返ってこなかったのは、お金だけではなかった。
振り返ると、人との縁が変わったきっかけは、どれも数千円ほどのお金でした。
20代前半、会社の同僚と初めて二人で食事へ行ったときのことです。
「タクシー代まで準備してくるのを忘れてしまった。」
そう言われ、私は食事代を立て替えました。
後日返してくれるものだと思っていたので、
何の迷いもありませんでした。
ですが、何週間、何か月と過ぎても何もありませんでした。
職場で会っても、お金の話は一度も出ません。
「ありがとう。」の一言もありませんでした。
勇気を出して、こちらから問いかけたこともあります。それでも何も返ってこなかったのです。
私は、お金ではなく、この人との信頼関係を失いました。
その後、転勤先でようやくできたママ友とも、同じような出来事がありました。
うちに来ていいよ。一緒にお昼ご飯でも食べようと言われ、お弁当を買って行くことになりました。
普段は支援センターで会う程度だったのですが、
初めて自宅に招待してくれたことがとても嬉しかったです。
だから私は、せっかくなら喜んでもらいたいと思い、子どもを連れて人気のテイクアウトを買いに行きました。
いま思えば、子連れではなかなかハードルの高いお店でした。
真夏。そして店内も狭い中、待ち時間に泣き出す子どもを必死にあやしながら、お弁当を抱えて向かった日のことを今でも覚えています。
…でも、お弁当代が返ってくることはありませんでした。
「ありがとう。」も、「次に返すね。」の一言もありませんでした。「現金持ち合わせてなくて。」と。
知らない土地で、これから信頼関係を築いていきたいと思っていた相手だったからこそ、とても悲しかった出来事でした。
そしてもう一人。
退職を決めた先輩とのカフェです。
これまでの感謝を込めて私が会計を済ませました。
するとそのあと、
「少し現金を貸してもらえる?」
「必ず返すから!」と言われ、お金を渡しました。
大きなお金ではなかったのですが、正直、
謎だらけでした。
そして、返ってくることはありませんでした。
長く信頼していた先輩だったからこそ、その出来事をきっかけに、私はそっと距離を置きたいと思いました。
どれも数千円ほどのお金です。
相手にとっては、大した金額ではなかったのかもしれません。
でも、当事者同士が同じ価値観とは限りません。
私は、お金に厳しいわけではありません。
ごちそうすることもありますし、困っている人を助けたいと思うこともあります。
ただ、私にとって大切なのは金額ではなく、誠意です。
だから、返ってこなかったのは、お金だけではありませんでした。
これまで介護施設で14年間ほど働いてきた中で、相続や介護費用をきっかけに、ご家族の関係が変わってしまう場面を何度も見てきました。
それは数千円ではなく、何百万円、何千万円という話です。
一方で、どんなに大きなお金が関わっても、家族で何度も話し合い、お互いを思いやりながら乗り越えていくご家族もいました。
金額の大きさが、人間関係を決めるわけではない。そう感じる場面をたくさん見てきました。
そしてママになってからも、
FPとして活動するようになってからも、
お金と人との関係について考えさせられる出来事に何度も出会っています。
私がたどり着いた答えがあります。
お金は、人を幸せにも、不幸にもする力を持っています。
だからこそ、大切なのは「いくらあるか」ではなく、お金とどう付き合うか。
その付き合い方は、自分自身の人生だけではなく、ときには大切な誰かとの信頼関係にも大きく影響します。
だから私は、
家計や保険、相続の相談をするときも、
数字だけではなく、
その先にある人との関係まで大切にしたいと思っています。
お金は人生を豊かにする道具です。
その力を、人を傷つけるためではなく、人との信頼を育てるために使っていきたい。
これまでの経験を通して、そう思うようになりました。
たった少しのお金の出来事。
でもそれは、私の中である意味忘れられない
大きな出来事として刻まれているようです。
お金の知識を増やすことも大切ですが、それ以上に『自分に合った選択』を見つけるお手伝いができたら嬉しいです🍀
