書籍『つみたて投資の終わり方』を書いたのは、暴落時に夜ぐっすり眠りたかったから
私の場合、
キャリアの節目節目で
お客様のひと言がきっかけになって「変化」が起こっています。
いちばん最近の変化は
コロナ禍で聞いた、
ある相談者さまのひと言です。
“リタイアして
投資信託を取り崩しながら生活する場合、
たとえば10万円分解約して、
そのうち3万円をまた運用に回したほうがいいのでしょうか?
それとも積立はせずに、
ひたすら取り崩しても大丈夫なのですか?”
わたしはこの言葉に(少なからず)衝撃を受けました。
私たち投資家は、
お金を増やすという標(しるべ)に囚われる者なのだ、と再認識したのです。
もっとはっきり言えば、
お金を増やす人は、
(なかなか)お金を崩せない。という事実です。
私は職業人として、
リタイア後の『資産取り崩し』については
すでに「答え」を持っているつもりでいました。
それは、
長年積み上げた投資信託は
「投資信託・定期売却サービス」を活用して少しずつ取り崩していく。
というもの。
難しく考えず、
コツコツ積立投資によって増やした投資信託を、
同じようにコツコツ定期売却して
お金を使っていきましょう。という説です。
たしかに、
「投資信託・定期売却サービス」は資産取り崩し期の便利なシステムでしょう。
それでも、
仕事も辞めリタイアして、
己の資産を削って
(そのお金を)使っていくのは一筋縄ではいきません。
長年続けてきた、
貯める・増やすという強固な習慣が行く手を阻むためです。
(投資商品の売却は)
頭では分かっていても、身体が付いて来ないのです。
別の時期に
別のお客様から指摘されたことばも、
わたしの胸に刺さりました。
カンさん。暴落時にファンドを売ってもホントに大丈夫なのですか?
「投資信託・定期売却サービス」では、
暴落が起こっても
ファンドは自動的に(先月と同様)解約されることになります。
もしもその暴落が1年ではなく、
2年、3年と続いたとしたら・・。
そもそも、
資産の取り崩し期においては
暴落はいずれ起こるものと想定しておくべきでしょう。
リスク資産(投資信託)のみの取り崩しを行うと、わりとはらはらドキドキしそうである・・と気付いた私は自問自答しました。
"果たして、わたし自身は平静を保って定期売却できるのか?"
それが拙著『つみたて投資の終わり方』を執筆するきっかけになりました。
暴落が起こってしまった場合
(かつ、その状態がある程度続いてしまった場合)、
投資信託の「定期売却」のみでは
大きく価格が下落した投資信託を
連続的に売却することになり、
資産の毀損率を高めることになってしまいます。
ここから違う方向に話が展開しますが、
恐れず付いてきてください。
お風呂です。
こんな「蛇口」があります。

『適温』は、
熱湯の蛇口と
冷水の蛇口を調整して、作ります。
あなたの資産管理も同じかもしれません。
私は「リスク資産」(熱湯)と
「安全資産」(冷水)の「比率」に留意して、
ふたつを併せた「トータル資産」から、
資産の取り崩しを行ったほうが気持ちがラクになるかもしれないと思いました。

『つみたて投資の終わり方』の中では、
ファンド価格が大きく下がった年は、
ファンドを解約しません。
安全資産(預金等)からのみ『取り崩し』を行います。
いっぽう、
ファンド価格が大きく上がった年は、
安全資産には手を付けず、ファンドを多めに解約します。
書籍のキャッチコピーでは次のように謳いました。

ここで云う、安全資産とリスク資産の「比率」を維持するとは?
リスク資産の価格が下がった年は
投資信託の解約はしないということ。
安全資産からのみ資金を取り崩して、
その年の「生活費」(%)を得ながら、
残りの資金を、
価格が下がったファンドの『買い増し』に用います。
いっぽうリスク資産の価格が上がった年は
安全資産の取り崩しは「ゼロ」です。
投資信託を多めに解約して、
その年の「生活費」(%)を得ながら、
残りの資金を、
割合が下がった安全資産の『買い増し』に充てます。
それもこれも、
リスク資産(熱湯)と
安全資産(冷水)の『バランス』(比率)を保つためです。
すなわち、リタイア後の資産管理とは
年に一度、「安全資産」と「リスク資産」の量を調整しながら、「定率」で取り崩しを実施することと定義しました。
投資信託が大きく下がった年は?
→ ファンドを売らない。
(逆に)ファンドを買い増し。
投資信託が上がった年は?
→ ファンドを多めに解約。
これなら、私自身が
老後の資産管理の中で夜ぐっすり眠れそうと思えたのです。
退職後に資産を効果的に取り崩していきたいという人には、参考になる書かもしれません。
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