで視覚的に解説している。https://www.iea.org/reports/world-energy-outlook-2023
→ 国際エネルギー機関(IEA)による世界のエネルギー見通し。将来の需要や脱炭素シナリオなどが掲載されている。https://mitpress.mit.edu/9780262536165/energy-and-civilization/
→ 歴史学者ヴァーツラフ・スミルの名著『エネルギーと文明』の出版社公式紹介ページ。人類史とエネルギーの関係を分析。https://www.energyinst.org/statistical-review
→ 世界のエネルギー統計を長年提供しているBP(現在はEnergy Institute)。各種エネルギーの消費量データが入手できる。https://www.unep.org/resources/global-environment-outlook-6
→ 国連環境計画(UNEP)が出している地球環境の総合報告書。気候・資源・生物多様性の現状と将来を評価。https://www.ipcc.ch/assessment-report/ar6/
→ 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書。地球温暖化の科学的根拠と人類の影響を総合評価。https://www.wwf.org.uk/living-planet-report-2022
→ WWFによる自然環境の年次報告書。生物多様性の減少や自然の損失状況をデータで示している。https://www.thelancet.com/gbd
→ 医学誌『The Lancet』と世界疾病負荷(GBD)研究プロジェクトの特集ページ。大気汚染などが健康に与える影響を解説。https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-94-015-7851-0_9
→ イースターリンの有名な論文“Does Economic Growth Improve the Human Lot?”の書籍収録版(英語)。https://ourworldindata.org/economic-growth-and-happiness
→ 経済成長と幸福の関係に関するデータと論考を掲載。個人の豊かさと国全体の幸福の違いを解説。https://worldhappiness.report/
→ 国連が毎年発行する世界幸福度ランキング。所得、健康、人間関係など複数指標で各国を比較。https://www.oxfam.org/en/research/survival-richest
→ NGOオックスファムによる「世界の富の不平等」に関するレポート。上位1%の富裕層が富の大半を所有している現実を提示。https://www.clubofrome.org/publication/the-limits-to-growth/
→ 『成長の限界』(1972年)を発表したローマクラブの公式ページ。限界モデルの意義と現代的意味を紹介。https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
→ IEAによる「2050年までに温室効果ガス排出をゼロにする」ためのロードマップ。再生可能エネルギーの導入戦略などが書かれている。https://www.unep.org/resources/making-peace-nature
→ UNEPによる自然との“和解”を目指す政策提言報告。環境、経済、人間福祉の統合的解決を提案。https://timjackson.org.uk/ecological-economics/pwg/
→ 経済学者ティム・ジャクソンの著書『成長なき繁栄』の解説ページ。経済成長に依存しない豊かさを探る。https://www.jasonhickel.org/less-is-more
→ ジェイソン・ヒッケルによる脱成長の代表的著作『Less is More』の紹介ページ。環境倫理とグローバル経済の見直しを訴える。https://www.shueisha-int.co.jp/contents/hitoshinseno_kapital/
→ 斎藤幸平『人新世の「資本論」』の出版紹介ページ(集英社インターナショナル)。脱成長コミュニズムの視点から提言。https://wellbeingeconomy.org/wego
→ ウェルビーイング経済政府連合(WEGo)の公式サイト。GDPではなく幸福度重視の政策を実践する国々の連携組織。https://www.iter.org/
→ 核融合エネルギーの国際大型実験炉「ITER(イーター)」の公式サイト。核融合の原理や国際協力体制を解説。https://uk.bookshop.org/p/books/farewell-to-growth-s-latouche/3650706?ean=9780745646176
→ 脱成長論の思想家ラトゥーシュの著書『Farewell to Growth』の販売ページ(英語)。成長神話への根本的批判を展開。
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