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【ショートショート】 ときめきの靴を履いた未来


政治家が信頼されなかったのは昔の話。
国を任せてもいいと思う首相が現れた二百年前、人々はリーダーシップの意味を知った。
だが時の流れとともに、次第に人々は首相の言うことを鵜呑みにし、考えることを放棄するようになった。

「みんなでこの靴を履いてときめきましょう!」

先週就任したばかりの首相が言った。
カメラがズームした足元にはトウシューズ。
ときめきトウシューズと名づけられ、たちまち大人気。人々はこぞってバレエ用品店へ走った。靴に合わせるため老若男女がチュチュを着るようになった。

生活が変わった。
サテン生地の靴は天候を選ぶ。
人々は晴れの日にしか外出しなくなった。
チュチュのスカート部分が邪魔で車にも電車にも乗れない。
次第に人は外出しなくなった。
買いものをオンラインでしても届けてくれる人がいない。
人びとは困ったが、脱ぐことは考えられなかった。他の人と違う服装で出かけることなど、想像するだけで恐ろしい。


首相は誰一人いない官邸の窓から外を見ていた。
誰かが来るのを待っている。
トゥーシューズが履けるような人材を。

食料不足、環境汚染問題で地球は限界。
解決は物騒な方法の一択しかない。
だが新しい世界を築くには仲間が必要だ。
TWO SHOES トゥーシューズ、つまり二足の草鞋わらじが履けるような器用な人材が要る。

官邸に向かって歩く人影がいくつか見えた。
誰もトウシューズは履いていない。
首相は、ようやく笑みを浮かべた。

<了>

文字数605字



最後まで読んで下さってありがとうございました!

今回も田原にかさんの企画に参加させていただきました。

お題は、【ときめきトゥーシューズ】でした。

田原にかさん、いつも楽しいお題と企画をありがとうございます!


#毎週ショートショートnote
#ときめきトゥーシューズ

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