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白いユリが一面に咲いている

 いつの頃からか、白いユリが道路横の斜面一面に咲くようになった。
 タカサゴユリらしい。

 タカサゴというのは高砂、高砂国のことで、台湾のことだ。だから高砂百合、あるいは台湾百合とも呼ばれる。このユリは、1924年に園芸用として日本に移入されたと書いてある。1924年といえば、その年に生まれた人は、今年97歳になる。その頃からの花らしい。



 タカサゴユリは花が咲いた後、たくさんの種をつける。その種は軽い袋をつけているので、風に乗って遠くまで飛んでいく。その結果、一面の白いユリ畑のようになることがある。
 花が咲くのは7月から9月。

 タカサゴユリが咲く前には、オレンジ色をしたオニユリが咲く。オニユリはムカゴで増える。茎と葉の間に黒い種のようなムカゴができる。これから芽が出て増えていく。ムカゴは重さがあるので、そんなに遠くまで飛ばない。オニユリは一ヶ所に固まって咲いている。タカサゴユリのように、一面に広がっては咲かない。
 オニユリという名前もすごいな。普通、オニバスなど、同じ仲間の大きな種類などに「オニ」をつけるが、オニユリの場合は、赤鬼のような色からつけられたらしい。

 ユリの名前でいうと、ウバユリというのがある。白いきれいな花を咲かせる。タカサゴユリのように花が大きく開かず、ちょっと口を閉じたまま花を終える、上品な花だ。このユリは、普通のユリと違って丸い葉ができる。その葉は早く枯れてしまうので、花だけが咲くことになる。花が咲く頃、「葉がない」ので、「歯がない」のダジャレで、歯の抜けてしまったおばあさん=姥(うば)だということで姥百合(ウバユリ)となった。なんともひどい命名だ。

 タカサゴユリの仲間の日本のユリは、テッポウユリだ。タカサゴユリの葉っぱより少し太い葉っぱだが、現在はタカサゴユリと交配したシンテッポウユリというのがあるそうだ。同じ仲間だからすぐに交配してしまう。
テッポウユリは、4月から6月に花が咲く。

 神戸の淡河(おうご)地方では、テッポウユリの品種改良を重ね、ミスオーゴ、プリンセスオーゴという品種を生み出し、地域活性化につなげようとしている。
 淡河地方では、日本本来のテッポウユリがビニールハウスで栽培され、外来のタカサゴユリが野生の姿で日本の風景になじんできている。


 「ユリの女王」といわれるカサブランカは、大きな花びらで強烈な香りを放つ。これは日本のヤマユリが、プラントハンターによって明治時代にヨーロッパに運ばれた。オランダで品種改良されてできたものだ。原産地は日本だが、カサブランカを日本の花とは誰も思わない。



 オリンピックを見ていると、どこの国の選手かわからないことも多い。フランス代表なんて黒人が多いように感じる。えっ、これがフランス、と思ってしまう。日本でも同じだ。有名な選手を思い浮かべると、純粋な日本人のなんと少ないこと。
 スポーツ庁長官の室伏広治は、本名が室伏アレクサンダー広治であり、母親はルーマニア人だ。だれも何も思わずにスポーツ庁長官として受け入れている。
 陸上100mの、肌の色が違うケンブリッジ飛鳥は、見た目は「肌色」の日本人ではないが、そんなことは誰も思わない。それより今回のオリンピックは代表に選ばれず残念だったと思ってしまう。代表に選ばれていないのにオリンピック前のコマーシャルはかっこよかった。代表が決まる前からコマーシャル契約を結んでいたのだろう。彼は、ケンブリッジ飛鳥アントニオが本名で、父親はジャマイカ人だ。

 いろんな肌の色をした人が、日本の代表となっている。

 いろんな国が原産地である花が日本の野原に咲いている。

 白いタカサゴユリが日本の夏を彩る。

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