次男の卒業式 《不登校実録》
卒業証書はちゃんともらいたい
次男は事前に
「式場には入りませんが、学校には行きます」
と、担任の K先生に連絡していた。
校長先生からちゃんと卒業証書をもらいたい。
自分の卒業した証が欲しいと言う。
卒業式は午前中だった。
が、不登校の生徒のために別枠が設けられていた。
個別に対応してくださる。おそらく15分刻み。
次男は午後2時45分に
校長室で卒業証書を授与していただくことになった。
◇◇◇
長男のときのことを思い出す。
起立性調節障害の影響から不登校だった長男は
卒業式なんて行かないと言っていた。
だがあの日は私が半ば無理やり連れて行ってしまった。
担任の先生が式場に入ろうと何度も誘ってくださった。
けれども長男は頑としてそれを受け入れず、
学習室(別室)で担任の先生から証書をいただいた。
長男の顔に笑顔はいっさいなかった。
その帰り道、私は長男が不憫で悲しくて悔しくて
声を出して泣いていたなぁ…
まさかその時、次男まで式場に入らないとは
思ってなかったけれど。
でも今回、次男は自分でしっかり決めた。
苦しんで、でもちょっとでも楽しんで
次男なりに思い出も作った自負がある。
だから次男は証書をもらいたいと言い切った。
それでいい。
次男が自分の3年間を肯定できたことが
なによりも嬉しい。
だから今回は泣かないぞ、たぶんね。
校長室にて
担任のK先生と校長先生2人くらいで
静かに授与されるんだろうなと
想定しながら学校に向かう。
家にいた旦那さんも一緒に。
(またこの話は別の機会に)
ひと気がなくなった中学校の門をくぐる。
私も数えるほどしか中に入らなかったな。
次男も「どこに何の教室があるかわからん」らしい。
職員室のドアを次男がノック。
中にいる先生に声を掛けた。
すると胸にコサージュを付けた先生方が
どんどん職員室から出てこられた。
そして職員室前の廊下にふわっと並ばれた。
…ん??
担任のK先生が出てこられた。
「おお来たか。んじゃ校長室で授与するから」
校長室をノックしてくださる。
優しそうな校長先生。
初めてお目に掛かります…
(前年までの先生とは何度かお話ししましたが
中3になってめっきり行かなくなったもんで💦)
校長先生が
「中にどうぞ」
と迎えてくださり、次男が入る。
「お母さん、お父さんもこちらにどうぞ」
「ありがとうございます」
と続いて中に入った。
…と、廊下にいらっしゃった先生方も
ゾロゾロと入って来られた。
え、先生みなさんが送り出してくださる!?
もうその時点で私は涙腺が緩んでしまった。
「卒業証書、授与」
校長先生が証書を読み上げ、次男が受け取る。
先生方が拍手してくださる。
中1の時の担任の先生もいらっしゃる。
ずっと副担任で気に掛けてくださった先生、
相談室でお話ししてくださった先生、
学年の先生方がたった一人の不登校児のために
席を立ち、卒業式を見届けてくださったのだ。
答辞や校歌斉唱もない(そもそも歌えない)けれど
こんな贅沢な卒業式、あるんだろうか。
恩師K先生と笑顔の次男
K先生が
「あそこに看板持ってきてるから、写真撮り!」
と促してくださる。
午後の別枠の生徒たちが記念写真を撮れるよう
『卒業式』と書かれた看板を
わざわざ校長室の裏に移動させてくださっていた。
そのご配慮がありがたくポロポロ泣けてきた。
(結局というか、やっぱりというか、私は泣き虫だ)
次男は卒業式前夜
「K先生は一生の恩師」
と言っていた。
そのことを K先生にもお伝えした。
一瞬先生の眼が潤んだように見えた。
本当にこの先生でなければ、
この中学校でなければ
次男の心は潰れてしまっていただろう。
たくさんの先生、校長先生、
そして K先生の前で証書を抱き締め
看板の横に立った次男は笑顔で写真に納まった。
節目節目の行事に参加してくれて、
なにより常に明るく頑張ってくれてたから
先生もほんとに嬉しかったよ。
高校は自分で行きたいと決めたし、
自分のペースで通えるところを選んだと思う。
今からやから!しっかり楽しんでな!
