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通りすがりのオジサンに、私ができることはなにもなかった

右手を軽く開いて、腰とおしりの間くらいに添えて、歩いている人がいた。

両手を組んでいるのだったら、おじいさんがお散歩しているようなスタイルだけど、片手だけ。

なんとなく車で横を通過したが、妙に気になった。

あれは、私に対するなにがしかのサインだったんじゃなかろーか
(すぐに妄想スイッチ、ON)

送りバント?盗塁?

いや、後ろ手ってことは、だ。
バレーボールでアタッカーがセッターに出す、アレかもしれん。

確かに私は背が高い方だ。
でも、だからといって、決してスポーティーではないのだ。

申し訳ないが
サインを出されても要望には応えられないぜ。

というか、そもそも運転中だから、できないんだ。

いや、待て待て。
そんなことは相手もわかっているはず。

となると、運転中の私に向かっての、あえて、だ。

呼びかけてもきっと聞こえないことを考えた彼は、だからこその「サイン」を送っていたのかもしれない。

アメリカでたまに聞く、ペーパーナフキンに「SOS」を書いて、そっと店員さんに救ってもらう、アレか??

彼は私に助けを求めていたのか?


アメリカでたまに聞くそれは、連れの人がヤバいヤツで、その人に見つからないように仕向ける高度な技。

いや待てよ。
でも連れの人はおらず、ひとりで歩いていた。

ほな違うか。



…ここまで妄想して、私ははたと気付いた。

そうだ、あの形は、幼い頃から何度も見たことがある、アレだ!

リレーのバトンパス


彼は、後方に迫りくる走者からのバトンパスを待っていたのかもしれない。

いや…もしかしたら彼は、私からのバトンを待っていたのかもしれない。

なんということだ

なぜ私はバトンを持っていなかったのか

彼の「バトン待ち」の手に、毅然とバトンを渡すことができれば、彼はあのまま颯爽と駆け抜けていったかもしれない。

もし彼がタイムを大幅に落としていたとしたら、それは私のせいだ。

申し訳ないことをした…

ごめんよ、私ではあなたに最高の走りを与えることはできない。

心の中で彼に謝罪しながら、私は車で横を通り抜けていった。

彼も無事、目的地に到着できますよう祈りながら。


なんのはなしかわからないのを書くだけで
なんだか元気が出るという、不思議✨


#なんのはなしですか
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