「論証カード」の作り方ー我妻榮「判例カード」から着想を得てー
1.論証カードの作成は「手段」に過ぎない
司法試験や予備試験の試験勉強において、判例や学説を基にした論証カード(論点カードとも)を用いた方法はよく知られている。ここでは、筆者が令和4年司法試験を受験した際の論証カードの作り方を簡単に整理したい。
司法試験のCBT化により、タイピング練習こそ重要であり、筆記行為そのものが少なくなっているのかもしれない。手で書いて覚えることの適性は個人ごとに異なるものであり、本稿で紹介する方法が、万人に推奨できるものではない。また、Word等で書き溜めていくということも考えられるし、他のアプリケーションでより効率的に覚えることもできるのかもしれない。
ここで重要なことは、論証カードの作成は「目的」ではなく「手段」であるということである。必要な論証を受験当日までに覚え、目の前の試験問題でうまく使えることこそ「目的」であり、その目的達成に向けて、それぞれ上述のような方法がいくつかあるのであり、その一方法として本稿では手書きの論証カードの作り方を紹介したい。
2.我妻榮先生の「判例カード」
論証カードを作成するに当たり、カードの記載や配置をどうするか。
筆者は、我妻榮先生の「判例カード」や昔のジュリスト(1033号・1993年11月まで)に掲載されていた「判例カード」を模倣することとした。我妻先生の判例カードについては「我妻榮記念館だより第19号」(平成26年10月27日)に詳しい。
これによれば「主要な判例を集めて体系的に配列した、いわゆるケース・ブックを民法の講義の教材として学生に持たせたらよかろうと、我妻先生は・・・判例カードを基にしてその判例集を作ろうと決心」したとある。
また、具体的な書き方として「直筆の判例カードは、A六版の大きさに統一され、明治三七年〜昭和四六年まで、一つの裁判毎に一枚のカードに、必要なら裏面まで利用され、丁寧な字でびっしりと要旨」が書いてあり、「その判例が当てはまる民法の条文を指定されてい」るとする。
なお、前記だよりによれば、写真付きで紹介されている。これらは、記念館でも確認することができるとのことである。
3.「有斐閣判例六法」を使った作成手順
筆者が受験対策として作成した「論証カード」の作成手順は,次のとおりである(見本画像は、下記の埋め込み参照)。
①ダイソーの『情報カード』に左上に穴をあけ,左側に線を引き,図や関係図を書き,右に論証を書く。
②論証は,判例六法記載の規範をまず記載。
③その後,使いづらい(当てはめしづらい)ものがあれば,適宜リバイス。
▼論証カードの作り方=案
— 𝐊𝐀𝐍𝐄𝐒𝐇𝐈𝐆𝐄 𝐍𝐚𝐨𝐤𝐢│ (@LegalRepository) July 28, 2026
CBT前の当方の作成方法は,次のとおりです。
①ダイソーの『情報カード』に左上に穴をあけ,左側に線を引き,図や関係図を書き,右に論証を書く。
②論証は,判例六法記載の規範をまず記載。
③その後,使いづらい(当てはめしづらい)ものがあれば,適宜リバイス。 pic.twitter.com/41pR6hHfZD
自作の「論証カード」に何を登載するか。筆者は、『有斐閣判例六法』を差し当たり活用することとした。判例六法の編集は、第一線で活躍される研究者の編集委員・編集協力者で構成され、簡潔・明瞭・的確な要約の記述がある。判例百選の掲載履歴も併記されていて便利である。既に、短答式試験対策として活用する受験生も少なくないだろう。
もっとも、判例六法には、短答式試験でしか登場しないような判例知識もいくつかある。そこで、受験対策を合理的に行うためには、①過去問で登場したもの、②直近の版の判例百選に搭載されているもの、を優先的に自作の論証カードに登載していくことを推奨したい。①・②いずれも、試験当日に登場する可能性は高いし、出題されても文句はいえない。特に①については、過去問をやり切った受験生との間で書き負けないようにしておく必要がある。
また、論証カードの左部分には、関係図や時系列を簡単にでも書いておくこともお勧めする(試験本番でも推奨)。
適宜、ペンの配色を工夫することも考えられる。暗記で有名な赤シートを使うのであれば、覚えたい部分や語句を赤字で書いておき、それ以外は黒や青で書いておけば、簡易の穴埋め問題集としても使うことができる。
以上は、筆者の当時の試験勉強方法であり、一例としてここに紹介する次第である。自分に合った最良の勉強方法を見つけていただきたい。
