経口補水液はいつ飲ませる?薬剤師ママが知っておいてほしいこと
KAORU|薬学博士・現役病院薬剤師・双子ママ
「熱が出たから経口補水液を飲ませた方がいい?」 「赤ちゃんに飲ませても大丈夫?薄めた方がいい?」 「スポーツドリンクじゃダメなの?」
子どもが体調を崩すたびに、こういった疑問が出てきますよね。今日はよく聞かれるこれらの疑問に、薬剤師ママとしてお答えします。
経口補水液は「脱水時の専用飲料」です
最初にここだけは押さえてください。
経口補水液は、嘔吐・下痢・発熱などで脱水が疑われるときのための専用飲料です。普段の水分補給や熱中症予防のための日常的な飲料として使うものではありません。
「とりあえず飲ませておけば安心」ではないのです。この前提を知っておくだけで、使い方がグッとクリアになります。
何ヶ月から飲ませていい?
1歳未満の赤ちゃんにも使えますが、まずかかりつけの医師に相談してください。
メーカーのFAQでも「3ヶ月未満の乳児は医師にご相談ください」「母乳やミルクが飲めていれば飲用できると思われますが、医師にご相談することをお勧めします」としています。
この記事では1歳以上の子どもを主に想定してお伝えします。
スポーツドリンクじゃダメなの?
「スポーツドリンクでもいいんじゃない?」と思う方も多いと思います。実は成分が全然違います。
経口補水液は塩分が多く糖分が少ないのに比べて、スポーツドリンクは糖分が多く塩分が少ない飲料です。
嘔吐や下痢のときは水分と一緒に塩分(電解質)も大量に失われます。この状態のときに塩分が少ないスポーツドリンクを飲んでも、失われた電解質を十分に補えないとされています。
経口補水液は「脱水状態のときに素早く電解質と水分を補給する」ために作られた飲料。スポーツドリンクは「日常の水分補給・スポーツ時」向け。用途が違うのです。
普段の水分補給には水・麦茶・スポーツドリンクで十分です。経口補水液は「脱水っぽいときの専用アイテム」として使うイメージです。

では、いつ飲ませればいい?
「脱水症状が出た時点で飲ませ始める」が正しいタイミングです。
具体的には、こんなサインが出たときです。
嘔吐・下痢が続いている
発熱があって水分がとれていない
ぐったりしている・元気がない
唇や口が乾いている
尿が少ない・長時間出ていない
赤ちゃんや言葉が出る前の乳児は「喉が渇いた」と伝えられません。だからこそ、こういった体のサインを見逃さないことが大切です。
逆に、熱はあるけど元気で水分がとれているなら、経口補水液でなくても大丈夫です。日常的にたくさん飲ませ続けると、電解質のバランスが崩れる可能性もあるとされています。
母乳やミルクじゃダメなの?
しっかり飲めているなら問題ありません。
母乳やミルクが十分に飲めている間は、経口補水液を無理に追加する必要はありません。ただし1歳を超えると活動量が増えて必要な水分量も増えるため、嘔吐・下痢・発熱のときは脱水になりやすくなります。そういった場面で経口補水液が補助として役立ちます。
脱水のときも母乳やミルクは基本的に継続して問題ありません。ただし一気に飲ませると嘔吐を誘発することがあるため、少しずつ飲ませてください。
量と与え方
薄めるのはNGです。
「赤ちゃんだから薄めた方がいいかも」と思う方がいますが、薄めると脱水治療としての効果が下がります。水やジュースで薄めずにそのまま与えてください。
**少しずつ、こまめに飲ませるのが鉄則です。**嘔吐しているときに一度にたくさん飲ませると、また吐いてしまいます。
スプーン1杯から始めて、様子を見ながら少しずつ増やしていきましょう。5〜10分ごとにちびちびと飲ませるイメージです
1日の目安量:幼児で300〜600mL、乳児は体重1kgあたり30〜50mLを様子を見ながら調整してください。
こんなときは早めに受診を
経口補水液はあくまで軽度〜中等度の脱水への対応です。以下の症状があれば迷わず受診してください。
嘔吐・下痢が続いて水分がまったくとれない
ぐったりして反応が鈍い
目がくぼんでいる・口が極端に乾いている
生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出している(時間帯を問わず早めに受診を)
脱水症状は本人も気づかないうちに一気に進むことがあります。普段の水分補給と一緒に、経口補水液を一本常備しておくと安心です。
不安なことがあれば、いつでもかかりつけの小児科や調剤薬局に遠慮なく相談してください。
※本記事の情報は執筆時点のものです。お子さんの状態については必ず医師・薬剤師にご相談ください。
KAORU|薬学博士・現役病院薬剤師。国立大学研究所研究員、私立大学薬学部助教、調剤薬局を経て現職。一卵性双生児を含む3児の母
