たいへんよくできました【毎週ショートショートnote】
純がぼくに訊いた。
「あれが先生の弟?」
柚が驚いた顔をする。
「どうしてお坊さんなの?」
弟は祭壇の前で木魚を叩き読経している。
この寺の僧侶だ。
「ここは親戚のお寺で跡取りがいなくて、弟が継ぐことになったんだ」
修学旅行のバスが事故にあい、犠牲者の合同葬が行われている。
多くの参列者は涙を流していた。
この寺で一番若い僧侶の弟が読経することになり、ぼくは心配でハラハラしながら見守っていた。
読経の声が小さいと叱られ、ぼくと一緒に腹式呼吸の練習をした。
木魚のリズムが悪いと言われ、ぼくは音楽室からメトロノームを借りてリズムをとった。
練習の甲斐があり、今日の読経は朗々と響き、木魚のリズムは心地よく、素晴らしかった。
「『たいへんよくできました』のハンコをあげたいな」
これでいい。
これから、多くの人の心を救ってくれ。
祭壇に飾られているのは、ぼくと純と柚の写真だ。
ぼくを送るため、住職ではなく弟が読経を任されたのだった。
(400字(ルビ除く))
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#毎週ショートショートnote に参加しました。
お題「木魚感想文」
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【今日の画像】いらすとやさんのイラストを使用し、Canvaで作成しました。
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