K先生の言葉を聞いて
何度も何度もお礼を言う次男。
校長室という別室での卒業式。
一般的に見たら悲しい印象になるかもしれない。
でも目の前にいる次男は極上の笑顔。
そんな子、レアキャラかもしれないな。
次男が次男で良かった。
笑顔が見られて本当に良かった。

これからもきっと
卒業式に参加できた方、参加できなかった方、
或いは自らの意思で参加しなかった方、
我が家のように別室や校長室で証書を授与された方、
また親御さんだけが証書を取りにいった方も
いらっしゃることでしょう。
長男の時は辛くて大泣きしてしまった私でしたが
今回次男の時は感謝の気持ちでいっぱいでした。
この違いはおそらく、
子ども自身の気持ちの持ち様や
親の気持ち、フェーズの差だと思います。
長男は「卒業式なんて行けるわけがない」と言い
別室でもずっと真顔でした。
次男は「卒業式の日に学校には行きたい」と言い
ずっと笑顔でした。
どっちが正解とかどっちが良かったとか
そんなことを言いたいのではありません。
子どもが無事入学した当初は
卒業式の我が子の姿を見て感動するシーンを
イメージしている方が多いと思います。
もちろん私もそうでした。
でもね、私の息子たちはふたりとも
それができなかった。
親として当たり前だと思って疑わなかった道。
でも現実は全然違っていました。
「卒業式」というイベントがあり
子どもの成長を見守る親にとっては
一大事であることに変わりない。
ただ、子どもの長い人生からすると
もしかしたら必死に毎日過ごしているうちの
とある1日なんですよね、きっと。
予想もしていなかった事態になったとしても
子どもの状態がまず先頭にあって
子どもの本当の気持ちに従うことができれば、
後にきっと活きてくると私は信じます。
◇◇◇
いまだ不登校に対する風当たりは強く
私のようにちょっと“抜けた”であろう人間でも
たまにはチクりとすることもあります。
今、まさに辛いみなさん、苦しいですよね。
辛い時、もう我慢できないという時は
親でも吐き出していいんです。
泣いてもいいし、なんにもしない日があってもいい。
でもね、
やっぱり子どもに寄り添ってあげて欲しいのです。
◇◇◇
ウチの次男は
教室に99.9%入ることはなかったし、
卒業式式場にも入りませんでしたが、
おかげ様でニコニコしながら
中学校を後にすることができました。
高校生活も笑顔でいて欲しいし
今度こそ笑顔で卒業式を迎えて欲しい。
それは親として強く願います。
でもそれは子どもに強要すべきことではない。
きっとこれからも私は
次男、長男とよくよく話しながら
そして一緒に悩みながら
進んでいくのだと思います。
もちろん、親離れ子離れもしないとね😊
でも離れたからって、話せたらいいじゃん🎵
そんなことを今は思っています。
<長男と次男~次男卒業式 完>

『おとな こども ふたたび』
これは我が家の長男、次男の不登校の実録です。
気付けばこれを入れて74本になっていました。
我ながらよく書いたもんだ…
書いていて追体験のようになり
苦しくなることも多々ありました。
それでも書き続けられたのは
読んでコメントくださった皆様のおかげ。
本当にありがとうございました。
義務教育を終え、次男は通信制高校に通います。
通信制ですので「不登校」という定義からは外れる…
と思うのです。
こちらのシリーズは、今回で最終回。
もともと、ここを目指して書いて参りました。
とはいえ
これからも長男、次男とも
まだまだ悩み、一緒に考えながら
成長して参りたいと思います。
もしかしたらたまには番外編が出たり
別シリーズに書き留めたりもするかもしれません。
私達の軌跡が
どなたかのヒントになったり
少し背中を支えたり(押すことは狙っていない)
あたたかく包み込むことができるなら
幸いです🍀
どうか、必要な方に届きますように✨
追記)
なーんて言ってたら、番外編(笑)
次男の入学式編も書いています。
これで本当にこのシリーズは最後!75本!!
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