「売れる本」からこぼれ落ちる「作りたい本」への第一歩。私がZINEフェスに出る理由
先日、noteでもお見せした、カードブック。いよいよ全てが刷り上がりました。表は野菜のイラスト、裏はレシピがプリントされたカードと、カードをまとめるホルダーと合わせて、まずは6月28日(日)のZINEフェス仙台に出展します。今回は「なぜZINEフェスか」というお話を。

表の絵は私が描きました。料理家が絵も描く意味とは…
そうだ、ZINEならできる
私はこれまで、出版社を通じて何冊もの本を出してきましたが、まだやっていないことは山ほどあります。たとえば、スープ作家になってから定期的に周囲の人に言われることがありました。
「スープのレシピカードを作ったらいいのに」
レシピ本を見ていいなと思った料理を作るとき、本を手元に置いて料理をはじめたい。でも、開いたレシピ本を置いておくようなスペースがあるほど大きなキッチンを使っている人は少ないです。肉を触ってベタベタな手で本を扱うのも嫌ですよね。
カードなら、マグネットやマステで、冷蔵庫の扉やキッチンの壁にちょこっと貼りつけておけます。手が汚れていても見ることができます。
通して読む本の意味は別として、実用の面からいえば、レシピはカードが一番いいんです。それに、料理の写真ってきれいなものも多いので、ピンナップ的な使い方もできます。

でも、多くの編集者は、レシピカードを作りましょうとはなかなか言ってくれません。実際、印刷のコストや商品としての管理の問題、作ってみたらみたで、実際には値段も割高になってしまい思ったほどは売れないなど、それなりの理由があります。
カードを作ってほしいというのは、レシピ本の出版事情なんて関係ない、ごく普通の生活者です。そして、困ったことに、それこそが私がレシピを届けたい人たちなのです。
昨年、文学フリマですごく多くの人が手作りの本を出しているのを見て、私も自分で作って売ってみよう!と思いました。ZINEフェスに決めたのは、本というよりグッズ感が強いからです。
やると決めたらあとはシンプルでした。絵を描いて、料理を撮影してCanvaでレイアウトして文字も入れ、印刷屋に入稿してカードを刷りました。カードを束ねるホルダーは、きちんとデザイナーさんにお願いして可愛い黄色のホルダーを作ってもらいました。全部プロにおまかせできなかったのは予算が足りなかったからですが、自分をほめたくなる出来栄えです。
次の時代のための、クリエイティブの実験
レシピカード以外にも、私はいろいろやってみたいレシピの印刷物の(あえて出版物とは書かないですが)アイデアがあります。たとえば…
◯日めくりスープカレンダー
野菜の本当の旬は2週間。その旬の時期はそればっかり食べるようにレシピを詰め込んで、その後はまた別の野菜へ。曜日とか日付にこだわるカレンダーでなければ、今何を食べるべきかが見られる万年カレンダーが作れそう。実はこれも、よく作ってほしいと言われるもののひとつです。
◯レシピ巻物
家庭料理は日々、連続するものです。一週間とか一ヶ月を巻き物で流れるように表すと「今日のごはんはどうしよう」というところから「今週のごはんはどうしよう」「今月のごはんをどうしよう」みたいな、少し俯瞰した視点が生まれるんじゃないかと思います。
◯おやつスープ
一般的な本の形をしていても、商業出版で出しにくいニッチなテーマや手法もあります。私は、おやつスープの企画を長年あたためています。フルーツをはじめとする甘いスープや、おやつ時間にお菓子がわりに食べたいスープを作ると、楽しそうだし新しい食事の提案にもなりそうだなとか。
可愛さてんこ盛りのスタイリングで作ってもらって、そうなると私のキャラクターとは合わないから、VTuberでもいいし、ゆるキャラを作ってもいいし、何か別の「可愛さ」と組み合わせて作る方法も考えられそう。
料理って本当にいろいろな視点で見られるし、レシピにもとてつもなく幅広い表現があると思うのです。でも、今の市場ではどうしても作りにくい本、売りにくいもの、編集者がやりたいと思っても実現が難しい企画がたくさんあります。時代もあって、出版社が悪いわけでもない。でも、規格におさまらないアイデアや、自由な表現がもっとできたらなと考えない日はありません。
いつの時代も、次の時代を作るのは、突飛で、共感性もない、したがって売れそうにないように見えるもの。今の規範でジャッジすると間違っているものの中にしか、次の時代の正解はないのです。
そして、そういうものを作り出そうとしている人のことをクリエイターと呼びます。今、文学フリマやZINEフェスが盛況だというのも、クリエイターたちがクリエイトする場所を求めて集まり始めているからです。
大きく世の中を動かしたい、というわけではないんです。でも、この仕事をはじめてから私がずっと心がけてきたのは、家庭料理に新しいデザインを提供する、ということでした。みんなの暮らしに新しい形や価値観を提示して、多くの人に、明るく朗らかに暮らしてほしい。だからまず、自分が信じる方を向いて、体と手を動かそうと思いました。
今回のレシピカードは、そんな思いからスタートした小さな一歩。しばらく休んでいた絵を始めた理由もここにあります。料理家が絵を描く意味とは?ということについては、この次にもう少し深く、お話することにします。
カードのその先の話
今回のレシピカード、まずはZINEフェスで販売を開始します(フェスには、サポーターである森迫紀子さんと二人で出かけます!)。また、トークショーや料理教室など今後開催する自分のイベントにも手持ちします。イベントはXやインスタのストーリーで必ず告知するのでぜひチェックしてみてください。
フェスやイベントには行けないけれどカード欲しいです、という方もいるかと思います。ただ、現段階ではスタッフもおらず、対応が難しい状態です。何か考えて答えを出そうと思います。
ZINEを扱っている書店さんで、まとめて買い取りいただけるところを探しています。価格など詳細についてはご相談の上。メールくださるとありがたいです。 都内近郊ならお店に参ります。
soupariga☆gmail.com(☆を@にかえてください)
このフィールドでは新人のつもりでがんばります。ぜひ活動を応援してください。クリエイターがもっと遠くへ羽根を広げられる世界を一緒に目指しましょう。
ZINEフェス詳細はこちらで。
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読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。