編集者と作者の関係
筆者はJCなんですが、なぜか商業出版経験者であったりします。また、様々な文筆業の方、出版関係の方ともイロイロ怪しいこともやってました。
てへぺろ。
時折見かけるのが「出版社は悪だ!」「担当編集者の胸先三寸」といった偏見というか誤解が多いことです。
ニュースになるのは事件になるような悪いことばかりなので、普通の状態が見えない状態になっています。つまり、実際に出版社や編集者とお仕事などをしないと分からないのです。
昨今ではこのnoteなども始め個人でも文筆で収入を得られやすくなり、電子出版であればKindleなどを介して個人出版することもできます。
残念ながら紙媒体での出版物は減少傾向ではありますが、同人誌などの個人出版での印刷需要があったりします。
最終的には、一番保存が効く紙媒体というのが高価値化しているとも言えます。
そうなってくると、果たして出版社や編集者というのは、先細りする仕事なのか?
そういう疑問を抱いている人も居ると思いますが、筆者はこれから先において、出版社や編集者はより重要性を増していくと考えています。
少なくとも現時点では人工知能などで代替できると見ている人も居ますが、市場規模が縮小傾向にあっても、人材とスキルは価値が高まります。
以下は、編集者、そして出版社がなぜ必要なのかを、個人の経験を元に記していきます。
出版社の役割
出版社、特に大手出版社は今が勝負時期ではあります。少なくとも執筆時点ではKindleなどの外資系に押されつつも、国内の需要にいち早く対応できる足まわりの良さがあります。
また、ネットの進化に合わせて、マルチメディア展開や協業、事業協力などがニュースにもなっているほどです。改革期とも言えますね。
出版社の役割は、作者の視点から見ると以下のようになります。
ブランド力
確実性の高い流通掌握
著作権管理業務
編纂、編集業務
自社の広告メディア、広告アウトソーシング
作品管理、他メディア展開
グッズ、イベントなどの複次展開
他にも細かいことが色々ありますが、作者視点から絞ってもこれだけあります。
一見、同人活動やフリーランスなどの方も増えている中、これら全てをネットを使って個人でできる、と思っている方も多いです。
確かにひとつひとつ見れば、そういう側面にも見えます。
それはシンプルに、ボリュームゾーンが3~4桁も違うのです。
個人では数千人のリーチ(消費者への訴求力)がおおよその限度ですが、出版社では数十万~数千万人が対象になります。
市場の規模がまったく異なります。
ですので、より多くの人に自作品を届けたいのであれば、やはり実績のある出版社の存在は大きいのです。
すでにX(Twitter)等で数万人のフォロアーが居るから個人でも出来る、と考えている方は是非ともそれを商売にしてみてください。あっという間に、大手に押し流されてしまいます。
また、長期間にわたって自作品を管理してくれるという代理業務も大きいです。
作品管理や著作権管理も出版社の役割なので、原稿を納入した後は、ほとんど作者が労働をすることがなくなります。ほぼ半自動的に収入が得られるシステムです。
これは案外馬鹿にできなくて、これら管理や調査(海賊版対処など)を個人でやるとかなりの労力が必要です。
その労力が必要ない上に、次作品の生産に集中できる恩恵は大きいのです。
(対価として、販売金額の一部が出版社の利益になります)
すでに実績と歴史が積み重なっているシステムですので、出版社の存在自体が需要としてゼロになることはありません。
ただ、大きな組織になると体制腐敗や社内犯罪、社員教育不足などによる取引訴訟問題なども明るみにでるようになっています。
特に今、大手メディアは古い体質から今の時代に合わせるために色々と手を打っている最中です。
筆者いち個人としても、刷新できるといいなと思っています。
編集者の役割
作家・作者が一番顔をあわせるのが編集者です。編集者は出版社社員であり、会社と作者をつなぐエージェントでもあります。
それだけに、少なくとも数年以上は付き合う相手になりますし、場合によっては友好関係も結ぶ人です。
編集者も一人の人間なので、CtoC(会社対会社取引)でもありつつ、同じ部署の同僚、パートナーとなる人です。ある程度の社会・会社のルールの元で一緒に働きますが、その方個人の性格や考え方で、距離感も変わってきます。
これはほんとに様々で、優秀で一緒に仕事をやっていて楽しい方もいらっしゃれば、距離を取って淡々とした関係にしなければいけない方も居ます。
同じ出版社でも、部署や人が変われば、対応がまったく異なる事もあります。
それだけに、作者にとって編集者という存在は、自分の人生を左右するものです。
作者から見た編集者の役割は以下のとおりです。
書籍企画立案・運営者
取引窓口
作品(作家)エージェンシー
プロダクト管理、デザインなどの外注など
品質向上の相談役
一般的に、編集者というと作品の校正などを行うイメージが強いでしょうが、これはその方次第となります。大きな出版社では、校正専門の部署があったり、アウトソーシングしたりします。
編集者は全体のバランスや方向性を決めるプロデューサー兼ディレクターであり、校正や改稿要望などは、どちらかというと副次的業務です。
書籍=商品企画、で考えると分かりやすいでしょう。
