即興詩『星の作り方』
~即興演奏に合わせ その瞬間に生み出された言葉~
花巻かおり
ゆらりぐらり星が飛び散って花が咲く
冷たいクリスタルを撫で回すと狐の赤子が眠っている
けらけら笑う星々と猿たちの共演は微塵の塵を引き寄せる
目を開く目が飛んでゆく靴が浮かび上がるトコトコトコトコと歩き回って、目も回って、空が回ってしまう。
暗がりから誰かがこちらを見つめている。
そろりとだんだんに近づいてくる、こちらが見つめているつもりが、向こうがのぞき込んできた。ああ、それいいね。
夢を見る物語のはしくれになれる。お前と俺は一つになる。
奇妙だなんて、くだらない言葉だ。ここに住んでしまおう。
たくさんのゆりかごを抱えた星の子らが、遊びにやってきた。
地球、地のたまご、根っこの博学、耳をすましてみたら、
どこまでも、深い地中にのめり込んで、やがて真ん中の赤い奴に暮らしぶりを尋ねることになる。
そうだ、あの熱い奴だ。わかるだろう。みんな知っているふりをしているだけ、本当はもっとたくさんの物語を知っているのに、誰も話そうとしない。
だけど、あの深い熱い奴は、グツグツと唸りながら、いくらでも、しゃべり続ける。止まらない、跳ねるような話しぶり、話すことが呼吸と同じなのだ。それも、分別のあるちゃんとした理解になって、こちらを納得させる。吐き出せ、みんな、もっと吐き出せ、もっともっともっとだ。よどみない流れで、吐き出し続けて、眠ることも忘れてしまう。
目の大きな奴は、どこだ。俺を見ろ。地脈のそこから、やってくる、ドタドタとしたごつい俺の友人、そいつから、青い景色を受け取って、空に投げてくれ。そしたら、青はもっとずっと真実を語ってくれる。次に、緑の王様がやってくる、そいつは、大柄で辛口だ。でも、広い緑の景色を持ってくる。それを地上に投げ捨てて、絵の具みたいに広げて、世界を書き上げるんだ。
狐がちょろちょろとさっきから、その辺りを走り回っているのにきがついたか? 狐は、黄色い小さな玉を持ってくる。それは堅くて、なかなか壊れないが、いったん地上で弾け飛んだら、花が踊り始める。ぐるぐると回転しながら、花たちは、おしゃべりして、あまりにも騒がしいので、何を話しているのかわからない。狐がその花たちをあちこち飛び回りながら、耳を傾けている。そうだ、そうだ、わかる、わかるよ、君たちにも、きっと分かるはずなんだ。だけど、チリチリしすぎて、刺激が強すぎて、聞き分けられない。
雲が、いや蜘蛛が、網を張る。そこに、尋ねていってごらん。何か重要なものが引っかかっているよ。見るんだよ、よく見て見るんだよ、カラカラ、グラグラ、ギシギシ、色んな騒ぎが起きているから。地球の秘密を知りたかったら、その蜘蛛の糸に囚われて、絡まって、ぐるぐるして、見える世界を凝視するんだ。
飛び散った破片、ガラクタみたいに見える本物、そうガラクタは時に本物。からくも、そこに小さなミツバチがやってきて、羽を細やかに動かして、バタバタといやもっとバタバタバタバタ、細かく、ちぎれるように、繊細な羽ばたきを見せながら、蜘蛛の糸に話しかけている。つぶやき、ひっそり地球の秘密を分かち合って居る。
甘い香りがしてきただろう。誰にもわかるくらい、その香りを頼りに、我々は静かに、隠れながら、逃げ出さないように、秘密を分けてもらわなければならない。それがこれから、我々の仕事の大きな仕事の一つになっていく。それをけして侮ってはならない。青や、緑や、黄色の塊が散らばって、我々を活かしている。それは紛れもない事実だ。
狐は蜘蛛の友だち、蜘蛛は我々の先生。先生、先生。先生って、本当はこんなふうに、自然にあらゆるものを絡め取って、語ってくれるものなんだよ。
貴重な玉は、もう使い果たした。だから、これからはそれを、よく加工して、加熱して、練り込んで、地中に埋めなければならない。花たちの騒ぎも続けられない。目に見える世界と見えない世界の狭間で闇もけして無駄なものじゃない。やつらも巻き込んで、このいちだい事業を成し遂げなければならない。やつらはそれを知っている。初めから、暗闇のほうが、光よりずっと深い底のことにはくわしいのだから。
闇と光を混ぜ込んで、そこに少しの蜘蛛の知恵とミツバチのささやきと、青と赤と黄色の魂をグツグツと煮込んで、できあがったら、大きな奴をよんでくる。大きな奴は、遠くから、星の彼方から飛び込んでくる。そいつの口のなかに、仕上がった資源の元を入れてしまうんだ。そうしたら、そいつは、口をぐりぐりと動かして、新しい、見たこともない、色をした大きな塊を吐き出す。空中目がけて、空遠く目がけて、吐き出す。
それが、地上を照らす、もう一つの希望になる。
(了)
2024.9.16
☆本作品は、現代美術家・音楽家 白砂勝敏さんの即興演奏に合わせ、瞬間的に生み出された言葉を紡いだものです。
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