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笑掌 -視線を優しくする「手」の使い方|品を育てる会話いろは①


こんにちは、昔に頑張りすぎていて圧が強いと言われたことがある僕が、会話の中で、
「目線を合わせるのが苦手」
「圧が強いと言われる」
そんな悩みをやわらげる方法をご紹介します。

まず最初にお伝えしたいことがあります。

会話が苦手なのは、
あなたの性格のせいではありません。

“視線の置き場”がないだけかもしれません。


やり方は、とてもシンプルです。

手の中に“話題の居場所”をつくること。


これは、長くお客様と接していく中で、自然と身についてきたことの一つです。
お客様が安心して通ってくださる理由の中に、こういう小さな工夫もあるのではないかと感じています。

会話をしていると、

「目線をどこに向けていいかわからない」

そんな声をよく聞きます。

「目を見て話すのが大事」
そう言われることも多いですよね。

でも、実は必ずしもそれが正解とは限りません。

目を見られすぎると怖い。
じっと見られると緊張する。

そう感じる人も、確実にいます。

僕自身も、もともとは人見知りで、会話が得意なタイプではありませんでした。

以前は、口元を見ながら話せばいいと思っていたのですが、きっとかなりの勢いで見ていたと思います。

今思うと、「圧」をかけていたかもしれません。

そこで今は、目線は少し自由にしています。

顔の中を、すーっと泳ぐように。

スイスイと、優雅に。

ただし、ここで一つ意識していることがあります。

視線を休ませる場所をつくるということ。

______

視線を休ませる場所をお互い共有する。

そのために使うのが、手です。

右手でも左手でも構いません。
軽く手のひらを開き、顔の横あたりに添えるようにします。

そして会話が始まったら、
その手のあたりに“話題”を置くイメージを持ちます。

人のこと。
物のこと。
出来事のこと。

つまり、会話の主語になるものです。

「これなんですけど」
「こんな感じで」

円を描くようにしたり、
形を作るようにしたり。

話題そのものを、手の中に浮かべるような感覚です。

すると、自然と視線はそこに向かいます。

それは自分だけでなく、
相手にとっても「見ていい場所」になります。

つまり、こういう空気です。

「ずっと目を見なくても大丈夫ですよ」

「ここを一緒に見ながら話しましょう」

そんなメッセージが、言葉にしなくても伝わります。

すると不思議と、
お互いの緊張が少し下がります。

張りつめていた空気が、ふっとやわらぐ。

やり方はいろいろです。

両手を使ってもいい。
指だけでもいい。

ただ一つ気をつけていることがあります。

手を前に出しすぎないこと。

相手を指すような動きは、できるだけ控えます。

目的は、熱を上げることではなく
空気を落ち着かせることだからです。

まずはその状態をつくる。

そこから、目を合わせられそうなら
合わせればいい。

無理に最初から頑張らなくていいのです。

手のひらを見せることは、心理的にも安心感を与えると言われています。

丸腰のような、やわらかい空気。

手は、思っている以上に優しく語るものです。

______

◆会話は技術というより、気遣いの積み重ね

目を合わせることよりも、

どうしたら
お互いが楽でいられるか。

その視点を持つだけで、
会話の景色は少し変わる気がします。

美容室では、この“間”がとてもはっきり現れます。

鏡越しに向き合い、距離は近い。
でもその近さが、ときに言葉を出しにくくさせることもあります。

初めて来てくださる方や、
髪の悩みをどう伝えたらいいか迷っている方ほど、目線は自然と定まらなくなります。

そんなとき、
無理に目を合わせ続けると、
かえって空気が固くなることもあります。

だから僕は、髪の長さや形の話をするとき、
よく手を使います。

「このへんを少し」
「全体は、こんな感じで」

視線はそこに集まり、
会話の焦点が人ではなく話題に移る。

すると不思議と、「実は前から気になっていて…」
そんな言葉が自然に出てくることがあります。

安心して視線を預けられる場所があるだけで、
人は少し、本音を話しやすくなる。

美容室の現場で、何度も感じてきたことです。

会話がうまくいかないと感じるとき、
足りないのは言葉や視線ではなく、

少しの余白なのかもしれません。

目を見ることを頑張らなくてもいい。
上手に話そうとしなくてもいい。

ただ、視線を休ませる場所を用意するだけで、
会話は思っているより優しく続いていきます。

手の中に、話題の居場所をつくる。

それは相手のためでもあり、
同時に、自分を楽にするための工夫でもあります。

僕は、会話がうまくいく理由は
面白い話ができたからではないと思っています。

「この人の前なら、緊張しなくていい」

そう思えたから。

もしそうだとしたら、
目線よりも大事なものは、きっと間です。

僕はこれからも、目線よりも空気を、
正しさよりも安心を大切にしながら
人と向き合っていきたいと思っています。


ちなみに、
「 笑掌  (えたなごころ) 」

という言葉は僕が勝手に作った、サロンの中の小さな格言です。

手が笑って見えるくらい、
言葉と一緒にやさしく伝える。

視線の休憩場所として手を使うと、
その横にいる自分も自然と笑顔になりやすい。

今日も、
掌は笑っています。

優しい掌を見せながら。

結局、僕がつくりたいのは、髪型だけではなく、居場所なのかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今日も、いい一日を。










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