「書籍化しませんか?」という打診は、社内で企画が通ることがほぼ確定した時に言われることです。
企画立案者が編集者で、運営責任は編集部にあります。
(厳密には編集課やレーベル毎、部署が最終責任を共有します)
もちろん、編集者は自分の企画が上手くいき、会社の実績と自分の賞与を上げるために、作家といっしょになって商品価値を高める活動をします。
そういう意味では、「面白いから書籍化する」ということではなく、「市場価値があるから書籍化する」のです。
このあたり、作者側がきちんと編集者の立場を理解していないと、齟齬が生まれやすくなり、トラブルの元になります。
編集者は、より商品価値を高めるために、また需要を満たすために、広く一般の消費者にも理解できるよう努力します。
だんだんおもしろくなる作品だとしても、最初のとっかかりで読まれなければ、商品価値が薄くなってしまいます。
そういう意味でも、造語や難解な言葉を多用する作者に、もっと一般的に分かりやすい言葉に変えてください、と要望する事があります。
このいち場面が広く知れ渡っている、編集者の姿ですね。
編集者は、作家よりも「一般の読者(またはターゲット層の読者)」について会社と共にリサーチしています。
ですので言葉選びのような場面では、どちらかというと編集者の意見の方が、より読者に近いものです。
作家が独りよがりにならないよう、編集者は普段から会話やチャット、場合によっては面談を繰り返して、作家と共有認識を持ちつつ、一般的な商品へと変えていかなければなりません。
わざわざ足を運んで喫茶店やレストランで打ち合わせする編集者は貴重です。それだけ熱意がある現れでもあります。
作家が独りよがりで「これがいいんだ!」と言い張ったり、一方、編集者が作家とろくなコミュニケーションを取らないまま、原稿を推敲せずに出版する事例もあったりします。
これは最終的には、企画自体が上手くいかなかったという事で、編集部などが責任を取ることになります。
(編集者個人に責任を追わせる会社は、紛れもなくブラック企業です)
こうした共同作業を長期間にわたって続けられるかどうか、またそれにより築かれる関係性は、編集者という人柄によって大きく左右されます。
相手を見極め、自分を見直す
ドライな面で言えば、出版社、編集者、作家はそれぞれ対等なビジネスパートナーです。契約を下に、それぞれの権利を行使し、義務を果たします。
これは副業だろうと趣味の延長だろうと変わりません。
時折、初めての商業出版で、企画が失敗してしまった声もちらほら聞こえます。
書籍化したはいいが、1巻で打ち切りになった。契約内容の理解に齟齬があった。担当編集者が悪い……様々な問題があります。
ですが、編集者が悪い=出版社の体質、と決めつけるのは早計です。たった一度の経験で、そうであるように吹聴している場面も散見されます。
通常のビジネスですので、担当編集者に問題があると感じたなら、まずは担当者の変更ができないか打診するべきです。
いわゆる『編集者ガチャ』と呼ばれる、担当編集者の選定が運任せになる現象に対する批判的表現が散見されますが、それは単に世間知らずの方の言葉です。むしろ作者側の責任で、きちんと協議してないだけの結果でしょう。
ですので、作者の立場としては、しっかりと取引先となる出版社の事を調べ、声を掛けてきた編集者と対等な立場で協議できるかどうか、事前の打ち合わせなどが非常に重要となります。
筆者としては、リモートだけで済ますと大抵おざなりな対応になりますので、必ず面談を希望します。
出版業界に限らず、メディアや商社でも「言った」「言わない」の問題、古い慣習の認識の違いなどで、トラブルになる事は多いのです。
そういった意味でも、書籍出版のメールが舞い込んできたら、嬉しさを抑える必要はありませんが、身構える必要があります。
なにせこれから、自分の人生に影響する契約が始まるのですから。
最後に
あくまでも筆者個人の観測範囲ですが、出版側と作家側のトラブルの多くは、「どっちもどっち」だったり「どっちも悪手を打ってる」ケースです。
特にライトノベルでは社会経験や個人ビジネスのノウハウが無いままに契約締結してしまい、トラブルになりやすい現場です。
また、こんなご時世でも、まだ「私は◯◯出版なんですけど?」と、会社の看板に泥を塗るような社員が居るケースもあります。
結局ビジネスであり、ビジネスは人と人が行うものです。
可能な限り担当編集者とコミュニケーションを重ね、仮にその方が退社しても長く続くような、そんな人脈を作れるようにしておきたいものです。
書籍というのは商品企画であり、作者個人が生み出すものであっても、作者と編集者による商品開発である事を忘れないようにしておきたいものです。
そして、一番気をつけたいのは、コンテンツビジネスはギャンブル性が高い市場です。
何がヒットして、何が爆死するか分からないというものであるということを、大前提として覚えておくことを強くおすすめします。
皆様のご意見やご感想を心待ちにしています。
それでは皆様、よき創作ライフを。
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どこにでも居るバーチャルJC MMDユーザーの一人。
MMDアニメーター、動画制作・編集、VTuber関連制作などを行っているただのJC。