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人生を変えなくても、景色の色は変わる

今の暮らしに、大きな不満があるわけではない。
家族がいて、仕事や日々の役割があり、自分なりに一生懸命歩いてきた。

それなのに、ときどき、
「何かが足りない」
と感じることはないでしょうか。

何が足りないのかは、よくわからない。
今あるものを捨てたいわけでも、まったく違う人生を始めたいわけでもない。
ただ、この先も同じように歩いていくことを思うと、心の奥に小さな問いが浮かんでくる。

私自身にも、そんな時期がありました。

先週は、娘と息子と一緒につくったホームページについて書きました。

今週は、そのホームページに使われている一枚のイラストから、私が感じていた「何かが足りない」の先にあったものを、書いてみたいと思います。

同じ景色でも、見える色が変わることがある。

青い世界の中に、光の差す扉があります。
扉の向こうには、山や花が見えています。
二人の人物が並び、一人がもう一人に手を差し出し、もう一人がその扉の向こうへ一歩を踏み出しています。

このイラストのもとになったのは、以前、コーチングを受けた方から聞いた言葉でした。

その方は、コーチングを受けたあとの変化を、

「同じ景色なのに、色が鮮やかに見えるようになった」

と表現してくださったのです。

住んでいる場所が変わったわけではありません。
仕事も、家族も、日々の暮らしも、昨日までと大きく変わったわけではない。
それなのに、景色の見え方が違う。

その言葉は、私の中に強く残りました。
私自身にも、よく似た経験があったからです。

新しい人生に取り替えなくてもいい

私がまだコーチングという言葉さえ知らなかった頃、
私は、自分が望んでいた暮らしを生きていたと思います。

家族がいて、子どもたちがいて、毎日を一生懸命に過ごしている。
忙しさの中にも、生きている実感がありました。

それなのに、心のどこかで、何かが足りないような気がしていました。

何が足りないのかもわからないまま、私は40代女性向けの雑誌やエッセイを読み、これからの生き方のヒントを探していました。

その頃は、まだコーチングという言葉さえ知りません。

ただ、このままで終わりたくないという思いに押されるように学び始め、やがて社労士の資格を取りました。

そして、その後に初めてコーチングと出会ったのです。

コーチングを受けたからといって、現実が一夜にして変わったわけではありません。
けれど、自分が何を感じ、何を大切にしたいのかを、自分自身に問いかけるようになりました。

すると、同じ日常の中に、今まで見えていなかったものが見え始めました。

何もないと思っていた自分にも、すでに持っているものがある。
遅すぎると思っていたけれど、まだ選べることがある。
大きく変えなくても、小さく始められることがある。

人生そのものを取り替えなくても、人生を見るまなざしは変えられる。

それによって、世界の色まで変わって見えることがあります。

今までの道が間違っていたわけではない

このイラストは、一見すると、暗い世界から明るい世界へ移っていく絵に見えるかもしれません。

けれど私は、青い世界を「間違った人生」や「抜け出すべき場所」だとは思っていません。

そこには、家族のため、仕事のため、その時々に大切なことに応えてきた時間があります。
人生の途中で扉が見えてくるのは、今までの道が間違っていたからではありません。

ここまで歩いてきたからこそ、
「これからは、何を大切にして生きていこう」
と考えられる場所に立ったのかもしれません。

扉を開けることも、必ずしも人生を大きく変えることではありません。

ずっと気になっていたことを、誰かに話してみる。
自分が本当は何を感じているのか、立ち止まって考えてみる。
これからやってみたいことを、小さく口にしてみる。

そんなことから、見える景色が少しずつ変わり始めることもあります。

扉の先には、それぞれの景色がある

イラストの扉の向こうには、花が咲き、緑の山が広がっています。
けれど、これは誰もが目指すべき景色ではありません。

静かな庭に豊かさを感じる人もいれば、雄大な自然の中を歩きたい人もいる。
人やものが行き交う都会で、新しいことに挑戦したい人もいるでしょう。
誰かと何かをつくることかもしれないし、大切な人と穏やかに暮らすことかもしれません。

扉の先には、その人にしか見えない景色があります。

コーチングは、コーチがよいと思う景色へ、誰かを連れていくものではありません。

その人は、本当はどんな景色を見たいのか。
何を大切にして、これからの日々を生きていきたいのか。
まだ言葉になっていない思いを、一緒に見つめていく。

そして、その人が自分で選び、自分の足で歩き始める力を信じる。

私にとってコーチングとは、そんな時間です。

私に見えてきたのは、庭でした

ホームページのプロフィールには、もう一枚、庭を描いたイラストがあります。

安心して、自分でいられる自分に戻る場所。


これは、私自身が長い時間をかけて見つけてきた、豊かな人生の景色でもあります。

緑があり、花が咲き、鳥が飛んでいる。
テーブルには温かい飲み物があり、向かいには誰かを迎える椅子がある。
一人で静かに過ごすこともできる。
誰かと向き合い、言葉を交わすこともできる。

安心して立ち止まり、役割や期待から少し離れて、自分でいられる自分に戻ることができる。
そして、そこから新しい一歩を踏み出すこともできる。

私には、この庭が見えてきました。

けれど、これは誰にとっても同じ「豊かな人生」の形ではありません。

あなたに見えるものは、きっとあなた自身の景色です。

今の暮らしに、大きな問題があるわけではない。
これまでの人生を、後悔しているわけでもない。

それでも、ふと、
「この先も、このまま歩いていくのだろうか」
と感じることがあるのなら。

それは、人生をすべて変えなければならないという合図ではなく、

これからの自分を豊かにしていくものに、目を向け始めた合図

なのかもしれません。

あなたには今、どんな景色が見えていますか。
そして、その景色が少し鮮やかに見えるとしたら、
そこにはどんな色が加わっているでしょう。


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